【iPadビジネス(前編)】iPad向け電子書籍ビジネスの始め方――スターティアラボインタビュー | RBB TODAY

【iPadビジネス(前編)】iPad向け電子書籍ビジネスの始め方――スターティアラボインタビュー

 現在、出版社から編集プロダクション、個人レベルまで、コンテンツをいかに電子書籍化し配信するか、その方法論やソリューションに興味を持つ層は確実に増えている。スターティアラボの代表取締役社長 北村健一氏に、ActiBookによる電子書籍ビジネスについて聞いた。

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スターティアラボ 北村健一社長
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  • ActiBookによる電子書籍が表示されたiPad
 日本における電子出版ビジネスは、10年以上前から取り組まれていた分野ではあるが、マンガなど一部のコンテンツを除いて大きく成功したものは存在しない。ここにきて、あらためて電子書籍の市場が盛り上がりを見せているのは、KindleやiPadに代表されるデバイス技術やネットワーク技術など周辺環境が整ってきたこともあるが、出版社の電子書籍に対する考え方を変えざるをえない状況になってきたことにもある。

 現在、出版社から編集プロダクション、個人レベルまで、コンテンツをいかに電子書籍化し配信するか、その方法論やソリューションに興味を持つ層は確実に増えている。とくにビジネスとして、どのような課金方法があるのか、システムの運営方法やコストは、集客や告知はどうすればいいのか、といったさまざまな疑問があるだろう。そこで、古くから電子書籍のオーサリングシステムを手掛け、出版社との実績も多い、スターティアラボの代表取締役社長 北村健一氏に、ActiBookによる電子書籍ビジネスについて聞いた。

――スターティアラボのActiBookは、いち早くiPhone、iPad対応を表明した電子書籍のオーサリングツールだと思いますが、iPad版対応をリリースして、市場の反応などはどうでしょうか。

北村氏:製品に関する問い合わせ件数が、発表前と後では2倍前後に増えました。とくに増えたのは、出版社だけでなく、個人で自費出版を考えている人や、電子出版ビジネスを始めようと思っている編集プロダクションなど、直接書籍を流通させる手段を持っていなかった人からの質問が増えています。電子出版に対するニーズが変わってきていることと、市場の大きなうねりを感じます。

――そのような人に対して、ActiBookのようなソフトウェアはどのようなソリューションを提供できるのですか。

北村氏:まず、基本的な電子書籍のオーサリング機能です。ActiBookでは、出版社や編集プロダクションは、特定の配信システムやデバイスに特化したフォーマットのデータを作成するのではなく、これまでどおりDTPソフトなどで組版し、そのグラフィックデータを用意するだけで、電子書籍化が可能です。具体的には、InDesignでもWordでも、コンテンツを作成し、PDFファイルでページのイメージを作成すればいいだけです。
 オーサリング機能は、特別な知識やスキルが極力必要にならないように考えられて実装しています。オーサリング機能や電子書籍の管理機能については、出版社だけでも270社以上の実績による長年の改善や改良の蓄積があり、直感的な操作ができるようになっています。作成した電子書籍のデータは、PCならば専用ビューアーで、iPhone/iPadならアプリケーションで閲覧することができます。

――現在、iPadとアップルのコンテンツ配信プラットフォームを利用した、電子出版ビジネスが注目されています。ActiBookのiPad版でこのビジネスを始めようとしたらどうすればいいのですか。

北村氏:電子書籍の配信方法については、iPadとiPhoneはほとんど同じと考えることができると思います。iPad用のActiBookビューアーは弊社側ですでにApp Storeに登録をしておりますので、電子書籍コンテンツをiPadで展開したいと考える方はActiBookのオーサリングツールでコンテンツを当社の指定方式で作成・公開していただくだけです。ECサイトやポータルサイトを持たない個人や編集プロダクションなどは、この形が参入しやすいのではないでしょうか。iPhoneにしてもiPadにしても、日本での電子書籍コンテンツはまだそれほど多くないので、どのようなパターンが効果的なのかは、正直まだこれからといったところです。弊社でもセミナーや勉強会などを開いていますが、事例的なベストプラクティスのようなものはこれからでてくると思います。

――個人でも著名な作家や、比較的大きなプロダクションなどは、独自の電子書籍のECサイトを作りたいというニーズがありそうですが。

北村氏:はい。いま述べた勉強会でも、課金システムやショッピングカートなどをどうやって作ればいいかわからない、という質問もよくされます。そのため、ECサイトのシステムをパッケージ化したソフトウェアもリリースの予定があります。ActiBookの基本パッケージにコンテンツの管理ソフトが含まれていたり、ポータルサイト構築のためのCMSパッケージも別途用意されているのですが、EC機能に特化したものはありませんでした。今まで、出版社は販売や流通については取り次ぎや書店、あるいはネット書店などに委託したほうがよいとする傾向があるため、ECの機能のニーズが低かったから用意していなかったのですが、今は逆に自分たちから積極的に利用していきたいというニーズが出てきました。ただし、販売に関してのノウハウは薄いようですので、それも全てパッケージ化して提供することでお役に立てるのではないかと思っております。

――出版社にしろ個人にしろ、電子書籍のビジネスを考えたとき、オーサリングの問題がクリアでき、サイト構築ができたとしても、最終的に重要なのはコンテンツが売れるかどうかです。そのときサイトの集客についてはどうすればいいでしょうか。

北村氏:一般的にはコンテンツや著者にバリューがあって、タイトルや名前で集客できることが重要ですが、セミナーや勉強会でも集客の相談もよくされます。ただ、これは本質的には電子書籍の問題というより、サイトのデザインや機能、運営方法などの問題だと思います。出版社の電子書籍サイトの構築やプロジェクトでは、システム支援やコンサルティングの形で、個別に対応することで、サイト運営や販促、集客に関する問題と対峙してきました。同じような展開で、弊社が対応することは可能です。
 例えばActiBookのようなシステムを使って、次のようなビジネスを考えることができます。ある会社が、自動車関係のコンテンツを集めた電子書籍ポータルを作ったとします。自動車関連の出版社が共同でそのようなポータルを作ってもよいかもしれません。そのようなサイトに、自動車メーカーが広告を出したり、共同のイベントを企画したり、メーカーとのコラボレーションが展開できます。
 電子書籍のポータルサイトが構築できれば、特定の業界に対してこのような呼びかけをしたり、新しいビジネスモデルの提案ができるのではないでしょうか。これまでは、そのようなサイトやプラットフォームを持てるのは、大手企業や大手ECサイトなどでしたが、ActiBookのようなパッケージソフトやツールを利用すれば、このようなビジネスのハードルを下げることができます。

――電子書籍の機能をパッケージソフトウェア化することのメリットはなんですか。

北村氏:ActiBookが完全なSaaS型の提供やライセンスビジネスではなく、パッケージにこだわっているのは、長期的なランニングコストを抑えるためです。
 電子書籍のオーサリングシステムや管理システムは、契約によっては、システム構築の初期費用が必要なうえ、月額料金+作成したページ数の従量課金を設定されるものが多いでしょう。これにECサイトの運営が関係してくると、売上をECサイトを運営するプロバイダやベンダーとシェアしなければならないという契約もあります。この方式のメリットは初期費用を抑えることができますが、ランニングコストを下げにくいデメリットがあります。とくに、コンテンツの商品力が高い場合、あるいは高まってきた場合、売上規模と比例して管理費やライセンス費用が増えていくことになります。
 ActiBookでは、オーサリング機能とEC機能のパッケージを購入して、そのあとのサイト構築や運営、その他をすべて自前で行えば、いくらコンテンツを増やそうが、いくら売れようが、追加で費用が発生することはありません。ただし、実際には、購入後のソフトウェアのバージョンアップを含むメンテナンス契約(月額固定)をしていただくことが多いです。この場合、完全な買い切りとはいえませんが、メンテナンス費用には、例えばiPad対応のように、新しいデバイスに対応されたとき、EC機能の拡張などが行われたときのアップグレードも含まれているので、むしろ積極的に契約していただいています。

――これからさまざまな電子書籍リーダーやデバイスが増えるとしたら、メンテナンス契約は十分元がとれそうですね。ちなみに、パッケージの価格や月額費用はどれくらいになりますか。

北村氏:ActiBookの基本パッケージが200万円でメンテナンス契約が月額2万円です。基本パッケージは、その時点での最新版として、リリースされている機能はすべて含まれます。その後のバージョンアップや機能追加は、メンテナンス契約があれば自動的に適用されます。これにリリース予定のEC機能も利用するなら、そのパッケージ価格と月額料金が必要となります。EC機能については、パッケージ展開をし月額定額、レベニューシェアなしのプランを展開する予定をしています。
《中尾真二》

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