【テクニカルレポート】スマートコミュニティ実現に向けた技術開発の取り組み(後編)……NTT技術ジャーナル | RBB TODAY

【テクニカルレポート】スマートコミュニティ実現に向けた技術開発の取り組み(後編)……NTT技術ジャーナル

ブロードバンド 回線・サービス

図3 タップシステム概要
  • 図3 タップシステム概要
  • 図4 タップシステム構成
※本記事は前編から続く。

■ホームICT基盤を使ったタップシステム開発の取り組み
 太陽光発電や風力発電などの再生可能エネルギーのみでは、コミュニティ内の電力の需要を完全に満たすことは現時点では困難です。エネルギーの地産地消を実現するためには、供給側の工夫だけでなく、需要側のエネルギー消費を削減していくことが重要です。その方法の1つとして、消費電力の見える化や家電の電源制御など、省エネシステムを導入することが考えられます。

 しかしながら、現状のシステムでは、電力センサを取り付けるための分電盤への工事や、センサ情報を収集する親機の設置、各家電へのセンサの取付けなど、システムの導入に対して、大きな費用や労力が発生します。また、宅内のセンサ通信には無線技術が有効ですが、これらは多種多様な方式があり、技術の進歩も早いため、新しい通信技術に柔軟に対応できる仕組みが必要です。

 そこでNTT西日本は、ホームICT基盤を使ったタップシステムを開発しました(図3)。タップシステムは、省エネ支援が可能なタップ(タップ)、RGW(Residential Gateway)、コントロールサーバで構成されます。タップは、宅内通信機能、電力測定機能、電源ON/OFF制御機能を持った電源タップです。従来の電源タップと置き換えるだけで、電源ポート単位の消費電力の見える化や、電源ポート単位のON/OFF制御が実施できます。接続されている家電に、制御・測定のために必要な機能を追加する必要はありません。タップが測定した電力情報は、インターネット上のコントロールサーバに集められます。また、コントロールサーバからの制御情報に基づき、タップの電源ON/OFFが制御されます。

 RGWは、これらの情報を中継する通信ゲートウェイ装置です。タップとRGWの通信には、宅内通信プロトコルとしてZ-Waveを、RGWとコントロールサーバの通信には、HTTPS(Hypertext Transfer Protocol over SSL)を採用しました。

 コントロールサーバは、収集した電力情報の表示や、タップを制御するためのロジックを持つサーバです。ユーザは、コントロールサーバに、宅内外からWebブラウザを用いてアクセスすることで、家電の消費電力を確認したり、タップの電源ON/OFFを制御したりできます。

 タップシステムの構成を図4に示します。RGWの特長の1つは、OSGi(Open Service Gatewayinitiative)フレームワークの採用です。OSGiフレームワークは、ホームICT基盤の一部であり、ソフトウェアの実行環境です。RGWに追加したい機能をJavaアプリケーション(バンドル)として実装し、これをネットワークからRGWに送り込むと、OSGiフレームワークがバンドルを登録、インストール、起動します。このとき、RGWの再起動が不要であり、ほかのサービスを中断することなしに、ソフトウェアの導入や更新が可能となります。

 タップシステムでは、宅内通信プロトコルへの対応や、タップ制御に必要な機能をバンドルとして実装しました。従来このような機能は、通信ゲートウェイとは別のハードウェアに実装されていましたが、ホームICT基盤の適用により、RGWへの機能追加のみで対応ができ、別のハードウェアを準備する必要がありません。

 加えて、今回の無線通信機能のハードウェア部分は、市中品の外付け通信モジュール(USBドングルタイプ)を用いました。今回採用したZ-Waveは、日本では950MHz帯を使用して通信を行うため、2.4GHz帯を使用する無線LANや電子レンジなどの機器と干渉しません。仮にZ-Wave以外の通信プロトコルを利用したい場合、ほかの無線通信対応のドングルへ付け替えて、それに対応したバンドルをネットワーク越しに入れ替えるだけで、柔軟に対応できます。

 今回の実験では、アプリケーション例として、タイマータップを実装しました。タイマータップは、ユーザがあらかじめ設定した時刻に、自動でタップの電源ON/OFFを実行します。これは、節電や待機電力のカットに有効です。タップの消費電力の取得や、電源ポートのON/OFF機能は、API(Application ProgramInterface)化しており、さまざまな事業者がこれを活用して、さまざまなアプリケーションをつくり込むことができます。タイマータップの制御ロジックも、これらのAPIを使って実装しています。

■今後の展開
 東日本大震災を受けて、電力の安定供給とピーク電力削減についての議論が活発化しています。分散型電源によるエネルギーの地産地消を目指すスマートコミュニティは、将来的に大きな市場になることが予想されることから、NTT西日本は、この分野における新たなビジネスモデル創出を目指し、技術開発の取り組みを続けていきます。

※本記事は日本電信電話(NTT)が発行する「NTT技術ジャーナル(2011年9月号 vol.23)」の転載記事である
《RBB TODAY》

関連ニュース

特集

page top