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入院中でもネットが使いたい!IT戦士が病院で思う夢かなう

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ナナオのベッドサイド用ディスプレイ。このような端末や表示装置で、入院患者はテレビを見たり、診察情報を閲覧したりできるようになるかもしれない
  • ナナオのベッドサイド用ディスプレイ。このような端末や表示装置で、入院患者はテレビを見たり、診察情報を閲覧したりできるようになるかもしれない
  • オープンインターフェイスのベッドサイド端末。入力はタッチパネルが基本となる
  •  国際モダンホスピタルショウ2007が開催中である。ここでひとつのトレンドが見えてきた。病院のベッドサイド用の情報端末の市場が立ち上がりつつある。
 国際モダンホスピタルショウ2007が開催中である。ここでひとつのトレンドが見えてきた。医療現場においても電子化の流れは順調に進んでいることは、もはや誰もご存じだろう。領収書がプリントアウトされて、保険点数や自己負担額が記載されている。また、電子カルテが導入され、診察時にはPCを見ながら問診をされることもあるだろう。

 これまでの医療の電子化は、電子カルテやレセプトや、予約だったりというところにばかり話がいきつつあるが、そうしたコア部分が徐々に電子化対応することで、最後に患者に大きなメリットとして電子化の恩恵が戻ってくる。それは、病院にいながらしてネットを使うという姿だ。これまでの病院は、コミュニケーションインフラを絶たれており、携帯電話もPHSも利用禁止がごく普通で、IT従事者にとって鬼門でもある。ところが、これからはネットワークにつながるような環境は整いそうだ。そのキーワードは3つあり、

 1)アナログ地上波の停波
 2)医療現場の電子化
 3)患者満足度の向上

だ。

■地上アナログ停波がベッドサイド端末切り替えに拍車をかける

 入院している方のお見舞いにいくと、ベッド脇にテレビがあって、冷蔵庫があってという風景を思い出すだろう。今、このベット脇のテレビをめぐる戦いが進んでいる。なにしろ、2011年には地上アナログ放送が停波する。病院経営者にとって、ベッド脇のテレビをどうするかはこれから頭の痛い課題だ。単なる地上デジタルチューナだけでいいのか、それとも、地上デジタル放送も受信できるような統合型の端末のほうがいいのか。

 医療業界も経営効率の波が押し寄せてきて、患者満足度を高めて、安心して入院してもらえる施設作りが求められている今、テレビを代替する選択肢として、地上デジタル放送が受信できるPCをおき、情報も入手できるようにしてしまおうという流れができてきた。とはいえ、単にPCをおけばいいというわけではない。セキュリティを重視するのことは当然。タッチパネルで誰もが簡単に使えるような仕組みだって必要だ。また、ベッドの横という場所だけに、粉塵対策も必要であるし、静音性も防水性に関してもいままでのPC以上に求められる。単にPCをおけばいいというわけではない。

 ベッドサイド端末と呼ばれるこの分野のPC端末は、ここ数年で各社が参入してきた。

■市場はまだまだ。産婦人科や小児科から導入が進む

 ところが、こうしたベッドサイド端末を実際に目にすることはあまりない。それほどスタートしたばかりの市場で、これから徐々に導入が進んでいくもので、病院全体にどんどん導入されるというものでもない。今は、テストケースとして一部の診察科目から導入が始まり、その結果を見て院内へ徐々に広げていくというような状態だ。

 そして、最初に選ばれる診療科目は、産婦人科や小児科であることが多い(ヴァイタス、オープンインターフェイス)という。この理由はわかりやすく、子供が病院にきたときや入院しているとき、興味を引くようなテレビ番組が放送されていないときこそ、ベッドサイド端末のチャンスがある。ビデオ代わりに子ども向けコンテンツのVoDサービスが利用できれば、子供にとっても親にとっても安心できる時間が過ごせる。これまでの数年間は、こうした用途でベッドサイド端末が導入されていた。

 こうした試験的な導入と共に、医療現場全体の電子化が進んでおり、これがベッドサイド端末の拍車をかける。とかく、病院のミッションは、患者が回復して社会復帰できることであり、患者本人に回復へのモチベーションを保持し続けることが必要だ。

 たとえば、入院患者には、体温や血圧など、さまざまな体調検査が日々実施されている。こうした記録を患者自体がみられれば、あるいは、投薬の情報も入手できると、どんな薬を飲んでいるかがすぐにわかり、回復や退院のモチベーションがもっと高まるかもしれない。手術入院した場合も、手術に関する情報や説明ビデオが見られるなら、安心して手術に望める。

 今や電子化が進んだことで、日々の記録や投薬情報が、すべてサーバに管理されるようになった。それらの情報をインテグレーションして、患者自体が簡単に見られる仕組みをベッドサイド端末に入れこむことはそう難しくない。そのほか、食事メニューの希望選択や外泊申請、次回の回診や検査のスケジュールといったものも、こうしたベッドサイド端末で選んだり参照できるようになる。

■ベッドサイド端末の市場

 イベントの会場では、いくつもの会社がベッドサイド端末をリリースしているを目にする。ナナオのブースにおいても、ベッドサイド端末が展示されていたが、ナナオはあくまでもディスプレイとしての立ち位置での製品展示だ。それでも、タッチパネルとしっかりとしたアームでベッドサイドデヤスプレイとして製品を出すほど、この分野は今後成長の可能性があるといえる。それはナナオに限らず、iiyamaもそうで、ディスプレイメーカもすでに動き始めている分野だ。

 ディスプレイがあれば、中の仕組みとPCも必要ということで、ソフトウェア側やインテグレーション部分を中心にビジネス展開し、ベッドサイド端末をパッケージ化しているのが、ヴァイタス、オープンインターフェイス(OI)、プロテクトといった会社だ。ヴァイタスは通常のPCとディスプレイを合わせてシステム開発をする。OIも同様にシステム開発中心であるが、Windows Embededベースの専用PCと病院の雰囲気にマッチしたディスプレイを自由に選択し、そのディスプレイにタッチパネルを組み合わせて提供するところで差別化をしている。原色を使った家電の薄型テレビにタッチパネルがつき、PCが操作できる風景は、産科で雰囲気を大事にする個人病院に向いている。プロテクトも前2社と同様だが、一体型のベッドサイド端末にしてしまっている点がもっとも異なる。

 いずれの会社も、共通することは病院という環境に特化した形でPCを設置し、SIを加えて病院の電子化の仕組みと組み合わせられることになる。また、キーボードはマウスは使わずに、タッチパネルとソフトウェアキーボードで対応する。これも病院という特殊環境を考えた上でのことだ。

■コンタクト手段としてメールやIP電話が使えるようになる

 ドクターがいなくなったり、自治体などが運営している病院が閉鎖したりといったニュースやドキュメンタリーは各所で目にしているだろう。病院の経営はその病院のコンセプトをはっきりさせて、しっかりとした差別化と患者満足度で勝負をかけることまで要求されている。急患でない場合は、手術の手腕と入院施設とケアで患者満足度は高まるとした場合、入院施設としてベッドサイド端末はひとつの売りになる。

 IT戦士が入院した場合、たいていは携帯電話・PHSは利用禁止なので、電子機器を持ち込んだとしても利用ができない。つまり、ネットワークとは縁のない生活を過ごすことになる。それでも仕事のメールはやってくる。すべての患者や診療科目に有効ではないが、その状態を考えると、ベッドサイド端末でネットワークにつなげて、最低限メールとウェブ閲覧ができる機能のニーズはありそうだ。
《公家幸洋》
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