数年後に充電環境は一変! ノートPCも電動自転車も無接点充電が当たり前の時代に | RBB TODAY

数年後に充電環境は一変! ノートPCも電動自転車も無接点充電が当たり前の時代に

 パナソニックグループ エナジー社(三洋電機エナジー社)は5日、マスコミ向けに無接点充電システム技術の勉強会を開催した

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ムービングコイル方式。充電するデバイスを探しているところ
  • ムービングコイル方式。充電するデバイスを探しているところ
  • パナソニックグループ エナジー社 充電システムビジネスユニット BU長 佐野正人氏
  • 小出力の問題はフラットコイルで解決した
  • 共通規格化されたユニバーサルな無接点充電技術を推進。'08年に国際標準規格「Qi」を目指すWPCに参加
  • 広がる「Qi」。WPC参加国は5月時点で109カ国に
  • Qiの代表的な充電方法。多コイル方式、マグネット方式、ムービングコイル方式
  • ムービングコイル方式。裏側と表側から見たところ
  • 受電側のバッテリにはフラットコイルが付いている
 パナソニックグループ エナジー社(三洋電機エナジー社)は5日、マスコミ向けに無接点充電システム技術の勉強会を開催した。同社はこれまで、クリーンエネルギーを生み出し、効率よく電気を蓄えて、スマートフォンやモバイル機器などに簡単に充電できる「サスティナブル&ユニバーサルライフスタイル」を提案してきた。

 同社の佐野正人氏(充電システムビジネスユニット ビジネスユニット長)は、その1つの答えが「無接点による充電技術だ」という。無接点充電は、充電器(送電側)と充電池(受電側)にコイルを配置し、金属接点を介さずにコイル間の電磁誘導によって電力を伝送するもの。従来から研究されている技術だが、いくつかの課題があった。1つは変換効率が悪く、小電流(数十mW以下)しか取れないということ。もう1つは各々の機器、メーカー商品との互換性がなかったということだ。

 同社では、フラットコイルを開発したり、共通規格化されたユニバーサルな無接点充電技術を推進することで、これらの課題を解決してきた。無接点充電の国際標準規格「Qi」(チー)を目指すWPC(Wireless Power Consortium)には、2008年12月の創設当初より参画し、新しい充電方式の開発に着手。現在ではWPCに加盟する世界の企業は、インフラ系、キャリア系、セミコン系、ワイヤレステクノロジー系、コンシューマーブランド系など、合計109社(2012年5月現在)にのぼり、大きな広がりをみせているところだ。

 「Qi」規格の伝送方式は、いわゆる電磁誘導方式で、設計の自由度を残しつつ、互換性を確保することとし、現在12方式が規格として認可されている。この中で代表的ものは3つある。1つは可動部がなく、多くの送電コイルを敷き詰める「多コイル方式」だ。また磁石で受電コイル(充電される機器)を引き寄せる「マグネット方式」もある。これは構造がシンプルで、薄型・低価格化が可能だ。そしてもう1つ、パナソニックが提唱し、標準として推進している「ムービングコイル方式」である。

 この方式は、受電コイルの位置を検出し、XYテーブルのように送電コイルを移動させるもので、コイル同士の位置をズレがなくピタリと合わせられるため、充電の安定性がよく、変換効率も高いというメリットがある。送電コイルの可動範囲も広く、充電パッド上に端末を2台置いて、順番に充電することも可能だ。もし充電エリアに干渉する金属破片などの異物があると、それを検出して充電を制御することもできる。受電コイルの位置や異物を検出できる原理は、送電コイルの上にフラットな検出コイルを網目上に配置し、微弱な電流を流して受電コイルの位置をセンシングしているからだ。また充電時でも携帯電話の受信感度を損なわない技術や、構成部品の最適化により電池パックレベルの小型化にも成功している。

 この「Qi」規格を武器に、パナソニックはモバイル機器をターゲットとして、「ChargePadsシリーズ」を展開している。無線LAN内蔵ブルーレイレコーダ「スマートティーガ DMR-BZT920-K」は、その天面に「Qi」に対応した充電パッドを配置し、スマートフォンなどを置いて充電できる。この7月に発売予定の「ELUGA V」もQi対応のスマートフォンだ。このように最近では“置くだけ充電”として認知度もあがっている同社の製品だが、パナソニック以外にもNTTドコモなどのキャリアで採用されている。

 同社では今後、「Qi」関連製品をモバイル分野だけでなく、AV・デジタル、調理・家事、美容・健康、アウトドア・レジャーなどの利用シーンにも広げていきたい意向だ。実際に海外での取り組みと比べてみても、商品規模では日本が一番進んでいるという。2012年には350万台ほど普及し、2014年には700万台まで需要が跳ね上がると予測されている。「Qi」対応機器のみならず、充電のニーズに応え、カフェ・レストラン、待合スペース、移動(電車や自動車)などでのインフラ整備も期待されている。同社とNTTドコモは「置くだけ充電」キャンペーンをスタートしており、この9月末までに、「Qi」を体験できるスペースを全国に約500ヵ所、3000台ほど拡大していく計画だ。

 将来的に「Qi」はさまざまな機器に広がっていくと思う。というのも、現行規格は5Wまでの小出力だが、120Wまでのミドルパワーや、1kWまでのハイパワーの規格策定も進んでいるからだ。そうなると携帯電話やスマートフォンだけでなく、ノートPCやタブレットなどの端末、電動工具、さらに電動自転車やEB(電動バイク)まで無接点で充電できるようになる。この数年後に充電環境はがらりと変わり、無接点充電が当たり前の時代になってくるだろう。
《井上猛雄》

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