【地震】廃炉まで20~30年、その後は廃棄物の問題も……東洋大学 清田教授 | RBB TODAY
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【地震】廃炉まで20~30年、その後は廃棄物の問題も……東洋大学 清田教授

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東洋大学 清田教授(原子力化学工学)
  • 東洋大学 清田教授(原子力化学工学)
  • 機能不全が今後もたらす影響
  • 廃炉と放射性廃棄物の考え方
  • 長期間隔離型
 4月26日から28日の3日間、東洋大学にて「東日本大震災にみる諸問題」と題する緊急シンポジウムが開催された。

 初日に登壇した経済学部教授(原子力化学工学)の清田佳美氏は、「福島原発の機能不全が今後にもたらす影響は何か」との講演のなかで、福島原発の廃炉について言及。廃炉には20~30年かかるという資料を示しながら、どれくらいかかるか不確定。また、廃棄物処理に関して、その処理方法や受け入れなどについて、いっそうのコンセンサスが重要になってくる点を指摘した。

 まず、清田氏が示した資料によると一般的に原発の廃炉に際しては、次のような工程をとるという。

(1)原子力発電所の現状を調べる
(2)解体計画の立案
(3)放射能を取り除く
(4)解体する

 (3)以降を詳細に見ていくと、まず運転停止状態から使用済み核燃料を搬出し、系統除染を行う必要がある。系統除染とは、炉のまわりで汚染されているラインを除染する作業。その後、残ってる放射能を取り除く安全貯蔵の段階に入る。安全貯蔵には5~10年をかけ、解体作業をする人たちの被ばくをできるだけ抑える。安全貯蔵が終了すると解体が行われ、更地にしていく。解体作業には5年かかる。全ての作業が終了するまでは、20~30年かかるという。

 福島原発の場合には、まず燃料を安定的に冷やすことができる状態「冷温停止」にすること、発生している汚染拡大をくい止めることが大前提となる。これがなんとかなった時点で、事故処理に関わる措置、つまり瓦礫処理や燃料を取り出す作業を行い、そのあとで廃止措置という段階に入っていく。清田氏は「問題は、東京電力からは9ヵ月という工程表がでているが、冷温停止まで長期化しそうだということ。また、その間、他の事故を想定した準備をやっていかざるを得ないということだ」と話す。さらに、これまでにない未経験の条件が揃っていると指摘する。「(福島原発は)損傷している燃料がどのような状態になっているかわからない。また、海水を入れてしまったのが大きな問題で、かなりラインや炉の中を腐食させてしまっている可能性がある。そういう状況でどうやって解体作業をやっていけるのか?また、施設のまわりも含めて、建屋などでは放射性濃度が高いことが考えられる。高濃度での汚染での作業をどのように行うか?」。清田氏は、チェルノブイリやスリーマイルの経験を確認し、学んで適用していくことが重要とする。東芝や日立からは10年あるいは15年というスケジュールも示されているが、どれくらいかかるか不確定だという。

 廃棄物の問題もでてくる。清田氏によると、原子力発電に伴い発生する高レベルの放射性廃棄物は、現在、ガラス固化体に換算して24,000本相当があり、地上管理中だという。国際的に最良とされているのは、これらを深い地層(地上から約300メートルくらいの深さのところ)にガラスで固めた後、さらに金属の容器で固めるなどして長期間隔離しておく処分方法だ。しかしこれには、廃棄物を受け入れてくれる自治体や国民の同意が必要だ。今回の出来事は、こういった同意をとるのには難しい状況を作ってしまった。処分地が決まるまでは地上で管理を行わざるえない。清田氏は、対話を通じながら、どういった方法ががいいのか、コンセンサスをつくっていくのが課題だと強調した。
《RBB TODAY》
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