【レポート】福井ケーブルテレビ、ミテネインターネットによるWiMAX公開実験 | RBB TODAY

【レポート】福井ケーブルテレビ、ミテネインターネットによるWiMAX公開実験

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実験前のミーティング風景(向かって左が山崎氏)
  • 実験前のミーティング風景(向かって左が山崎氏)
  • 福井豪雨の様子(総務省ホームページより)
  • WiMAX基地局のアンテナ
  • ライブ中継車
 6月18日、福井ケーブルテレビとミテネインターネットは、テレコムサービス協会北陸地区ネットビジネス研究会を呼んで、WiMAX実証実験の模様を公開した。

 同様なWiMAX実証実験は1〜2年前より、いくつかの事業者が行っているが、具体的な数値スペックやアプリケーション用途が公表されることは少なく、今回の公開実験では同社が考える具体的な提供サービスが示され、出席者にもサービスイメージが伝わりやすい内容となった。

 公開実験に先立ち、ミテネインターネット取締役 統括部長 山崎貞人氏より、今回の実験のポイント、狙い、背景などが説明された。同氏によると、2004年の福井豪雨による足羽川決壊、洪水の被害が出た当時、通信インフラが軒並み使いにくくなったが、グループ会社の福井ケーブルテレビが地域放送であるコミュニティチャネルで延々と各地の浸水の様子を放送したことが住民に高い評価を得たことが背景としてあると説明した。その時「現場から可能な限り綺麗な映像をリアルタイムに流す」ことの必要性を感じたと言う。

 比較的長距離に動画などを送信するために、携帯電話の回線を複数束ねて使う方法があるが、この「バルク方式」では、通信料金が非常に高くなる。そのため、初期インフラも携帯電話などに比べれば低く、運用費用、通信費用も抑えられ、なおかつ数Mbps以上のスループットを出すWiMAX方式に注目をしたそうだ。

 今回の実証実験では、3月末に免許申請をし、5月には本免許が交付された「スピード申請」も大きなポイントにあげている。通常こういった実験局の免許でも、申請から交付まで3か月から6か月程度かかるものだが、同社の場合は2か月以下と、従来のWiMAX実験と比較しても段違いに速い。同席した協会のメンバーからも「なぜなのか」と質問が出ていた。山崎氏は「単なる電波測定ではなく、利用用途を明確にしたアプリケーション、サービスを総務省、北陸総合通信局に説明し、趣旨を理解していただいたから」と説明する。

 2週間をかけて40か所以上を測定し、スループットは「10MHz/16QAMシステムでは、ほぼフルスペックの値」が出ていると説明。なお、具体的な数値については、現在も試験中であり、最終的な報告を行うまで待って欲しいとのことである。

 概要説明のあと、場所を変え、試験を行っている現場へ案内された。会議室にはところ狭しと並べられたPCや機器があり、実際に河原へWiMAX子機を持って行っている作業員と通信を行う様子を見せてくれた。

 まずはじめに現場のカメラから専用のエンコーダ/デコーダを使用したライブ中継を行った。エンコーダ側で動画のエンコード速度を1Mbpsにしているが、予想以上にクリアで、一瞬静止することがたまにあるものの、車など速い動きのものもスムーズに流れていた。

 商用サービス時の使い方イメージとしては、仮に携帯電話がつながりにくい状況が発生したとしても、WiMAXを使って現場作業員とセンターのオペレータがスカイプなどでビデオ電話を行い、映して欲しい現場の地点を確定した後エンコーダ/デコーダなどで高解像度な映像を送り、センター側の大画面テレビで状況を把握するということを想定している。山崎氏によると、リアルタイム性を確保するとともに、テレビ、新聞などへ二次配信を行い、また自治体各方面と連携することで、こういった映像を役立てたいと説明する。例えば、災害時に公会堂などへ避難している住民向けに、リアルタイムに映像を流すといった用途にも使えるとのことだ。

 次にデモンストレーションを行ったのが、監視カメラシステムである。通常の監視カメラでは単純にカメラを設置し、録画行うだけというものが多いが、今回見せてくれたのは、これに動体検知システムを組み合わせ、一歩進んだ使い方である。

 デモではリアルタイムに映し出される映像に対し、車だけを検知し、さらに左右どちらから来ているのかも区別して報告するシステムを見せてくれた。侵入検知用として開発されたシステムであるが、例えば洪水が発生した足羽川沿いにカメラを設置し、日頃から水位を監視するという用途にも使えると言う。動体検知システムを使うことで、事前に危険水位を設定しておけば、その水位を超えた途端にセンターへアラームが発報されるというわけだ。

 今回のカメラシステムを提供しているのは、ビル入館管理システム、防犯システムなどを長年手がけるケーティーワークショップで、同社が代理店として扱うIntelli-Visionの動体検知ソフトウェアを使用している。同社の製品は今まで難しいとされてきた「複数の人が入り乱れる状況」でも一人一人を区別できるなど、検知能力に優れていると言う。このシステムを使うことで、水位が増えてきた時には発報し、水位が減った時にはアラームを取り下げるといったソリューションも考えられるとのことである。

 6月に行われている1か月だけの短期スケジュールの中で、電波測定、スループット測定といった基本的なことから、アプリケーションの可用性まで測定を行っており、同席したメンバーからも「こういう風に使うのかというイメージがよく分かった」という言葉が出ていた。2.5GHz帯を使用したWiMAX免許のうち、地域向け免許は地域サービスが主眼となっており、福井ケーブルテレビとミテネインターネットは、実験段階からこのコンセプトを明確に具現したものといえそうだ。


レポーター:IRIユビテック 椋野 慎一
《RBB TODAY》

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