「vPro」はPCメーカー主導のプラットフォーム -インテルインタビュー | RBB TODAY

「vPro」はPCメーカー主導のプラットフォーム -インテルインタビュー

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【左】インテル代表取締役共同社長の吉田和正氏【右】インテル デジタル・エンタープライズ事業本部 デジタルオフィス事業部長のグレゴリー・ブライアント氏
  • 【左】インテル代表取締役共同社長の吉田和正氏【右】インテル デジタル・エンタープライズ事業本部 デジタルオフィス事業部長のグレゴリー・ブライアント氏
 11日の午後、vProテクノロジー・コンファレンスでプレゼンテーションを行なった米インテル デジタル・エンタープライズ事業本部 デジタルオフィス事業部長のグレゴリー・ブライアント氏を始めとするインテルの担当者がプレスとのグループインタビューに応じ、vProに関する質問に回答した。

−−vProの導入はマーケットにどのような影響を与えるか?

 vProの導入で、企業向けPC市場は成長すると予想されており、PCメーカー大手はほとんどがvProプラットフォームの採用を決めている。インテルが市場をリードしていると言われるが、実は逆にインテルが市場にリードされていると言うべきだ。つまり、PCメーカーにユーザーから寄せられる「セキュリティや運用管理機能をなんとかせよ」という声が、vProを実現させたのだ。従来から、こうした機能はPCメーカーが独自ソフトウェアとして添付したりしており、ソリューションが全くなかったというわけではないが、問題点としては導入に関しての動作検証や各種ソリューションの組み合わせの確認の負担が大きかったことだ。

 インテルは3年半ほど前にこうした状況に着目し、プラットフォームレベルでサポートすることで導入を容易にし、すぐに利用可能な形で提供することを考えた。インテルが「使ってほしい」と提案したというよりは、むしろ市場に存在する需要に対応した機能をプラットフォームに組み込み、PCメーカーやISVとの協業によってソリューションを実現するという流れだ。もともとあった需要に対応する機能の供給と考えれば、これが市場に受け入れられるのはいわば当然と考えられる。

−−vProのモバイル対応と今後の機能強化

 ノートPC型のvProの提供は、2007年前半に、Centrinoの新しいプラットフォームであるSanta Rosaを対象として行なわれる計画だ。また、Trusted Execution Technology(TXT、トラステッド・エクゼキューション・テクノロジー、旧称LaGrande)の投入は、2007年半ば頃から、まずデスクトップ向け、続いてノートPCに追加展開していく予定になっている。

−−旧モデルからの移行支援策

 企業ではそれぞれのPC更新サイクルに基づいて少しずつ機種を入れ替えていくことになるので、移行過程でvPro対応モデルとそれ以前のモデルが混在する環境が必然的に生じることになる。移行期にユーザーの負担を増やさないためのインテルの取り組みとしては、管理コンソールの統合がある。旧機種もvPro対応機種も同一の運用管理ツールで管理でき、vPro対応機種に関してはさらに先進的な管理機能が利用可能になる、という形で運用管理インターフェイスを統合することで、運用管理が煩雑になってしまわないようにする。

 一方、旧機種に対してvProで実現された機能を提供する計画はない。vProの機能の多くは新しいチップセットやプロセッサといったハードウェア・コンポーネントで実現されており、これを旧機種に導入するにはマザーボードの交換といった大がかりな作業を要するため、現実的ではないだろう。

−−「SaaS Enabled Client」とvProの関係

 先日開催されたIDF(Intel Developer Forum)で、インテルは「SaaS Enabled Client」というコンセプトを公表している。インテルはSaaS(Software as a Service)を新しいエンタープライズ・ビジネス・アーキテクチャとして極めて重要なものだと考えている。クライアントにソフトウェアやサービスを展開する方法が変わるのだ。こうした新しい動向に対し、vProは今後SaaSを展開するための最良のクライアントとして成長していくことになる。

 現在vProに組み込まれているAMT(Active Managemnet Technology)によって、リモートからPCの電源ができるが、これ自体をSaaSの例として考えることもできる。また、来年導入される予定のTXT(Trusted Execution Technology)によって、サービスをクライアント上で安全に実行できるようになる。来年以降vProに対して提供される技術のロードマップでは、メータリング(測定機能)やアプリケーションのアクセラレーション(高速化)など、vProの価値を高め、SaaS環境で有用な機能の追加が多数計画されている。

−−シン・クライアント(Thin Client)とvProの違い

 vProは伝統的なシック・クライアントの延長上に位置するものと考えられる。知的生産に携わる専門職ユーザーなどには、vProは自然に受け入れられるだろう。一方、シン・クライアントがなぜ注目されたかを考えてみる必要もある。シン・クライアントには長い歴史があるが、当初の導入目的はコスト削減にあった。しかしながら、実際にはさほどのコスト削減にはならないということが明らかになり、導入は限定的なものに留まったのが実情だ。現在では、コスト削減に加え、セキュリティの確保という点からシン・クライアントを再評価する動きが見られる。

 しかし、シン・クライアントにはデスクトップとノートで同一のコンピューティング・モデルを適用するのが困難だという問題もあり、企業システムの複雑性を増加させてしまう。また、多くのユーザーはプラットフォームに柔軟性を求めており、特定のベンダーが提供する環境に完全に囲い込まれることは避けたいと望んでいる。インテルでは、クライアント上でのソフトウェアの実行に関する柔軟性を確保し、企業内のデスクトップとノートPCに同一のコンピューティング・モデルを適用することを考え、vProではシック・クライアントよりのアプローチを採っている。とはいえ、SaaSであればデータはバックエンドのサーバ側に保存されることになるため、シン・クライアントのセキュリティ・メリットを取り込むこともできる。インテルは、この取り組みを「ハイブリッド・アプローチ」と位置づけており、これが正しい方向性だと考えている。

 高いセキュリティが求められる環境にあるユーザーの中には、各ユーザーがインターネット接続用とイントラネット接続用の2台のPCを使い分け、物理的に環境を切り分けることでセキュリティを確保している例もある。しかし、インテルの仮想化技術(VT)を利用すれば、異なるネットワークに接続される2台のシステムを仮想マシンとして物理的には1台のPCにまとめることができ、コストや管理負担を大幅に削減することもできる。官公庁などで求められるソリューションだが、これは今日現在すぐに利用可能なものだ。

 vProは、シン・クライアントに注目するユーザーが求めている機能や環境を実現する能力を備えており、シン・クライアントとシック・クライアントの長所を抽出したハイブリッド・クライアントに成長していく。
《渡邉利和》

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