産総研、“人々を笑わせ、そして考えさせてくれる”イグノーベル賞を受賞 | RBB TODAY
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産総研、“人々を笑わせ、そして考えさせてくれる”イグノーベル賞を受賞

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「SpeechJammer(スピーチジャマー)」(銃タイプの試作機)
  • 「SpeechJammer(スピーチジャマー)」(銃タイプの試作機)
  • 「SpeechJammer」の原理(紹介動画より)
  • 「SpeechJammer」の細部
 産業技術総合研究所(産総研)は21日、情報技術研究部門 メディアインタラクション研究グループ 栗原 一貴 研究員と科学技術振興機構 さきがけ 塚田 浩二 研究員が、2012年の「イグノーベル賞」を受賞したことを発表した。

 イグノーベル賞は、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられる風変わりな賞で、雑誌編集者のマーク・エイブラハムズによって1991年に創設された。本家のノーベル賞同様に、工学賞、物理学賞、医学賞、文学賞、経済学賞など、さまざまなジャンルがあり、過去には、「ピカソとモネの絵画を見分けられるようにハトを訓練する研究」「正しい紅茶の入れ方の仕様書」「猫がPCのキーボード上を歩くのを検出するソフトウェア」「バウリンガル」「床に落ちた食べ物を食べて良い時間(いわゆる5秒ルール)に関する研究」などが受賞している。

 今回産総研は、「聴覚遅延フィードバックを利用した発話阻害の応用システム『SpeechJammer(スピーチジャマー)』」に関する研究で、音響学賞(Acoustics Prize)を受賞した。この装置は、言葉を喋っている人に作用させて強制的に発話を阻害するシステムで、端的に言えば“おしゃべりな人を黙らせることができる”ものとなっている。数百ミリ秒程度の遅延を加えて、話者の聴覚に自身の音声をフィードバックすると、発話が阻害される現象を利用している。応用分野としては、プレゼン時の話速度の調整、会議における発言権の制御、携帯電話の利用防止などがあげられている。

 産総研では、「『声の大きい人が勝つ』と俗に言われるような、特定の人物だけに言論が占有される不公平を払拭したいと考え、本研究をスタートさせた」としており、悪用される懸念も表明する一方で、「本技術の効果は“耳栓”をすれば容易に回避できる」としている。また、現状は研究の初期段階であり、発話阻害効果の個人差や慣れの要素が大きく、現実的な局面での応用はまだ期待できないため、当分公開や販売等の予定はないとのこと。なお、手軽にこの発話阻害効果を体験できる「簡易発話阻害ソフトウェア」を無料公開中だ。
《冨岡晶》
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