iDCのクラウド戦略「Cloud ISLE」発表——ビットアイル | RBB TODAY

iDCのクラウド戦略「Cloud ISLE」発表——ビットアイル

エンタープライズ その他

マーケティング本部 事業推進部 部長 高倉敏行氏
  • マーケティング本部 事業推進部 部長 高倉敏行氏
  • ビットアイルの都内データセンター。総ラック数は5,500以上
  • クラウド市場は伸びている。これからは活用の時代
  • Cloud ISLEによるクラウド対応iDC
  • Cloud LABのサーバー群。5つの仮想化プラットフォームがインストールされ、さまざまな検証が行える
  • Cloud LABのサーバー群。5つの仮想化プラットフォームがインストールされ、さまざまな検証が行える
  • ネオジャパン 取締役 狩野英樹氏
  • クラウドによってアプリケーションベンダの役割が変わる
 ビットアイルは14日、クラウドコンピューティングへの取り組みとして「Cloud ISLE」戦略と、それに関連する新サービスを発表した。発表を行ったのは、同社マーケティング本部サービス開発部部長 井手浩三氏、マーケティング本部事業推進部部長 高倉敏行氏と、新サービスのパートナー企業からネオジャパン取締役狩野英樹氏、アクセルビット代表取締役長谷川章博氏の合計4名だ。

■クラウドは活用フェーズに

 高倉氏は、ビットアイルの沿革と都内にある同社の4つのデーターセンターの現状などを解説したうえで、ITアウトソーシングやデータセンターの市場動向について述べた。それによると、国内のITアウトソーシング市場は、データ量の増加、その管理の重要性の高まり、環境対策、コア業務へのシフトといった要因から、堅調に成長しているとした。また、矢野経済研究所の発表によれば、この市場の2007年度〜2013年度の年平均成長率は4.3%であり、2013年には市場規模が3兆円を超えるとの予測もあるとのことだ。

 国内データセンター市場も、景気後退によるコスト削減圧力が高まっており、サーバーなどのハードウェア市場のマイナス傾向があるものの、逆に投資抑制などからデータセンターサービスの利用はむしろ増えているという(IDC Japan)。とくに2008〜2012年のiDC市場の年平均成長率は12.7%と、こちらも堅調に推移しているそうだ。同様にSaaS/XaaSといったクラウド市場と仮想化市場も拡大を続け、こちらの2008〜2013年の年平均成長率は、ともに25%を超える数字となっている。高倉氏は、今後は多数のベンダーからクラウド関連のサービス提供が開始され、仮想化の運用も拡大し、さらなる活用フェーズに入ると予測する。

 さらに、このような市場動向によって、ユーザーのビジネススタイルやニーズの変化が表れ、またIT業界もそれに呼応すべく変化を余儀なくされているという。とくにIT業界では、バリューチェーンの変化、ハードウェア・ソフトウェアの売り先、売り方の変化、システム構築からサービス構築への変化が重要となり、これにどのように対応していくかが業界に問われているとの認識を示した。

■「Cloud ISLE」戦略を推進

 ビットアイルでは、このようなクラウドコンピューティングへの取り組みとして「Cloud ISLE」という戦略を進める。これは、今後出現するサービスやビジネススタイルのニーズに応えるためのクラウド基盤を提供できるiDCとして、データセンターのサービスを強化するものだ。具体的には、ビットアイルが持つ4つデータセンターをひとつリソースプールととらえ、ユーザーの多様なニーズに対応すべく、小規模から大規模、短期から長期まで柔軟かつ広範囲に、クラウドコンピューティングする。そのため、サーバ、ネットワーク、OSや仮想化環境、運用や監視サービスを統合的に活用する基盤としたい考えだ。

 そして、「Cloud ISLE」の一環としてビットアイルが直接提供するサービス、Cloud LAB、サーバオンデマンド、プライベートクラウドを紹介した。、将来的にはクラウドを使ったディザスタリカバリ(DR)、SaaSプラットフォームの提供、クラウドインテグレーション、クラウドの運用監視などへと広げていく予定だという。

 Cloud LABは、クラウド環境構築には不可欠といえる各種の仮想化技術を検証するためのサービスだ。VMware、Xen、Hyper-V、Virturozzoなどを始めとする5つの仮想化製品のパフォーマンス検証やアプリケーションの動作確認などをできる環境を提供し、サービス提供を支援するというものだ。サーバオンデマンドは、主に既存のビットアイルユーザー向けに月額方式でサーバリソースを提供する。プライベートクラウドは、SIer向けにクラウド基盤を提供し、パフォーマンスとセキュリティを両立させたシステム構築に活用してもらうというものだ。

 これらは、類似のサービスがすでに存在するものだが、ビットアイルでは、既存ユーザーへの選択肢として提供するものなので、ユーザーの選択肢を広げるという意味とニーズに応える意味であらたにサービスメニューに加えた。クラウドといえど、都内にデータセンターが集中している同社の地理的なメリットは、競合サービスとの差別化にもなるの可能性を示した。

■アプリケーションオンデマンド

 今回の発表の目玉はもうひとつある。アプリケーションベンダーとの協業により展開するサービス「アプリケーションオンデマンド」だ。これは、ネオジャパンとアクセルビットとの協業によるクラウドを利用したアプリケーション展開サービスだ。アクセルビットが、仮想化技術によるクラウドアプリケーションの管理プラットフォームを開発し、ベンダーに対してサービス登録や課金管理のポータル機能を、エンドユーザーに利用ポータルを提供する。

 ここで、発表はネオジャパン 取締役 狩野氏にバトンタッチし、アプリケーションベンダとしてのクラウドへの取り組みと今回の協業について説明した。

 狩野氏は、クラウドコンピューティングについて、一般的なアプリケーションベンダーにとって、ビジネスモデルの面でリスクや障壁が少なからず存在しているという。パッケージとは違った販売チャネルやストック型ビジネスへの移行、ノウハウや既存リソースの再利用といった問題もある。また、SIerにとってもハードウェアコストの圧縮要請から、システム構築もサーバーや機器よりも、提案、コンサル、運用といったサービスやストックビジネスへの移行が進むとみている。その結果、システム構築におけるアプリケーションベンダの役割もクラウド対応という側面が重みを増すと述べた。

 アプリケーションベンダにとって、クラウド対応は火急の問題であるとして、そのためのソフトウェアの改修の手間をいかに省くか、既存のデータやリソースをいかに活用できるか、課金モデルをどうするかがポイントとなってくるそうだ。今回の協業は、まさにその問題へのひとつの回答となりえるものではないかという。

■共通プラットフォーム「AXLBOX」

 アプリケーションベンダとエンドユーザーをクラウドで結ぶための、共通プラットフォームとなるのが、「AXLBOX」だ。これを開発したアクセルビットの長谷川氏は、その管理画面をデモしながら、そのしくみを説明した。

 AXLBOXは、アプリケーションユーザーからはポータルサイトのように見える。ユーザーはプロバイダのブログやSNSのサービスを申し込むような画面や手順によって、使用したいアプリケーションを選択し、購入する。それによって利用可能になるアプリケーションは、ビットアイルのデーターセンター上に構築されたアプリケーションオンデマンドシステムだ。このシステムは、仮想化インフラにPVC(Parallels Virtuozzo Containers)を利用したサーバープールが構築される。アプリケーションベンダーは、自社のソフトをPVC対応させてリポジトリサーバに登録する。ライセンスの管理、ユーザーへのプロビジョニング、課金処理などは、PBA(Parallels Business Automation)が担当し、AXLBOXを経由してユーザーに配信されることになる。

 つまり、アプリケーションベンダは、自社製品のクラウド版をスクラッチで開発したり、ソフトウェアの設計を変更する必要がない。PVC対応への改修とテストを行えばよいだけだ。そして、ビジネス上で最大のネックとなるライセンス管理、課金処理、配信インフラなどの問題は、ビットアイルのデーターセンターの利用契約をするだけでクリアできてしまう。

 ビットアイルでは、アプリケーションオンデマンドのパートナーとなるアプリケーションベンダを広く募り、11月にはそのためのセミナーなども開催するとしている。
《中尾真二》

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