NECと東京医療保健大学など、医療用ICタグを用いて手術器械を管理 | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

NECと東京医療保健大学など、医療用ICタグを用いて手術器械を管理

エンタープライズ その他
手術器具をITで管理・追跡することが可能に
  • 手術器具をITで管理・追跡することが可能に
  • セラミック型ICタグを取り付けた手術器具(拡大)
 NEC、東京医療保健大学、ICタグ専門メーカーのKRDコーポレーションは5日、医療用ICタグを用いた手術器械管理システムを共同開発したことを発表した。

 外科手術の現場では、1回の手術で100本以上の手術器械を使用するため、この管理のための工数が莫大なものとなっている。このことが、手術器械などの体内置忘れなどの体内遺残事故の要因となっている。また、脳外科などでは、クロイツフェルト・ヤコブ病感染予防のため、患者に使用した手術器械の追跡・履歴調査が必須となっている。

 開発されたシステムは、手術器械(メス、鉗子などの鋼製小物)に、洗浄後の再使用の際に必要となる工程である高圧蒸気滅菌などに耐えうるKRDコーポレーション開発の特殊なセラミック型ICタグを取り付け、手術器械の製造・使用・滅菌履歴などを管理することを可能とするものだ。また体内への手術器械の置忘れを防ぐための手術中所在・定数管理も行えるとのこと。

 さらに、埼玉県済生会栗橋病院と東京大学の協力を得て、本システムの外科手術における臨床試験を9月から約6か月間実施中だ。この臨床試験は、NECがシステム・ソフトウェア開発、データ格納用のサーバーや院内LANの構築を行い、臨床試験(外科手術)とそれによる課題抽出は埼玉県済生会栗橋病院・東京大学の担当医師と看護師が担当し、試験の運営・データやシステムの有効性の検証は東京医療保健大学が行う。すでにここまでに、手術中、および手術に必要な工程に耐えうるICタグ自体の基本特性(滅菌耐性、超音波耐性、耐水性、耐衝撃性など)、タグの手術器械への取り付け方法や脱落防止が検証され、臨床応用のレベルに達しているという。

 この臨床試験は、手術器械管理に必要なプロセスに注目し、「手術器械の体内置忘れの防止のための手術中における所在・定数管理、手術の安全性向上」「滅菌・洗浄、手術器械の使用頻度と履歴管理、手術器械の滅菌・保管管理、病院の資産管理」を検証するのが目的となっている。NEC、東京医療保健大学、KRDコーポレーションは、本臨床試験により、情報通信技術、特にICタグを用いた安全な医療システムや、医師・看護師の支援システムの構築、さらには病院の経営効率向上の実現を目指すとしている。また、NECは今後、手術器械のICタグ管理パッケージ化などを進め、さらに本試験では、電子カルテなどへのICタグの活用や、将来の手術器械のレンタル業者委託(器具管理、洗浄、滅菌を含む)を想定した物流管理システムへの応用も想定しているという。
《冨岡晶》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

page top