【テクニカルレポート】DataMotion for Volumes ベストプラクティスとユースケース(後編)……Tech OnTap | RBB TODAY
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【テクニカルレポート】DataMotion for Volumes ベストプラクティスとユースケース(後編)……Tech OnTap

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■考えられるユースケース

 DataMotion for Volumesは、さまざまな場面で役立つと考えられます。

・負荷分散。 負荷の高いアグリゲートから、比較的負荷のかかっていないアグリゲートへボリュームを移行する

・容量の分散。 フル状態のアグリゲートから、空きスペースの多いアグリゲートへボリュームを移行する

・サードパーティ製ディスクからNetAppディスクへのデータの移行。 サードパーティベンダーのディスクアレイのフロントエンドとしてNetApp Vシリーズシステムが稼働している場合、DataMotion for Volumesを使用して、そのアレイからNetAppディスクシェルフへデータを移行できます

・メディアの種類の変更。 ある種類のディスクメディアから別の種類のディスクメディアへボリュームを移行できます。たとえば、FCディスクからSASやSATAディスクへの移行が可能です

 上記のすべての利用方法にお客様から大きな関心が寄せられていますが、特にメディアの種類を変更できる機能が求められる場面で期待が大きいようです。業界がFCからSASへと移行している中、DataMotion for Volumesを利用すれば、古いメディアの使用を比較的少ない負担で、タイミングよく止めることができます。

 また、無停止でメディアの種類を変更できる機能を利用すれば、特にパフォーマンスを高めるFlash Cacheとの併用に当たって、SATAディスクの導入を積極的に進められる、というお話もお客様から伺っています。こうしたお客様は、仮にパフォーマンスが問題になっても、ボリュームをFCディスクやSASディスクに無停止で即座に移行できることをご存じなので、より多くのアプリケーションを低価格のSATAディスクに導入することを計画されています。

■ベストプラクティス

 いくつかのベストプラクティスに注意を払うことで、DataMotion for Volumesを円滑に運用できます。

・DataMotion for Volumesによる移行は、一度に1処理しか実行できません

・DataMotion for Volumesの実行中は、移行元ボリュームでvol renameを実行したり、ボリュームやLUNの属性設定を変更したりしないでください

・DataMotion for Volumesの処理が完了するまでは、競合する処理を開始しないでください。プロセスがカットオーバーフェーズに入っていないときに何らかの処理が開始されると、DataMotion for Volumesは中止処理を開始します。また、ステータスがカットオーバーの場合、DataMotion for Volumesではストレージ管理者の操作が一切受け付けられません

・データの整合性を維持するために、手動でリブートしたり停止したりする前に、ポーズ処理を開始してください

・HAペアでは、両方のノードがData ONTAP 8.0.1 7-Modeを実行していることを確認します

・システムの健全性と負荷を確認してから、DataMotion for Volumesを開始します

・カットオーバーの妨げとならないよう、DataMotion for Volumesの処理中は、時間のかかるデータ管理処理やデータ保護処理をスケジュールしないようにします

・移行元ボリュームの設定は、一切変更しないでください

SnapMirrorとSnapVault

・DataMotionの実行中は、SnapMirrorの設定(snapmirror.confファイルなど)を変更しないでください

・DataMotion for Volumesがカットオーバーに達していない状態では、SnapMirror更新やSnapVault更新は成功します

・カットオーバーフェーズ中に更新が発生すると、DataMotion for Volumesで操作が受け付けられず、転送に失敗する場合があります。転送は、カットオーバー完了後の次回の更新で正常に実行されます

・手動カットオーバーの場合は、更新や転送が進行していないときにカットオーバーを実行します

SnapDriveとSnapManager

カットオーバー中:

・SnapDrive for Windows(SDW)のLUNのプロビジョニング処理と、Snapshotコピーの管理処理は成功しません

・SnapManager製品(SME、SMSQL、SMVI、SMHV、SMO、SMSAP、SMOSS)のバックアップ処理とリストア処理は、いずれも成功しません。次回スケジュールされたバックアップジョブは成功します

ホスト・オペレーティング・システムのSCSIタイムアウト設定

 タイムアウトエラーを回避するために、NetApp Host Utilities Kitをインストールすることを推奨します。お使いのホスト・オペレーティング・システムの『NetApp Host Utilities Installation and Setup Guide』(http://now.netapp.com/NOW/cgi-bin/software)を参照してください。

FlexVolとFlexClone

・DataMotion for Volumesは、移行元のFlexVolのみを移行します。FlexCloneボリュームは移行されません。DataMotion for Volumesの実行後、元のFlexVolはオフライン状態で保持され、親子関係もそのまま維持されます

・FlexCloneボリュームを移行する際は、移行前に親FlexVolから切り離す必要があります
重複排除機能と圧縮機能

・移行元のFlexVolで重複排除機能が有効になっている場合、カットオーバーを成功させるためには、重複排除機能を停止する必要があります

・DataMotion for Volumesでは、フィンガープリント・データベースが移行されません。また、重複排除されたFlexVolのログも変更されません。DataMotion for Volumesのプロセスが完了したら、sis start -sを実行して、移行先でフィンガープリント・データベースを再構築する必要があります

・圧縮されたボリュームは移行できません
DataMotion for VolumesをOracleデータベースやMicrosoft Exchangeに使用する場合のベストプラクティスについては、TR-3881(英語)を参照してください。

■まとめ

 DataMotion for Volumesは、IT運用の柔軟性を高めることができる、強力なデータ管理ツールです。これまでは、システムを停止しないとボリュームを移行できなかったため、前もって慎重に停止時間を計画する必要がありましたが、DataMotion for Volumesを使用すれば、負荷分散、容量分散、メディアの種類の変更といった目的を達成する必要がある場合、いつでもボリュームを移行できます。DataMotion for Volumesの詳細については、TR-3873(英語)とTR-3881(英語)を参照してください。

●著者紹介

Richard Jooss
ディレクター兼SAN/iSCSIアーキテクト
NetApp

Richard Joossは、NetAppでSANプロダクト/パートナー・エンジニアリングのシニアマネージャーを務めています。SANエコシステム、SANストレージの技術要件とビジネス要件の定義を担当し、ビジネスソリューションとNetApp SANソリューションとの統合にも携わっています。ストレージ業界で15年の経験を積んでおり、 ウィスコンシン大学で電気/コンピュータ工学の理学士号を取得しています。

※同記事はネットアップ(NetApp)の発行する「Tech OnTap」の転載記事である
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