【インタビュー】為末大さん……ウェアラブルで“血を通わせる” | RBB TODAY

【インタビュー】為末大さん……ウェアラブルで“血を通わせる”

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  • 現役時の為末大さん
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オリンピック選手として日本の陸上競技界に記録と記憶の両面で革新をもたらした為末大氏。鋭い独自の哲学と感性で、フィジカルな世界とテクノロジーの世界を洞察。スポーツテクノロジーに言及してもらった。

◆技術の一般化について

…ウェアラブルテクノロジーは、プロスポーツなどを中心に浸透していき、パフォーマンス向上に役立てられるとみられます。選手の動きや気持ちの部分、さまざまな情報の可視化がすでに可能です。スポーツテクノロジーの一般化という意味では、たとえば教育の現場などで数字や情報が使われていくことに関して、どのように考えていますか?

為末大氏(以下敬称略):今でも、緊張感と心拍数には関係があるといっていますが、それだけで全てを決めてしまうのは乱暴な話ですよね。一方で、こうした心の動きや精神状態の数値化をやめてしまうと、何にも手がかりがなくなってしまいます。個人的には欧米は数値化し過ぎかなという印象もあって、日本は数値化しなさすぎではないかと感じているところがあります。こういう数値の扱い方ですが、「測るものがないのだからそれを使うしかないよね」という、“不完全なものである”ということを念頭に、活用するスタンスがいいんじゃないかな。

たとえば、幸福の条件としてイメージする“年収いくらで家族がいる”とかいうのも、本当に幸福なのか…本来そういったものは主観的なものですから、目安というか、本質らしいものを把握したうえで、数値をとらえるのが良いのではないかと思います。

…数値の不完全性を理解して利用することが重要ということですね。

為末:僕がウェアラブルをはじめとする新たなテクノロジーに興味を持っているのは、この次のテクノロジーには、これまでより“血を通わせることができるのではないか”と考えているからです。いまはそのコンセプトがぼんやりしているのですが、こうした技術で日本の存在感を出せたらいいと思っています。

◆アスリートの社会貢献を支援

…為末さんが関わるアスリートソサエティという活動について、お聞きしたいのですが。

為末:今、日本のアスリートが活躍する競技でプロフェッショナルが成り立つのは、全体の1パーセントぐらいで、ほとんどの競技はアマチュアの方なんです。そういった、アスリートが競技を続けて30~40歳になってしまうと、今の日本の社会システムではそこから会社に入ることや何かを始めるというのが難しく、それをサポートしたいというのがアスリートソサエティです。

今はNPO法人としていますが、僕としてはベンチャーを立ち上げる元アスリートの起業家がどんどん誕生してくる仕組みができるといいなと思っています。起業家といっても100~200人の中から1~2人誕生する世界ですが、この仕組みから実際に2、3社、誕生しています。

現役のアスリートが引退しても“あんな風になれるんだ”という例を示すことで、現役選手が変わっていくことに期待しています。ちょっと乱暴な話ですが、ベンチャーを立ち上げた起業家には元アスリートの方も多いので、逆を張って元アスリートで突破力の高そうな人に出資をして、事業が出来上がれば、成功率が高いのではないかと考えているんです。

まだ、ビジネスにつながる部分が見つけられていないのですが、例えば、ウェアラブル端末のような商品開発においても、使ったときの感覚や体験など、感性の領域が重要になってきていますよね。アスリートは体のセンサーが発達していて、端末をつけた時の感触を開発にフィードバックさせるといったことも可能です。選手だった経験や才能、能力をビジネスに役立てることができるのではないかと考えています。

【スポーツテックの未来】「数値の不完全性を理解して活用」為末大さん インタビュー2/3

《文責:椿山和雄 まとめ/構成:土屋篤司@CycleStyle》

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