NICTとNEC・三菱電機・NTT、量子暗号ネットワークの試験運用を開始 | RBB TODAY
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NICTとNEC・三菱電機・NTT、量子暗号ネットワークの試験運用を開始

ブロードバンド テクノロジー
量子暗号における操作の概要
  • 量子暗号における操作の概要
  • 東京QKDネットワークの構成
  • 東京QKDネットワークの構成と鍵管理のためのレイヤ構成
  • 量子鍵配送リレーの仕組みと広域の量子鍵配送のためのセキュア拠点
  • 経路切り替えによる秘匿通信の維持の仕組み
 情報通信研究機構(NICT)量子ICTグループは14日、委託研究機関である日本電気(NEC)、三菱電機、日本電信電話(NTT)とともに、NICTのテストベッド「JGN2plus」上に“量子暗号ネットワーク”を構築し、試験運用を開始したことを発表した。

 量子暗号は、理論上どのような技術でも盗聴できない究極の暗号技術だという。これを利用して、都市圏の敷設光ファイバ網では世界初となる「盗聴不可能な多地点テレビ会議システム」を構築し、安定動作や経路制御等の試験と性能評価を行う。この試験運用には東芝やヨーロッパの研究機関も参加し、標準化に向けた相互接続実験も行う。具体的には送り手と受け手に量子鍵配送装置を用意し、光回線を介して盗聴を完全に排除した絶対安全な秘密鍵を共有し、次にその鍵を用いて送りたい情報をワンタイムパッド(Vernam暗号)により暗号化する。

 量子鍵配送はきわめて高度な技術で、実用化には多くの課題があり、これまでのアメリカ国防総省や欧州連合のプロジェクトでは、音声データの暗号化が限界で、伝送距離も敷設光ファイバで数10km程度が限界とされていた。我が国では2001年からNICTの産学官連携プロジェクトにより、都市圏で完全秘匿なテレビ会議が実現できる世界最高速の量子鍵配送技術の研究開発に取り組んでいたとのこと。

 今回、NICT、NEC、三菱電機およびNTTは、JGN2plus上の4つの拠点に量子鍵配送装置を設置し、10kmから最長90kmまで複数の回線パターンからなる量子暗号ネットワークを構築し、さまざまな盗聴攻撃の検知実験、および完全秘匿な多地点テレビ会議システムの試験運用を行う。このネットワークは「東京QKD(Quantum Key Distribution)ネットワーク」と呼ばれ、NICTの研究開発用テストベッドネットワークであるJGN2plusを元に構成されている。そのなかで大手町、小金井、白山、本郷の4つの拠点を結ぶネットワークとなる。伝送距離は、大手町拠点を基点に、小金井拠点間約45km、白山拠点間約12km及び本郷拠点間約13km。

 今後は本運用を経て、同技術を国家レベルの機密通信、電力・ガス・水道網などの重要インフラを監視する通信保護や金融機関の秘匿通信等に順次適用できるよう取り組んでいく予定。
《冨岡晶》
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