孫社長×池田氏――光の道対談まとめと一問一答 | RBB TODAY
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孫社長×池田氏――光の道対談まとめと一問一答

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 ソフトバンクの孫正義社長と経済学者池田信夫氏による「光の道構想」についての対談の第2弾が、夏野剛氏の司会のもとで開催された。

 対談は孫社長のプレゼンから始まった。「光の道構想」支持派の孫社長の主張は、「現在ある6,200万の固定回線をすべて光回線に」しようというもので、税金をまったく使わず、民間企業により5年で実現が可能で、光回線の価格も現在のメタル線と同じ1,400円で提供できるとした。さらに「ADSL以下の値段で光BBの提供」「電子教科書・カルテの無料提供」「従来利用の電話の継続利用」なども併せて実現できると主張した。低価格で光サービスを提供できる理由としては、維持費のかかるメタル回線の完全撤去により、現在光とメタル合わせて年額1兆700億円の維持費を、約5,000億円削減できる点を挙げた。

 光回線が必要な理由としては、ネット利用人口・端末やコンテンツ容量の増加による、通信量の増加や、それに対応できる周波数帯域の不足などを挙げた。さらに、日本の経済成長のためにも、あらゆる産業がITを利用した21世紀型の産業構造に変えるべきだと主張した。
 
 また光回線を必要としていない世帯への導入の是非については、メタル回線を光に置き換えつつも、ターミナルアダプタなどを用いて、電話機や契約の変更なく利用できるようにするという。さらに工事費などの追加負担もなく、それでも固定回線を望まないユーザーには光敷設は行わないとした。

 一方池田氏は、IT推進による日本の経済成長や、通信量増加への対応の必要性は認めつつも、その対応策としては光の敷設ではなく、現在の非効率な周波数の割当ての改善が必要であると主張した。具体例としては、1番利用されている3GHz以下の帯域でも、90%以上利用されておらず、内訳としては、業務用無線が3GHz以下の4割を浪費し、テレビもUHF帯を占拠して使っていないなどの点を挙げた。これらの改善のためには、2011年7月にアナログ停波により300MHzが空くタイミングで、大規模な周波数の編成「電波ビッグバン」を行う必要があると語った。
 
 現状の問題点の認識に関しては、孫社長と池田氏の意見は一致したものの、解決の実行策については意見が分かれた。孫社長は光回線の敷設のために、NTTのアクセス回線部門を分離させ、光回線の敷設を進める民間の独立会社の設立を唱えたのに対し、池田氏は設立された新会社の経営陣が孫社長の考えに同意しない可能性もあるとした。以下は司会の夏野氏も交えた一問一答の抜粋。

池田氏:新しい会社の経営責任を負う、社長や取締役会が孫さんのプロジェクトに同意しない可能性もある。その場合はどうするのか?

孫社長:分社化をする前に大枠の考え方、基本的な数字が理に適うのかを、我々やKDDI、NTTの経営陣を含めて検証する必要がある。検証ができたら株主総会で役員を公選する。その際は、筆頭株主である日本政府、国民も交えて開かれた議論をすべきだ。

夏野氏:ただ郵政公社のように元次官が天下りをするケースもありますからね。

孫社長:だからそのような天下りは絶対にやってはいけない。

夏野氏:今でもNTTの経営陣は国が選べるはずだが実際はできていない。ある時点では大丈夫でも政権交代などにより状況が変わる可能性もある。また電子カルテや教科書の導入を進めるためには、文部科学省と厚生労働省という最大の抵抗勢力に働きかけなくてはならない。

池田氏:もしこれまでのデータや試算が正しいのであれば、孫さんが自身でやられたほうが良いのではないか。

孫社長:やれるならやりたいですよ。ただソフトバンクの経営もありますからね。新会社の社外役員の1人ということであれば僕は全然逃げませんよ。

 また地方を含めた全世帯に光回線を敷設することの是非についても議論された。

孫社長:光を全世帯に広げて、すべての人々の情報アクセス権を確保しなければならない。

池田氏:今年の3月に小笠原諸島に光ファイバーを引いた際は、住民が2,500人しかいないにも関わらず100億円もかかった。そのコストは東京都民が負担している。ようするにユニバーサルにサービスを提供するということは、一番条件の良い人々に課税するということだ。これによって都内の企業が余分な税金を負担することになり、海外の企業との競争力が損なわれる。

孫社長:ただ大赤字を出しているメタル回線よりは、光に変えた方が赤字は減る。また離島に生まれた子供だけが光を通した教育を受けられないというのは忍びない。

 通信量増大に対する解決策に関しては、設立されたアクセス会社のマネジメントや、ユニバーサルサービスの提供の是非について最後まで主張が分かれたものの、問題点の認識や、解決策のためのオープンな議論の必要性などについては2人の意見が一致した。

 さらに対談の最後には、ユーストリームとニコニコ生放送上の視聴者への質問も行われた。質問は「メタル回線から光への移行に賛成か?」「そのためにNTTの構造分離は必要か?」「利活用が伴わなくても、光をひくべきか?」「電波の再編は徹底的にすべきか?」などの質問が投げかけられたが、いずれも「はい」が8割を超える結果となった。
《RBB TODAY》
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