【最新ストレージ動向(事例紹介)】システムリプレイスで保守コストが約1/4に——「AmebaVision」運営のサイバーエージェント | RBB TODAY
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【最新ストレージ動向(事例紹介)】システムリプレイスで保守コストが約1/4に——「AmebaVision」運営のサイバーエージェント

エンタープライズ その他
「アメーバビジョン」
  • 「アメーバビジョン」
  • 株式会社サイバーエージェント 新規開発局 インフラグループ 永栄宏安 氏
  • 「運用開始から5ヵ月経過してますが、専任者を置く必要がないのでたいへん助かっていますね」
  • Isilon IQ 200
 動画共有サービス「AmebaVision(アメーバビジョン)」(http://vision.ameba.jp/)を運営する株式会社サイバーエージェントは、同サービスのシステム全体のパフォーマンスを改善すべく、わずか1ヵ月弱という短い開発期間でシステムの全面リニューアルを実施。同時に、ユーザーが投稿した動画データを格納するストレージシステムの再構築にも着手した。

 サイバーエージェントは、インターネットメディア事業・インターネット広告代理事業を主軸とするインターネット総合サービス企業だ。なかでも同社が運営する「Ameba(アメーバブログ)」は、ユーザー180万人(2007年7月時点)を誇る国内最大級のブログサービスとなっている。このアメーバブログと連動して、動画共有サービス「アメーバビジョン」や、ブロガーと企業をつなぐクチコミ促進サービス「AmebaPR」など、Web 2.0をキーワードとした新サービスが次々と投入されている。

●動画共有サービスのリプレイスに伴い、ストレージシステムの再構築も急務に

 2006年2月にスタートした「アメーバビジョン」は、公開された動画にコメントや評価を付けることで他のユーザーとコミュニケーションをとったり、気に入った動画を自分のブログに貼り付けたりできるユーザー参加型の動画配信サービスである。同サービスのシステム構築は、外部の開発会社へのアウトソーシングによるものであったが、サービスの成長に伴って安定性やパフォーマンス性が低下。月々の運用コストも高額となっていたため、自社開発によるシステムの全面リプレイスに踏み切ることになった。

 その際、ユーザーが投稿した動画データを格納するストレージの再構築も検討された。サイバーエージェントの新規開発局 インフラグループの永栄宏安氏は、「B-to-Cは、ユーザーが増えアクセス数が増えていくのが大前提であり、それがビジネスの成功につながります。ところが、アウトソーシング先が旧システムで採用したストレージはスケーラビリティがなかったのです」と振り返る。ストレージの再構築にあたっては、サービス要件とコストのバランスから、IAサーバにほぼ決定されていたという。しかし土壇場で新たな提案としてあがってきたのが、アイシロン・システムズの「クラスタ ストレージ」だった。

 アイシロンのクラスタ ストレージ“Isilon IQ”製品ファミリの特徴は、ファイルシステム/ボリュームマネージャ/RAIDを1つのファイルシステム“OneFS”に統一している点にある。これにより、1,600テラバイトまでの単一のファイルシステムを可能とし、運用の大幅な簡略化を実現した。増設に要する時間も、ダウンタイム発生なしの60秒以内というから、従来のNASやSANでは考えられない簡単さだ。

 「IAサーバと同等の初期導入費と月額運用コストを達成できるならば、アイシロン製品にしようか、という話になり、当初予定していたIAサーバからアイシロン製品へと、一気に構成がひっくり返りました」(永栄氏)

●検討開始から導入までわずか1ヵ月弱

 アイシロン創設メンバーでありCEOであるSujal Patel氏は、音声ストリーミングに適したファイルシステムを開発するためにアイシロンを設立したという。そのため、アイシロンの初期の顧客は、アメーバビジョンのようなストリーミングサービスの会社が中心であったというが、アイシロン製品の操作性と拡張性が他市場でも評価され、現在では、インターネット/Web 2.0、エンターテイメント分野のみならず、膨大な量の臨床研究データや法律文書の保管など、官学、ライフサイエンスの分野でも多くの大手企業で導入実績を持つ。

 永栄氏によると、ストレージは2〜3年先を見据えて製品を選定するため、ベンダーの統廃合が激しいネットワーク機器の選定にあたっては、「日本進出したばかりのベンダーの製品は採用しない」というのが基本方針だそうだ。そうした方針にもかかわらず、2001年に米国シアトルで設立され、2005年6月に日本市場へ参入したばかりのアイシロンをあえて採用したことについて、永栄氏は、「コスト面に加えて、その運用性の高さを評価しました。アイシロン製品は、手離れがよく、たとえディスクが壊れてもデータが守られるという、従来のストレージにはないクラスタ ストレージの運用性と信頼性の高さを評価しました」と語る。

 “Isilon IQ”製品ファミリは、Isilon IQ 200、1920、3000、6000、9000、12000のプラットフォームノードのほか、Isilon EX 6000、EX 9000、EX12000およびIsilon IQ Acceleratorの拡張ノードが用意されている。サイバーエージェントでは、今年6月下旬の「アメーバビジョン」システムリニューアルを目前にした5月下旬に購入を決定し、「IQ 200」を3台(ノード)導入した。

●ハードウェア障害に強いアイシロン製品の信頼性を実感

 「新サービスのスタートにあたり、我々に与えられる開発期間は通常1ヵ月未満。そういうスピード感でインフラを構築しています。通常のアプライアンス製品であれば、ベンダーさんやSIerさんにお願いして構築し、それなりに日数がかかってしまうものですが、IQシリーズは買ってきてインストールまで、何をやったかまったく記憶に残っていないほどあっさりと終わりました(笑)」(永栄氏)。

 アイシロン製品の運用開始から5ヵ月を経て、永栄氏は「ほとんどほったらかしです(笑)。専任者を置く必要がないのでたいへん助かっていますね。現在は、ネットワークのエンジニアが片手間に対応しています」と語る。今回はシステム全体のリニューアルということで、アプリケーションの設計も大幅に改良されたため、旧ストレージとパフォーマンスを比較することはできないが、保守コストの観点からは、「4分の1」のコストダウンを実現できたという。

 また運用開始以来、ハードウェア障害を一度だけ経験したというが、「さすがクラスタ ストレージですね。ユーザーの動画データが失われることはありませんでしたし、大規模な問題にはいたりませんでした」と永栄氏は語る。アイシロン製品は、データをクラスタ内で分散して格納し、ドライブやノードで障害が発生した場合も自動的にデータを再構築するため、ユーザーが投稿した大切な動画を消失から守ることができたというのだ。

 「アメーバビジョン」においてアイシロン製品の運用性が証明されたことから、SNSサービス「プーペガール」(http://pupe.jp/)においても、ユーザーがアップロードするブランド服や小物などの画像用のストレージ用としての導入が検討された。以前はIAサーバで構築していたが、台数が多くて管理の負荷が高かったというのだ。そこで今年10月、プーペガール用として新たに「IQ 200」を1ノード購入。これにより、「ユーザーのWeb操作のパフォーマンスが2倍以上になった」(永栄氏は)という。

●インフラの選定はあくまでサービス要件しだい ─2008年の計画に向かって─

 サイバーエージェントは「2008年売上1,000億、利益200億計画」を掲げている。この計画のもと、それぞれのサービスにおいてユーザー数とページビューの目標値を設定し、それを満たすネットワークおよびシステムの構成とコストのバランスを見つつ、機器購入やシステム開発が一気に進められるという。

 今後もアイシロン製品へのリプレイスを進めていくのかという問いに対し、インフラのコスト管理を行っている永栄氏は、「運用コストの観点からは、できるだけ複数のサービスを集約して管理・運用していきたいと考えていますが、初期費用がSANやNASと比べると格段に安いとはいえ、IAサーバよりも高いんですよね」と厳しい。「我々インフラのチームは、サービスの成長に従い、それよりも低い伸び率にインフラコストを抑えることが要求されています。今後のストレージ構成については、あくまでも各サービスの要件に沿って、コスト重視で決定していきます。そのうえでアイシロン製品に決定したら、またぜひとも我々の力になっていただきたいですね」と語る。
《RBB TODAY》
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