【インタビュー】“使いやすさ”は視聴スタイルの広がりを生み出すか……ソフトバンクスマートテレビ | RBB TODAY

【インタビュー】“使いやすさ”は視聴スタイルの広がりを生み出すか……ソフトバンクスマートテレビ

 ソフトバンクモバイルが2月21日にスタートさせた「ソフトバンクスマートテレビ」。今回、ソフトバンクモバイルおよび同サービスでパートナーシップを組んだ企業のひとつであるツタヤの担当者に、サービスの特徴や利用スタイルについて話を聞いた。

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インタビューに応じてくれた3名
  • インタビューに応じてくれた3名
  • ソフトバンクモバイル プロダクト・マーケティング本部 サービスコンテンツアライアンス統括部 コンテンツ企画部 菊池保則氏
  • TSUTAYA.com TSUTAYA TVユニット 営業チーム リーダー 須藤和之氏
  • ソフトバンクモバイル プロダクト・マーケティング本部 サービスコンテンツアライアンス統括部 コンテンツ推進室 コンテンツ推進企画課 山田恵祐氏
  • テレビのHDMI端子にこのように接続するだけ
  • ソフトバンクスマートテレビ
 ソフトバンクモバイルが2月21日に開始した「ソフトバンクスマートテレビ」。今回、ソフトバンクモバイルおよび同サービスでパートナーシップを組んだ企業のひとつであるツタヤの担当者に、サービスの特徴や利用スタイルについて話を聞いた。

■ソフトバンクスマートテレビとは

 ソフトバンクスマートテレビは、家庭用のデジタルテレビのHDMI入力端子にスティックタイプのドングルを差し込むことで、ネット経由の動画配信サービスが受けられるというもの。このドングルはWi-Fiの子機となっており、サービスメニューやコンテンツなどはすべてインターネット回線を経由して、クラウド(SBスマートテレビのサーバ)から供給される。VODやコンテンツ視聴を楽しむ際のリモコンとしてソフトバンクモバイルのスマートフォンを利用することも特徴の一つ。専用のアプリをダウンロードして設定を行えば、サービスが利用可能となる。

 肝心のコンテンツラインナップと料金体系だが、まず基本となる契約は月額490円(申し込みから2年以内の解約には解除料4,750円が必要となる)。これに有料コンテンツを視聴する場合、そのサービスごとに契約や課金が発生する。VODサービスの「TSUTAYA TV」は、新作を含む約4万タイトルについてPPV方式(新作400円/本、旧作100円/本)で視聴するパターンと、月額980円で約4500本のタイトルから月20本までをレンタル視聴可能なパターンがある。

 その他、海外の専門チャンネルも含めた50チャンネルが視聴できる「BBTV NEXT」が月額2,625円で、映画やオリジナルコンテンツに加えてミュージックビデオなど音楽コンテンツが視聴できる「UULA」は月額490円で視聴可能。無料コンテンツとしては、GyaOの新作映画の予告編やミュージッククリップも用意されている。

 サービス概要は以上だが、家庭用のデジタルテレビでネット動画やレンタルビデオを楽しむなら、すでにネット対応のテレビが出回っており、LANケーブルをつなげば各種のVODサービスを利用可能な製品は存在している。ソフトバンクスマートテレビは、これらの製品とどこが違うのか。ソフトバンクモバイル プロダクト・マーケティング本部 の山田恵祐氏は「スマートフォンをリモコンとして利用できるという点と、Wi-Fi利用のため、設定や接続が簡単で視聴までのハードルが低いことではないでしょうか」と説明する。

 確かに、壁のACコンセントにLAN端子がでていれば、デジタルテレビをインターネットにつなぐのは簡単だが、通常、リビングに置かれるテレビを有線接続するのは意外と面倒だ。この点については、TSUTAYA.com TSUTAYA TVユニットの須藤和之氏も「今やほとんどのデジタルテレビはネット接続可能になっていますが、同時に、ネットへの接続率が上がらないという問題も抱えています。これは、コンテンツ提供者側でもどうにかしたいのですが、接続が面倒だったり、接続してもテレビリモコンでの操作が使いにくいといった声も聞きます」とした。こういった背景から、ソフトバンクスマートテレビの接続の容易さと、ユーザーが使い慣れたスマートフォンによる操作環境が、ネット接続のハードルを打破できると期待しているようだ。

■既存のネットTVにない視聴スタイルの広がり

 ソフトバンクモバイル プロダクト・マーケティング本部 菊池保則氏も、「リモコンのUIは、こだわって開発を行いました。スマートフォンやタブレットの特性を活かした感覚的にわかりやすい操作と、選んでいるコンテンツが一目でわかり、操作中もそれを見失うことのないように工夫しています」と語る。操作性はまさにスマートフォンでローカルファイルを探して再生するのと変わらないイメージであり、テレビ上の表示や画面遷移にもっさり感はない。

 その上で、同サービスの真価は使いやすさが生み出す視聴スタイルの広がりだと山田氏らは言う。たとえば、リモコンアプリをダウンロードして、ドングルを接続したテレビを操作できる端末は最大5台まで登録できる。VODサービスのアカウントや課金については、そのうち1台の端末の電話番号と紐づくので、他の4台からはコンテンツの購入などはできないが、その他の操作は可能だ。つまり、お父さんのスマートフォンで購入したコンテンツであっても、お母さんや子供たちは自分のスマートフォンで操作し、コンテンツを楽しむことができる。

 契約は電話番号単位となるので、1世帯1契約である必要もない。子供部屋のテレビとリビングのテレビを別々の契約にすることも可能だ。子供部屋のテレビについては、TSUTAYA TVなどコンテンツプロバイダ―側のフィルタリングも設定できるので安心だ。

 さらに言えば、実はドングルとテレビそのものは密に紐づいていないので、ドングルを差し替えればどのテレビでも同じコンテンツを視聴できる。友達の家にいっても、外出先でも、このサービスを契約したソフトバンクスマートフォンとWi-Fi環境、そしてドングルがあれば「“俺のスパイダーマン、いっしょに見る?”といったこともできます」(須藤氏)とのこと。なお、ドングル自身にはアカウント情報などが保存されていないので、ドングルを紛失しても勝手に利用される心配はない。このあたりはクラウドならではのメリットが十分に生かされている。

■キャリア手動でもメーカー手動でもないネットテレビサービス

 これまで、家庭用テレビのVODサービスやインターネットテレビなどは複数存在していたが、どれも視聴スタイルとして一定の地位を確立するものは現れていない。古くは帯域や技術的な問題で高画質のコンテンツが利用できなかったり、最近でも、テレビメーカー、コンテンツプロバイダー、通信事業者などどれかの思惑が強く働き、サービスや機能として中途半端になりがちなものが多かった。結局、利用者にとって素直な視聴ができない、見たいコンテンツがないといった理由で、レンタルDVDやケーブルTVのVOD、あるいは地上波テレビの従来型視聴スタイルに対抗するまでに至っていない。

 山田氏は、特定のコンテンツプロバイダーやテレビメーカー、ISPにこだわるつもりはないと言う。パートナーシップはオープンであり、TSUTAYA TVの須藤氏も同様に、自社のみ独占のプラットフォームにするつもりはないと同調する。グローバルでも、自社や特定グループ内ですべてを完結させようとするモデルは成功しない時代であるし、この姿勢は正しいように思える。スマートフォン・タブレットの普及をはじめとして、家の中でもWi-Fi対応の機器が増えてきており、宅内の無線LAN環境を気にする人も多くなってきた。今回取材したソフトバンクモバイルだけでなく、KDDI、ドコモも同様のサービスを開始。各キャリアの競争が激化するなか、いかにサービスを差別化し、ユーザーを獲得していくか、今後の動向に注目したい。
《中尾真二》

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