新型電子式メーターで電力運用が変わる……東京電力特別講演 | RBB TODAY
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新型電子式メーターで電力運用が変わる……東京電力特別講演

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新型メーターを紹介する越谷氏
  • 新型メーターを紹介する越谷氏
  • 新型電子式メーター
  • 旧型との比較
  • ネットワーク構成
 都内で開催された東光電気主催の「2010 製品展示会」。会場は混雑し、特別講演会は満席状態。聴講できない人は外の部屋に用意されたモニターで講演の様子を確認していた。東京電力のグループ会社である同社は、スマートグリッドでも注目を集める企業だ。展示・講演もそれらが中心になったが、改めて関係者の関心の高さが明らかになった。

 東京電力はスマートグリッドの要素として電力流通システムの効率・信頼性向上を挙げているが、この重要な役割を担うのが、一般の家庭にある電力メーターだ。4日の午後から開催された特別講演会も、東京電力の新型電子式メータと実証試験について説明するものだった。解説にあたったのは、東京電力 販売営業本部営業部部長 業務革新プロジェクト担当の越谷 健一氏。

 同社は、開発した新型電子式メーターの技術検証・業務検証を目的に、小平市の一部で実証事件を開始している。10月から2~3年程度を見込んで通信機能などの検証を行った後、平成23年10月からは、引っ越し、契約変更に伴う作業、検針の遠隔操作など業務運営の実験を行う。新型電子式メータは、幅150×高さ280×奥行き104mm。よく見かける電力メーターはガラスカバーで覆われているが、新型はポリカーボネイトを使用。分離構造になっているのも特徴で、計量部、端子ブロック、端子カバーに大別される。通信ユニットは端子ブロックに収納される。その通信端末は計器を取り外すことなく、容易に取り付けが可能な構造で、コストダウンにも貢献しているという。機能的には30分単位での使用量を44日間保持できるようになっており、時間帯の仕分けはホスト側で実施される。現在地、開閉器「入・切」後の負荷電流確認、SB機能、1A制限機能など電流制限のほか、遠隔操作による入・切、自動投入ロック機能、遮断後の自動投入などの機能もある。

 新型メーターとネットワークの仕組みは、次のようなものになる。メーターが取得したデータは、新型計器同士を無線でマルチホップしながら電柱の親局に届き、そこから有線でサーバに送られる。氏によると、1つの親局は300~500の計器(メーター)をカバーできるのではないかとのことだ。ただし、「たくさん親局を打てば信頼性がアップするがコストがかかってしまう。ちょうどいい親局の打ち方も検証しているところだ」という。

 この新型計器を使うことによって、ユーザーはインターネットの画面上で月別はもちろん、日別などの使用料を確認できるようになる。また、例えば夏場にエアコンを設置したので容量をアップしたいといった場合には、分電盤の中にあるブレーカーを取り換えるのではなく、コールセンターを通してオペレーターが遠隔操作で契約内容を変更することが可能になる。さらに、ユーザー自身が自宅の適切な容量がわからない時には、オペレーターが詳細なデータを見ながら最適な契約を顧客に勧めることも可能になる。30分単位のデータがとれるため、メニューの細分化をしておけば各人にあわせた契約パターンを設定することも可能だ。

 さらに、運用・保守に貢献するのが自動検針だ。データが自動収集されるためスタッフの目視による確認が不要になる。また電力メーターの設置場所は、商店街では極端に狭いビルの間や、あまり見えないところなど悪条件の場所に設置されていることも多い。加えて、検針はいつでもいいというわけではなく、決まった日に検針することが重要だという。現在、1人あたり400~500件を検針している。これらの安全面を考慮した手間やコストに貢献する要素が大きいと言えるだろう。

 現在行われている実証実験では、30分ごとのデータ収集が可能か、ひとつのメーターが故障した時に、他のメーターに迂回してデータを伝送することが可能かなどを調べている。10月初旬から新型メーターを設置しはじめ992台(10月29日現在)の設置が完了。テストを開始したところでは、データがちゃんと収集されていることが確認されているという。

 展示会場では、新型電子式メーターほか同社の模擬配電線試験場のフィールド検証の解説も行われた。スタッフによると、フィールド検証では2.4GHz帯ZigBeeと400MHz帯特定小電力無線の2方式での比較評価も行っているという。ただし「ガス会社が950MHz帯の仕様を検討しはじめた。ここも使えないかという検討も行っている」と、2.4GHzにはこだわっているわけではないという。
《小板謙次》
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