「次はクアッドコアの旋風が巻き起こる」……NVIDIA 斉藤弘樹氏 | RBB TODAY
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「次はクアッドコアの旋風が巻き起こる」……NVIDIA 斉藤弘樹氏

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エヌビディア モバイルビジネス事業部 シニアマネージャー 斉藤弘樹氏
  • エヌビディア モバイルビジネス事業部 シニアマネージャー 斉藤弘樹氏
  • エヌビディア 車載・組み込みビジネス事業部 シニア ソリューション アーキテクト 馬路徹氏
  • セッションは、Tegra 2を搭載したスマートフォンの画面をHDMI経由でプロジェクタに映し出して行われた
  • Tegra 2の内部構成
  • Tegraは、Flash 10.1再生の処理をすべてグラフィックスで行っている
  • ゲーム「FLOOD RUNNER 2」によるFlash再生時の性能比較。同じAndroid 2.2で、他社製チップ(左)が最初のジャンプを再生している時、すでにTegra 2は5回目のジャンプを再生している
  • Tegra 2の電力制御機構
  • Tegraシリーズのロードマップ。Tegra 2の性能を1とした場合の相対的性能を示す
 エヌビディア(以下、NVIDIA)は、「スマートフォン2011 春」(4/26~28、東京国際交流館・プラザ平成)にて、「スマートフォン向けマルチコアプロセサ時代の到来」と題したセッションを行い、同社のモバイル用チップTegraシリーズの設計思想や特徴、ロードマップについて解説。プレゼンテーションには、Tegra 2搭載スマートフォンが使用され、HDMI端子経由で画面をプロジェクタに映しながら行われた。

■Flash性能に優れたTegra 2

 Tegra 2は、CPUにARM Cortex-A9デュアルコア、GPUに超省電力(ULP)GeForce 8コアを搭載し、HD動画のエンコード/デコード、オーディオの他、PCIe(PCI Express)やHDMIも搭載している。Flashの再生速度に優れ、従来はスクリーンのレンダリングにしかGPUを使っていなかったが、全面的にGPU処理するころにより、スムーズなFlash再生を実現した。

 もう1つの特長は、パワーマネジメントユニットによって電圧をダイナミックに可変供給している電力制御機構にある。例えばネットサーフィン時は、ページをロードする際に瞬時にCPUを100%使用した後、周波数と電圧を下げる。そしてGPUで描画をした後は、両プロセッサの電源を遮断するといった制御を行っている。デュアルコアCPUは、シングルコアの約6割の消費電力で同じことができ、マルチコアにすればするほどCPUの消費電力は少なくなる。

 Tegraシリーズのロードマップについては、今年2月に公開された「KAL-EL」に続き、2012年に「WAYNE」、2013年に「LOGAN」、2014年に「STARK」と続く。KAL-ELは、世界初のモバイル版クアッドコアで、GPUは12コア、解像度はExtreme HD(2560×1600)に対応し、トータルな性能はTegra 2の5倍で、2GHzのCore 2 Duoを超える。今年の年末にかけて搭載製品が出てくる予定。

■独自CPUの開発に着手

 説明にあたった馬路徹氏(エヌビディア 車載・組み込みビジネス事業部 シニア ソリューション アーキテクト)は、「今後世界のクライアント端末市場を牽引するのはスマートフォンとタブレットであり、我々もこれに向けたデバイスの開発に注力していく」と語ったうえで、CPUに関しても、「モバイルCPUのARMはx86の出荷数を大きく凌駕している。マイクロソフトも次世代WindowsではARMをサポートすると宣言しており、我々もARMに注力していく」と将来ビジョンを語った。

 こうした取り組みを強化するために、NVIDIAは「Denver」と呼ばれるプロジェクトを立ち上げたという。NVIDIAは、時期Tegra開発のために「ARM Cortex A15」ライセンスを取得したが、さらにARMアーキテクチャライセンスを取得したことも、今年初めに発表されている。これにより、ARM CPUコアを独自に強化することが可能となり、GPUとARM CPUを一体化した高性能SoC(System-on-a-Chip)の開発に着手している。今後は、x86に頼ることなく、ラップトップPCからワークステーション、スーパーコンピュータに至るまでを、この新しいGPUとARM CPUを一体化した高性能SoC(System-on-a-Chip)で製品化していき、これを「Project Denver」構想として推し進めていく。

■「モバイルがパーソナルコンピュータになる」

 NVIDIAは、ゲームメーカーを始めとするコンテンツディベロパーに対して、高品位でリッチなコンテンツを作ってもらうためのグローバルなサポートチームを擁しており、このチームは、Tegraに最適化されたコンテンツの開発も行っている。この取り組みにより、テクスチャの処理や光と影の付け方、ポリゴンの量、ディテールの描画等、Tegraバージョン以降になってから質感が大きく向上したという。また、マルチコアによってチェスゲームで世界トップレベルの人工知能を実現した他、ゲームのレベルやアイテム数の追加、モバイル端末にもかかわらずPCと同じサーバ上でプレイできる等、リッチなユーザー体験を実現している。こうしたTegraに最適化されたコンテンツは、Androidマーケットから無料ダウンロードできるショウケース「Tegra Zone」から簡単に探すことができるようになっている。

 Android 3.0+Tegra 2によるマルチタスキングのデモでは、実際の利用シーンを想定。「HDビデオを見ている最中にメールが届く → メール画面に切り替えて内容を読む → 飲み会の場所を確認するために、3Dマップやストリートビューを表示 → Webブラウザに切り替えて店のメニューを確認 → 最初に見ていたビデオに戻る」という一連の操作では、3Dマップのスクロールや、WebページのFlashもスムーズに表示されていた。

 デモを披露した斉藤 弘樹氏(エヌビディア モバイルビジネス事業部 シニアマネージャー)は、「このようなマルチタスキングによって、モバイルの使い方が変わってくる。我々は、モバイルが本当の意味でもパーソナルコンピュータになると確信している。初めてTegra 2を発表した時、皆様から“モバイルにデュアルコアはいらないよね”とよく言われたが、今年はモバイル業界にデュアルコアの旋風が巻き起こっている。次はクアッドコアの旋風が巻き起こる」と語り、Tegraシリーズで毎年革新的な製品を出していくとした。
《柏木由美子》
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