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【富士通フォーラム(Vol.14)】富士通を変革する3つの起点——野副社長

エンタープライズ その他
富士通代表取締役社長の野副州旦氏
  • 富士通代表取締役社長の野副州旦氏
 「富士通フォーラム2009」で初日の14日、同社代表取締役社長の野副州旦(のぞえくにあき)氏による「富士通の変革 〜お客様のかけがえのないパートナーへ〜」と題した基調講演が行われた。

 講演の冒頭で野副氏は、富士通が「お客様のお客様起点」「グローバル起点」「地球環境起点」の3つの起点の変革に挑んでいくことを宣言。以下、それぞれの取り組みを説明していくことで講演は進んだ。

 まず「お客様のお客様起点」について野副氏はまず「お客様にとってシステムの投資効率は稼働後の利用率が決定する。いくら立派なシステムを作っても使ってもらえなければなんの意味もない」と指摘。そのためには「現場での業務運用をお客様の目線でしっかりと見て、システムだけではなく、主役である人やプロセスをあわせて改善していかなければならない」と語った。

 富士通ではこの課題を実現する牽引役として、15年以上の実務を経験した人材を中心に、2007年よりフィールドイノベーターの育成を開始。2007年10月に第1期の150人、2008年10月に第2期の167人のフィールドイノベーター(FIer)が誕生した。

 FIerはシステム開発後に顧客の現場に入り、納入したシステムの活用現場をウォッチ、モニタリングして問題点をSEにフィードバックしていく。それだけではなく、顧客といっしょに業務プロセスの改善案を考え、「システムを作りっぱなしにしない」という富士通の考えを実践していくという。

 野副氏は「FIerの育成は最後のステージに入っている。お客様からは『第三者視点による新たな気付きを得た』『事実に基づいた課題を可視化することによって改革意識が高まった』などの高い評価をいただいている」としながらも、「温かい目で接していただいているという甘さがまだ残っている」とも語った。今後も約300名のFIerを中心に、富士通グループ全体で知のネットワークを形成し、問題解決能力を高めていくという。

 また、もう一つのお客様起点として、富士通の受発注基幹システム「FOCS」のシステム再構築を例にあげ、自社での開発経験を積極的に生かしていくという方法も示した。「FOCS」は稼働から25年を経て、1,300のインターフェイスと69の周辺システム、6メガステップにものぼる肥大化したシステムになっていたが、2年をかけてSAP CRMを中核としたSOA(Service Oriented Architecture)に基づいた新システムに再構築したという。

 「かなりの費用がかかるため社内で反対意見も出たが、自社でやっていないシステム再構築をお客様に訴求することはできないという考えから実行し、結果的に多くの課題や経験を得ることができた」と、成果を紹介した。そのひとつが「XML大福帳」の開発。データそのものにXMLのタグを付けることで、膨大な取引データを削除・更新することなく時系列で記録することが可能になり、企業の活動記録を一元化できる。さらにデータの発生と処理を分離しているため、利用用途に応じて自由に選択できるのも利点となっている。また、アウトプットされたデータを単に表示するのではなく、グラフィカルなインターフェイスを使い、オペレーション責任者が直感的に状況を把握できるように表示する「マネージメント・ダッシュボード」も成果のひとつだ。

 次に「グローバル起点」について。富士通のグローバル展開のキーワード「Think Global. Act Local」を取り上げ「今まではAct Localの部分を重視しすぎており、Globalでものを考えるということができていなかった。これからはThink Globalという考え方を加え、真のグローバル化を目指していく」とした。具体的な施策としては、「シスコ、マイクロソフト、SAP、オラクル、インテル、レッドハットなどグローバル企業とのパートナーシップの強化」「リチャード・クリストウ経営執行役上席常務を中心とした海外部署の再編成」などをあげ、日本国内だけではなくグローバルに一貫したレベルのサービスを提供していくという。

 その中核となるのがデータセンター事業だ。サーバの仮想化、セキュリティ、電流監視、環境技術、共通リソース管理など、富士通が今まで培ってきた多くの最新技術を集約し、顧客となるベンダーがアプリケーションの開発に専念できるトラステッドなクラウドサービス・SaaSの基盤として、データセンターをグローバルに訴求していく。野副氏は「データセンターを核にしたサービスをやっていくことが、グローバル展開の近道。日本もひとつの市場にすぎない」と強調した。

 また、今年4月に富士通シーメンス・コンピューターズ(FSC)を買収・統合し、富士通テクノロジー・ソリューションズ(FTS)としたことに触れ、「シーメンスブランドが消えるということは富士通がグローバルに独り立ちすることの宣言だ」とした。これにともない、IAサーバをグローバルで50万台、シェア7%という目標を示し、「この数字を富士通全体としてグローバルで共通の目標に向かうという変革の核にする」と語った。

 3つめの「地球環境起点」について。「Green policy 21」「Green policy 2020」「Green policy Innovation」といった環境負荷低減への取組みや、電源、空調、証明など省電力運用マネジメントを活用したデータセンターの省エネ化努力、さらにそれを実践した館林システムセンター新棟などを紹介。さらに、同社の環境戦略でイメージキャラクターを努める女優の松たか子さんから「ずっと先の世代の環境を富士通のIT技術で守ってください」という言葉を贈られたことをあげ、環境起点をさらに重視していくと決意を新たにしたという。

 最後に黒川前社長が示したフレーズ「FUJITSU Way」をあげ、「これからの世界はますます大きく変革していくだろうが、今後も富士通は3つの起点により、お客様に貢献できるパートナーになり、共に進化していくことをこの場でお約束したい」と講演を締めくくった。
《田口和裕》
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