日本通信のb-mobile 3Gはどこまでつながるか? MVNOのFOMAエリアと速度を検証
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b-mobile 3Gの料金体系だが、本体は通信料を含んで39,900円。通話時間は150時間、もしくは開通から480日間のどちらかに達するまで利用することができる。課金は1分単位なので、無線LANなどにある都度課金よりも効率はよい。データ通信カードの月額固定料金が5,000円とすれば、8か月分というのはちょっと高いと感じるかもしれないが、端末本体の購入代金も含まれているのでやむをえないともいえる。規定の通話時間を終了したら2回目以降は通話料だけの延長ができる。
実際に自分がこの方式で通信料を安くできるかは、まさに利用スタイルによってさまざまだ。一概にはいえないが、b-mobile 3Gのもうひとつの特徴、通話エリアの広さは万人にとってわかりやすいものだ。FOMAエリアならつながらないということはない。他キャリアやサービスで都市部以外通話やデータ通信ができないという経験をしたユーザーならわかると思うが、FOMAエリアなら、ほとんどの場所で圏外を心配する必要はない。3Gエリア(FOMAハイスピードエリア)以外は、3.6Gbpsのベストエフォートは適用されないが、それでもつながらないということはない。混雑時などに帯域を制限されることはあるが、これも他の(音声サービスのネットワークを利用している)パケットサービスと同様だ。
編集部では、このエリアの広さを検証すべく、取材や記者の個人的な旅行などに実際にb-mobile 3Gを持ち出して、接続とスピード計測などの実験を行ったので、その結果をお伝えしよう。
まず、オフィスのある新宿野村ビル(11F)でのスピード計測の結果だ。みてのとおり、1Mbps前後から最大で3.5Mbps前後(ダウンロード速度。明記がなければ以下同)とベストエフォートいっぱいの数字も記録できた。この数値ならストリーミング動画も問題なく視聴できる思ったが、YouTubeは動画がコマ送りのようになったし、Skypeも音飛びのはげしいものとなった。これは一般的なキャリア系のデータ通信サービスと同様、パケットの種類やアプリケーションによってインターネットのサービスは制限されることがあるのであきらめるしかない。
次は記者の自宅周辺の川崎、横浜での実験結果だ。調べたところはすべて「FOMAハイスピードエリア」だったが、速度は新宿より若干低いものとなった。それでも自宅(木造)で2Mbps前後はでているようだ。今回、混雑時の帯域制御がかかったと思われたのは、横浜のイベントホールでの利用のときだ。おそらく通常なら圏外となるコンクリートの建物の中だが、屋内アンテナを立てていたものと思われる場所だ。夏休みのイベント会場だったので、一般の来場者が多く、通話が施設内のアンテナに集中しやすいためか、ブラウザの閲覧中にほとんどフリーズするような現象が確認された。
都市部でつながるのは当然として、地方や観光地ではどうだろうか。夏休みの旅行などを利用して、いろいろ持ち出してみた。最初は、ベタな観光地で恐縮だが、伊豆方面だ。伊豆高原、熱川のホテルや観光施設だが、ここでも圏外の心配はなかった。ハイスピードエリアでないともう少し速度が落ちることもあったが、結果はだいたい1Mbps前後だった。
高速道路のサービスエリアなどでも調べてみた。現在、NEXCO中日本管轄の主要サービスエリアはほとんどFREE SPOTに対応しているが、インフォメーション周辺のみで、駐車エリアや屋外では電波が弱くてつながらないことが多い。休日など建物内が混雑しているときに、屋外や車の中で使えるのはうれしい。さすがにサービスエリアなどはハイスピードエリアでないところもあるが、とりあえずつながることでメールチェックなどは問題ない。インターネットでカーナビや携帯電話と違った観光地や道路情報を調べられる。
さらに、本来ならPCなど持って行きたくないところだが、長野県の霧が峰高原周辺での接続、計測結果が以下だ。霧が峰のビーナスラインのほぼ頂上にあたるドライブインのあるあたりと遊歩道なども接続は問題ない。さすがに、このあたりはFOMAハイスピードエリアではないので、速度的にはちょっと厳しい数字となっているが、折りしもお盆休みの真っ只中だったので、通話トラフィックもそれなりに高かったと思う。帯域制御が入った結果とも解釈可能だ。
そこから少し下った女神湖周辺も同様だ。湖の上など本来PCなど持ち込むべきではないが、もちろんそこでもつながった。
場所によって通信速度の問題はあるが、少なくともb-mobile 3Gのエリアに関しては、人間が普通に移動できる場所ならどこでもインターネットに接続できると思ってよい。まさに圏外知らずだが、FOMAの通信カードでも同じという意見もあるだろう。もちろんそのとおりなのだが、冒頭に述べたように、定額制ほど使わないユーザーはb-mobileなどのプリペイド方式の検討の余地はあるだろう。また、ドコモ以外のキャリアのユーザーが、移動時のバックアップとして持つという使い方もある。つながるところなら、HSDPAでも7.2Mbpsのサービスもあるし、auもソフトバンクもデータ通信サービスを提供している。しかし、エリアの広さと安定性の面でドコモのインフラというメリットは否定できない。バックアップ的な目的こそ、月額固定よりプリペイド方式のほうが利用しやすい。利用形態や目的によっては、けっこう便利な通信モジュールといえるだろう。
なお、今回はダウンロード速度のみに注目したが、アップロード速度は上記のスピード計測のスナップショットをみてのとおり、ハイスピードエリアでも300kbps前後となっている。この速度は、取材で大きな写真データなどを送りたいときに不便に感じてしまうが、現状において通信カードやノートPC環境でのアップロード速度は電力消費の関係で、回線の帯域を有効に使える状態にない。b-mobile 3Gに限らず、アップロードは、PC本体や通信モジュールからそれなりの出力で電波を送信しなければならない。発熱やバッテリの消費を気にしなければもっと速度を上げることは不可能ではないが現実的ではない、これは業界全体の今後の課題である。
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