BTSなど多数の人気K-POPグループを擁するHYBEのパン・シヒョク議長が、自身の不正取引疑惑に関して口を開いた。当局の調査に応じる意向を示すとともに、HYBEの社員や関係者に向けて謝罪のメッセージを送っている。
パン議長は8月6日、HYBE社内の社員らにメールを送り、「昨年から続くさまざまな状況に加え、最近の私的な問題まで重なり、会社および私の名前が連日のように好ましくないニュースで取り上げられている。HYBEの一員であることに強い誇りを抱いていた社員の皆さんにとって、どれほどの困惑と喪失感、そして不安を感じておられるか、計り知れない」と心情をつづった。
続けて、「創業者であり議長である私が、このような心配をおかけしてしまったことに対し、重い責任を痛感している。まずは、このすべての状況により不快な思いをされた皆さんに、心からお詫び申し上げたい」と謝罪した。
「私も苦しい時間だった」
また、HYBEの設立から現在までの成長を振り返りつつ、「音楽産業の高度化という大きな夢と使命感のもとで始めた事業であるだけに、その歩みの中でも自分に恥じぬよう最善を尽くしてきたと自負している」としたうえで、「しかし、その“自信”が時に“驕り”として映っていたかもしれないという点については、謙虚に省みている。成長の過程で見落としたことや、配慮が足りなかった部分がなかったか、改めて深く見つめ直している」と述べた。
「社員の皆さんに大きな心配をおかけしていることは十分に自覚している。それにもかかわらず、これまで数カ月にわたり、数々の疑惑や論争に迅速に対応できなかったことは、私にとっても苦しい時間だった」と明かし、「特に、私個人の問題によって、自由に創作活動や事業を展開すべき社員やアーティストたちが、直接的・間接的な被害を受けるのではないかという思いに、申し訳なさが募っていた」と付け加えた。
パン議長は「私自身もクリエイターの一人であるため、このような状況は一層つらく感じられた」としたうえで、「現在、当局の調査が進行中であるため、私の発言一つひとつに慎重にならざるを得なかった点については、どうかご理解いただきたい」と述べた。
さらに、「私個人の問題が会社や業界にこれ以上の負担をかけることは、何よりも避けなければならないと痛感している。カムバックを控えたアーティストたちの音楽制作や、会社の将来に向けた事業拡大のため、ここ数年はやむを得ず海外に滞在する時間が長くなっていたが、急を要する業務や会議は一旦後回しにし、早急に帰国して当局の調査に真摯に臨むつもりだ」と表明した。
家宅捜索、税務調査も
疑惑の中心となっているのは、HYBEが上場準備中だった2019年、パン議長が一部のベンチャーキャピタルなど既存株主に対し「上場予定はない」と伝えていたとされる点だ。これにより投資家が株式を手放し、パン議長と関係のある私募ファンド傘下の特別目的会社（SPC）が株式を取得。その後、HYBEの上場によって株価が上昇し、SPCが株式を売却。パン議長は事前の株主間契約に基づき、約4000億ウォン（約400億円）の売却益のうち30％を受け取ったと報じられている。
金融監督院は、この一連の行為が資本市場法上の「詐欺的な不正取引」に該当する可能性があると判断。警察は7月24日にHYBE本社などを家宅捜索し、29日には国税庁も税務調査に着手した。
パン議長は、「すでに金融当局の調査時にも、上場当時の状況について詳細に説明した。今後の調査にも誠実に対応し、改めて丁寧に説明させていただく。事実関係が明らかになることを期待しながら、当局の判断を謙虚に待つつもりだ」と強調。
最後に、「私個人の問題が、皆さんの才能や能力、そして挑戦の精神にとって妨げとならないよう、この状況を説明し解決していくことに全力を尽くす」とし、「皆さんがそれぞれの持ち場で創作やビジネスに集中できる環境を守ることこそが私の責務だ。HYBEのすべての社員と同じく、私自身も音楽と産業の発展のために献身するという初心を失わず、絶えず自省していく」と締めくくった。
