【座談会】国内メーカー本格参入!スマートフォン市場の現状と未来 | RBB TODAY

【座談会】国内メーカー本格参入!スマートフォン市場の現状と未来

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GALAXY S
  • GALAXY S
  • Desire HD
  • 「REGZA Phone T-01C」Moist Black
  • IS01
  • 舞台上には「IS03」や、「LYNX SH-03C」をはじめとする同社のスマートフォン5機種が登場
  • 今年4月の「Xperia」発売記念イベントにゲストとして登場した成海璃子さん
  • GALAXY S発売記念イベント
  • 堀北真紀さん
 長らくiPhoneの独壇場が続いている国内のスマートフォン市場だが、10月以降NTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3キャリアから、シャープ製、富士通東芝モバイルコミュニケーションズ製などの国内製の端末が相次いで発表されたことで、さらに活発な動きを見せてきた。そんなスマートフォン市場の現状について、スタッフで座談会を開催した。参加したのは、RBB TODAY 小板謙次編集長、同編集部 三友直樹、ITライターの日高彰氏、井上猛夫氏、中尾真二氏。

小板:やはり現在市販されている端末では、GALAXY Sが優れているという印象なのですが。

日高:スペック的な話でいうと、Desire HDが最高です。ベンチマークを取ると一番ですね。GALAXY SもiPadとほぼ同じCPUを搭載していて強力です。けれどもGALAXY SとDesire HDの違いはベンチマークを取ると分かるというレベルだから、体感では分からないですけどね。とりあえずスペック面ではこれが2強だと思います。なおかつOSも、2.2と新しいですし。

小板:国内端末で言えば、ドコモの「REGZA Phone T-01C」は意外と売れるんじゃないかという話を聞きますね。実際に量販店で触ったけど、結構好印象でした。

日高:僕は展示会の時に発売前ののもっさりとしたものしか触ってないですね。もっさりと言っても、実際ストップウォッチで計ったりすると、差は0.0何秒くらいの違いだろうけど、一日使ってると、やっぱりストレスですよね。

小板:でも実際iPhoneに慣れている人が、Android端末を使って満足できるのかなと思ってしまいます。どうして最初からiPhoneみたいのを出せないんだろうという思いはありますね。

中尾:AndroidはLinuxベースと言いながらも、チューニングが難しいらしくて、結局OSのバージョンが変わってしまうとVM(仮想マシーン)も変えないといけないですけど、そうなってくると結局こなれてるのが古いバージョンのOSになる。そういう意味ではAndroid 2.1搭載の最新端末があるのは良いとは思いますね。

日高:現状でOS 2.2を搭載した端末が少ないのは残念ですけど、今2.2である必要は実はそんなにないんですよ。ただ問題は、これから3ヵ月~半年ほどしてくると、2.2専用アプリで、2.1では動かないものがたくさん出てくると大変ですよね。先日KDDIがIS01のOS 2.2へのアップデートはしないという発表をしましたけど。

井上:あれは見捨てた感じですよね。

小板:そういうのは開発者にとって良いのでしょうか。

日高:良くはないですけど、日本のキャリアは端末を売ってしまったら、通信料以外に追加の収入はないわけですから、OSをアップデートしなきゃいけないという強いモチベーションがない気がします。むしろ1年で解約してくれて新しい端末買ってくれたほうがありがたいというような。継続的にサポートしていくっていう考えになっていないと思います。

井上:その割には2年縛りがあったりしますしね。

日高:IS01は発売から数ヶ月で、OSのアップデートの打ち切りが発表されてしまいましたが、2年後の時点で動作するアプリがどこまで残っているんだろうという感じですね。

井上:こうなるとユーザーは購入する機種やタイミングを考えないといけなくなってしまいますよね。

中尾:PCのWindows OSの場合ですと、最新OSが出てもXPにこだわってアップデートしないユーザーも多いですけど、スマートフォンもそうなったりするんですかね。

井上:その可能性もありますよね。今は「スマートフォン」という特別なカテゴリですけど、数年後には低価格帯の端末も多くがAndroid端末になって、もっと一般に広がっていくでしょうからね。

日高:コアではないユーザー層がスマートフォンを持ってくれば、最初から搭載されているアプリしか使わない層も出てきますよね。そうなってくれば必ずしも最新のOSを追っかける必要はない。ただ現状スマートフォンを持つ人の多くは、何かしら新しいことを期待するユーザーだろうから、さすがに発売後数ヶ月でOSアップデートがなくなるというのは、まずいですよね。国内と違って海外メーカーががすぐにOSのアップデートできるのは、グーグルとの関係が蜜ということと、全世界が市場なので、何百人という開発リソースを割くことができる。日本の場合は、売れて何十万台というレベルですから、海外メーカーほどリソースは割けない。その割にワンセグやフェリカなど実装しなくてはいけない機能は多いので。最新OSをタイムリーに追いかけるのはなかなか難しいですよね。

三友:それでも韓国メーカーがそれをやってくるので、対抗するしかないですからね。

■脆弱なスマートフォンのセキュリティ環境

中尾:あとセキュリティという観点に立つと、オープンなプラットフォームのOSである場合、OSのアップデートは欠かせないですよね。今はガラケーでもキャリアが定期的にアップデートをしていますけど、スマートフォンもWindowsアップデートみたいに定期的に実施するようでないと。

日高:確かにAndroid向けのウィルスがそんなに騒ぎになっていないのが不思議なくらいですよね。実際はウヨウヨあるはずですけど。

中尾:一部では問題にはなってますよね。あまりニュースにはなっていないけどiPhoneでもそういうケースがあります。国内の事例では、あるメーカーの社員が使っているiPhoneを勝手にジェイルブレイクしたために、端末にデフォルトで搭載されているSSHサーバを狙ったウィルスに感染してしまったケースがあります。それと今までの携帯電話はクローズな環境であったけど、オープンなスマートフォンになったことで、端末IDが読まれてしまう可能性が出てきました。端末IDは個人情報と結びついているので、フェリカが入っていればクレジットカード情報も引き出せてしまいます。

日高:携帯だったらiモードが閉じた環境であったことや、盗まれない限り本人が使っているという前提だったので、パスワードは必要なかった。けれどもスマートフォンはインターネットの世界とつながったオープンな場所なので、モバイルサイトと同じようなつくりをしていると、非常に危険ですよね。実際に危険性を指摘されているサービスはある。

中尾:ただパスワード認証が面倒で、ユーザーからのクレームの対象になってしまう場合もあるんですよね。結局それで使われなくなってしまうとビジネスにならないですし。

■スマートフォンにおける「メイド・イン・ジャパン」

三友:スマートフォンも、ものづくりなんですから、やっぱり国内メーカーにはがんばって欲しいと思いますね。現状ではサムスンのGALAXY Sにリードされているような印象があります。

日高:ものづくりの日本と言うけど、ものづくりでもある意味負けているんですよ。「メイド・イン・ジャパン」というブランドが果たして自慢できることなのか。アップルはiPhoneやMacBookを全て中国で作っているけれども、あんなに美しいマシーンが出来ているんですから、単に中国の現地の工場を使いこなす能力がないだけではという話になってしまう。

中尾:しかも「メイドインジャパン」というブランドで勝負できる市場も、一時期に比べれば縮小してますよね。中国なんかでは、いくら質が良くても日本製は高くて買えないので、安い国内産の機種が好まれる傾向がありますし。

日高:日本人だって今は高くて良いものなんてなかなか買えないですからね。LGの洗濯機とか意外と日本でも売れていますし。これからはUIや、ユーザーに使いやすいサービスなどで差別化する必要が出てくる。やっぱり頭をひねって作ったものが一番強いですからね。日本メーカーも十分に苦労して開発をされていると思いますが、身にならない苦労をしているように思います。

小板:最近では3D、3Dとすごく騒いでいるけど、果たしてスマートフォンに3Dが必要なのかって思いますよね。需要をつくる場所を間違っているように思います。

中尾:3D機能で需要を作れば、また今までのような箱モノの展開ができますからね。

日高:ユーザーが望んでいるのは、例えば世界のどこにいっても同じように端末機能やサービスが使えるですとか、世界の何十万曲という音楽が聴けるとか、そういった類のことだと思うんですけど。3Dの画質が良いというはそこまで求められていないのではという気がします。

三友:端末を海外に展開するのであれば、なおさら押し付け的な機能はまずいですよね。

日高:先日ブラジルに行ったんですけど、売り場で一番目立つ位置に置かれているのはサムスン製の端末でした。ここでもサムスンかと。大した機種は置いていないんですけどね。おそらく昔の日本の家電メーカーみたいに、とにかく現地で泥臭い営業をやっているんじゃないですかね。あとショックだったのは、ブラジルのワンセグの方式は日本と同じISDB-Tなのに、それに対応している端末は日本メーカーではなくてサムスンの端末ですからね。日本の規格で放送されているのに、日本メーカーの端末はそこにはないんです。ただし世界市場全体で見た場合、依然として強いのはノキアですが、市場がスマートフォンに移っていく中で、ガラケーで使われていたSymbian OSでは対応しきれなくなってきましたね。スマートフォンの大きなディスプレイでの負荷の高い処理は、Symbianではもうきつい。ノキアは今必死で作り直してますけど少し遅かった感があります。ノキアはスマートフォンについてはMeeGo OSでカバーするという判断はしているが、その判断が遅かった。MeeGoは大型タブレット用の次のバージョンが、来年の第3四半期に出てきますが、タイミング的にちょっと遅いですね。OSの出来としては良いのですが、マーケティングや戦略的なところで上手くいっていないように思います。

■スマートフォンでも続く国内端末のガラパゴス化

三友:Android OSの最新版、OS 2.3が先日発表されましたね。国内メーカーの多くの端末は、来年の春にようやくOS 2.2へアップデートされるという状況ですが。

中尾:最新OSの導入については、カーネルをいじっている最先端の人達は最新OSにこだわる一方で、製品開発現場の人達は安定性を重視するなど、温度差を感じます。

日高:さすがにOS 1.6と2.1ほどの違いはないので、今すぐ対応する必要はないと思いますが。気になるのは、OS 2.3はおサイフ機能対応ということで、インターフェースがOSレベルで用意されていますが、日本の端末はOS 2.2にのせる形でおサイフ機能を独自開発してしまいましたから、これからOSがアップデートされる度に、作り直さなくてはいけなくなってしまいました。世界的に見ると、香港やシンガポールではフェリカが対応しているものの、旧フィリップスのMIFARE(マイフェア)対応の自動改札機がはるかに多いので、フェリカ対応の日本のおサイフ端末が使えない。海外メーカーも日本市場のためにフェリカ対応端末を出すということはないでしょうし。なんだまたガラパゴスじゃないかと。


※この座談会は、2010年12月20日に実施した。
《RBB TODAY》

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