【MeeGo Seminar Winter 2010】MeeGo v1.2で実装される2大機能とは? | RBB TODAY

【MeeGo Seminar Winter 2010】MeeGo v1.2で実装される2大機能とは?

「MeeGo Seminar Winter 2010」が9日、東京ミッドタウンで開催された。同イベントは、幅広いモバイルプラットフォームに最適なLinuxベースOS「MeeGo」(ミーゴ)の普及と促進を目的とするもの。

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ノキアの菅野信氏。MeeGo OSプログラムのマネージャを務めている
  • ノキアの菅野信氏。MeeGo OSプログラムのマネージャを務めている
  • MeeGoのプラットフォームアーキテクチャー。「Layer View」「Domain View」「API View」という3つの視点から説明
  • 階層に焦点を当ててアーキテクチャ「Layer View」。「Core OS」レイヤーは、「Security」「System」「Essential」「Communications」などの中枢を担う機能で構成
  • 「Core OS」レイヤーにある類似テクノロジー(Domain)をブレークダウンした形のアーキテクチャ「Domain View」。さまざまな要素技術で構成されていることが分かる
  • APIにフォーカスを当てたアーキテクチャ「API View」。MeeGo APIには「Qt」(キュート)と「Qt Mobility」がある
  • リリースを構成するために要素。リクアイアメント管理、アーキテクチャの決定、ソフトウェア開発、品質保証、エラー管理、インテグレーションをしっかりする必要がある
  • バグ管理システム「Bugzilla」の実例。こうしたツールを利用して、マネージメントをすることが大切
  • MeeGo v1.2のスケジュール。来年1月のv1.2 Feature Completeを目途に機能追加を終了し、あとは安定化を図る方針だ
●MeeGo Core OSのアーキテクチャと開発プロセス

 「MeeGo Seminar Winter 2010」が9日、東京ミッドタウンで開催された。本イベントは、スマートフォン、ネットブック、タブレット、メディアフォン、車載情報システム(IVI)など幅広いモバイルプラットフォームに最適なLinuxベースOS「MeeGo」(ミーゴ)の普及と促進を目的とするもの。

 MeeGoは、インテルの「Moblin」(モブリン)とノキアの「Maemo」(マエモ)を統合し、完全なオープンソースの開発モデルとなり、Linux Foundationで新たな「MeeGoプロジェクト」として開発が継続されている。本イベントでは、ノキアとインテル両者から講師が招聘され、国内のデバイスメーカー、アプリケーション開発ベンダー、開発コミュニティなどに話題を喚起するディープなMeeGoの技術情報が発表された。

 ここででは、ノキアの菅野信氏による「Core OSプログラム1.2における新規追加機能について」の講演内容えお報告する。菅野氏はノキアジャパンのLinuxチームで活動したのち、フィンランドのノキア本社にてインターネットタブレット製品の開発に従事、現在はMeeGo OSプログラムのマネージャを務めている。まさにMeeGoの中枢部の開発を推進する中心的な存在だ。

 同氏は、まずMeeGoのアーキテクチャや、開発に用いられるOpentoolsなどについて解説した。現在、MeeGoのプラットフォームアーキテクチャは「Layer View」「Domain View」「API View」という3つの視点で語られている。最初のLayerViewは、階層に焦点を当ててアーキテクチャを説明するもの。この階層について詳しく見てみると、「Netbook」「Handoset」「Others」(新しいタブレットやIVIなど)といったアプリケーションフレームワークの下に「MeeGo API」が位置し、さらにその下に中枢をつかさどる「Core OS」のレイヤーがある形だ。各Core OSプログラムは「Security」「System」「Essential」「Communications」「Data Manegemant」など、いわゆる「Domain」と呼ばれる類似テクノロジーで分類されている。

 このDomainを、さらにブレークダウンして詳しいアーキテクチャとして説明したものが次のDomain Viewだ。たとえば、Domain Viewの中にある「Multimedia」ドメインでは、さらに「GStreamer」(主に高精度カメラのサポート)、「PulseAudio」(主にテレフォニ―などをサポート)、「UPnP」といったサブドメインのテクノロジーで構成されている。そして最後のAPI Viewは、APIにフォーカスを当ててアーキテクチャを説明するものだ。現在、MeeGo APIには「Qt」(キュート)と「Qt Mobility」がある。いま話題のクロスプラットフォーム対応開発フレームワークは、このQtに含まれているものだ。Qt Mobilityは、複数の携帯端末をサポートするAPIとして、Windows CEやMeeGoなど複数OSに対応する。

 オープン環境でMeeGo OSを開発するという観点では、いくつかのOpentoolsが紹介された。新しいリリースを出すためには、何をしたいのかというリクアイアメント管理や、それにともなうアーキテクチャの決定、具体的なソフトウェア開発、品質保証、エラー管理、インテグレーションをしっかりしなければならない。そこで、たとえばMozilla Foundationが開発したWebベースのバグ管理システム「Bugzilla」や「Feature Zilla」などが活躍するという。Feature Zillaは、Bugzillaをベースにリクアイアメント管理を行うツールだ。いずれも分類、プロダクト、コンポーネントのメニューからパラメータを選択し、検索したマッチング結果が表示される仕組み。菅野氏は「こうしたツールをうまく活用することで、プログラム開発のマネジメントを行っている」という。

●MeeGo v1.2で実装される2大機能~「Policy Framework」と「MeeGo Security」

 次に菅野氏は、この10月末にリリースされたMeeGo v1.1の開発を振り返り、その考察についても触れた。同氏は「v1.1では、短期間で最初のハンドセットリリース(Phone Call & SMS)をサポートできた点が一番良かった。そのほかにもオーディオ、ビデオ、ブラウザーなどの基本機能の実装も達成できた」と感想を述べた。その一方で、いくつかの課題も残ったという。その1つとしてパフォーマンスの問題がある。スタートアップでの処理時間がかかりすぎたそうだ。

 さらに菅野氏は、来年公開される最新版のMeeGo v1.2について、具体的にどのような取り組みがなされているのか、その一端を披露した。「v1.2では、来年1月のv1.2 Feature Completeを目途に、新機能の追加は終了する」という。そのあとは安定化を図る試みが行われ、来年4月にはv1.2がリリースされる予定だ。v1.2では2つの大きな目玉となる機能がある。それは「Policy Framework」と「MeeGo Security」だ。

 ではPolicy Frameworkとは一体どのようなもか? 菅野氏は、Policy Frameworkを説明するために、携帯電話のユースケースを挙げて説明した。たとえばbluetoothのヘッドセットを付けて、携帯電話で音楽を聴いていたと仮定する。このとき外部から携帯が掛ってきたら、その端末は内部でどのような振る舞いをするだろうか。まずメディアアプリを一時停止し、電話アプリを起動させる。次にリングトーン(呼び出し音)を鳴らす。このときリングトーンに関するさまざまな決定を行う必要がある。もしアクセサリが付いていたら、ヘッドセットにリングトーンを流すのか、あるいはスピーカーに流すのか、そのルーティングを決定しなければならない。また、そのとき電話は通常モードか、またはマナーモードなのか、プロファイルを見極める必要もある。さらに電話アプリをスムーズに動作させるために、CPUやメモリなどのリソースを優先的に割りつける配慮も必要だ。

 このような携帯電話と音楽プレイヤーという単純な組み合わせでも、実際には内部動作の処理はかなり面倒だ。最近の携帯端末などの組込み機器はさらに複雑で、IPコール、カメラ、ゲーム、メール通知など、いろいろなコンビネーションが絡み合っている。こういった処理の決定をそれぞれのアプリに単独で任せることは大変。そこで、アプリを協調させ、これらの複数の動作の仲裁を務めるのがPolicy Frameworkの役割になる。Policy Frameworkの具体的な機能には、音声の消音・停止や、アクセサリの検出・選択をする「Media stream Management」、メモリ・CPUの割り当ての優先度を決定する「Resource Management」、通知方法を決定する「Notification」がある。そして、Policy Frameworkの中で、一元的にこれらの設定を行えるようにするわけだ。

 一方、MeeGo Securityの実装については、スマートフォンでのセキュリティに背景にあるという。Windows搭載PCよりスマートフォンのほうが将来的に需要が大きくなり、セキュリティに対する脅威もいっそう高くなるからだ。実際にAndoroid携帯のウイルスコードも簡単に書けてしまう状況だ。そこでMeeGoでも今後の対策を踏まえ、セキュリティの強化を図る方針だという。MeeGo Securityでは、個人情報保護や悪意あるソフトの対策を行う「Protection for the User」、コンプライアンスやSIMロック保護を行う「Protection of the Device」、アップ・ストアやモバイル課金などのサービスを行う「Enable New Services」といったコンセプトをベースに設計していく方針だという。

 MeeGo v1.2では、このような目玉機能を実装することにより、より効率的かつ安全なOSとして進化を遂げていくだろう。
《井上猛雄》

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