
株式会社Azoop 『トラッカーズマネージャー』に登録された3万台の車両に紐づく交通事故データを分析
株式会社Azoop(本社:東京都港区、代表取締役社長 CEO:朴 貴頌、以下Azoop)は、Azoopが提供する運送会社向け業務支援サービス『トラッカーズマネージャー』に蓄積された3万台の車両に紐づく事故データを基に、トラックによる構内事故(事務所や物流拠点などの敷地内における交通事故)626件の傾向を分析しました。なお、本分析は加害事故を対象としており、被害事故(相手から衝突された)および自損事故(相手方がいない単独事故)は分析対象から除外しています。
その結果、構内で発生した事故の61%がバック事故であるという傾向が判明しました。このデータは、運送業界の交通事故を効果的に削減するために、従来の画一的な指導ではなく、構内でのバック事故予防に特化した安全教育と意識啓発が急務であることを強く示唆しています。
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■調査の背景
物流業界は、2024年4月に適用された時間外労働の上限規制(いわゆる「物流2024年問題」)を経て、安全運行の確保とドライバーの負担軽減が課題となっています。特に、11月以降はクリスマス商戦や年末の配送が本格化し、物流量が増加する年間最大の繁忙期を迎えます。ドライバーの稼働が集中し、疲労による事故リスクが高まることに加え、日没時間が早まり視界が悪化する秋〜冬季は、交通事故が多発する傾向があります。こうした環境下で、従来の抽象的な安全指導ではなく、運送会社が限られたリソースの中で「どこで、どのような事故が起きているのか」をデータに基づき把握し、効果的に対策する必要性が高まっています。本分析は、この高まる安全対策のニーズに応え、構内と路上という場所ごとの事故傾向を分析し、年末の交通事故削減に向けた具体的な指針を提供するために実施しました。
■調査の詳細:構内の交通事故原因は「バック」時が61%を占める
本分析対象となった加害事故は1403件で、内訳は構内626件、路上777件です。この626件のうち、61%がバック時の事故でした。さらにその約8割が接触による事故であることがわかりました。あとの約2割は追突・衝突でした。
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バック時の事故が多い理由は、構内の限られたスペースでの複雑な運転操作や、後方確認の難しさなどが挙げられます。加えて、繰り返しの作業による油断や、荷物の積み下ろしを迅速に行うための時間的プレッシャーなど心理的な問題が、バック時の事故を多発させている大きな要因であると考えられます。運送会社は構内での安全対策において「バック時の後方確認」に重点を置くべきであることを示唆しています。
路上の交通事故では様々な状況(直進、右左折、車線変更など)で事故が分散しているのに対し、構内では「バック」という特定の運転操作が事故の主要な原因となっていることがうかがえます。よって、バック時の事故予防が事故件数を減らすことに直結できると考えます。
■データを活用した安全対策の重要性
今回の分析によって、場所により事故の要因が大きく異なるということが分かりました。運送業界における事故防止策が、単一的なアプローチではなく、状況ごとの特性に応じた対策を講じる必要があることを示しています。さらに重要なのは、全社的な傾向を把握するだけでなく、各運送会社が自社のデータを分析し、自社独自の事故傾向を掴むことです。データを蓄積し活用することで、自社の課題を特定し、最も効果的な安全対策を実施することが交通事故を減らすために必要と考えられます。
■『グッドラーニング!』との連携について
Azoopは、運送業界の安全教育に特化したeラーニングサービス『グッドラーニング!』を提供する株式会社キャブステーション(本社:東京都品川区、代表取締役:楠木 崇延)との連携を、本年4月より開始し、『トラッカーズマネージャー』で提供しています。法定12項目などの安全教育は、多様な勤務体系のドライバーに対して集合教育を行うことが難しく、受講状況の把握が課題となっています。そのためAzoopは運送中の事故を減らすため、ドライバーが自身の業務スケジュールに合わせて学習できるよう、『トラッカーズマネージャー』に『グッドラーニング!』の動画コンテンツを組み込み、ドライバーの学習状況を管理・把握できる仕組みを提供しています。今後も『トラッカーズマネージャー』を通じて、運送業界の抱える課題をデータで可視化し、より安全で効率的な運送業界の実現に貢献してまいります。
■株式会社キャブステーション グッドラーニング!教材作成チーム、交通心理士
中野友晴氏からのコメント
物流業界では長年、経験や勘に頼る安全指導が中心でしたが、今後は“気づき”や“考える力”を育てる教育が欠かせません。Azoop社の分析が明らかにした「構内ではバック時61%」「路上では直進38.3%」というデータ結果は、明確な場所別リスクを浮き彫りにし、抽象的な指導では事故を減らせないことを示唆しています。このデータは、事故が単なる操作ミスではなく、ドライバー自身の注意の配分や心理状態に深く関係していることを示すものでもあります。
私たち『グッドラーニング!』は、法定12項目に加え、交通心理学の知見を取り入れ、ドライバーが自分の運転傾向を客観的に振り返り、危険予測力を高められる教材を提供しています。『トラッカーズマネージャー』との連携を通じ、データで見えるリスクと心理的特性を結びつけた教育を実現し、事故の「再発防止」から「未然防止」へと進化させていきます。今後も、ドライバー一人ひとりが安全を“自ら考え、選び取る”文化を広げ、業界全体の安全意識向上に貢献してまいります。
■調査概要
・調査対象データ:2020年3月~2025年7月までの間に『トラッカーズマネージャー』に入力された
ドライバーおよび事故情報(※1)
・調査対象件数 :事故記録が登録されたドライバー総数12,898名、うち加害事故件数1403件(※2)
※1:データが入力された期間を対象としているため、期間外に発生した事故も含まれます。
※2:発生場所の登録および行動×結果の登録がない事故は加害事故件数から除外しています。
※3:集計・分析の便宜上、一部数値を単純化しています。実際の状況や条件とは異なる場合があります。
・調査目的 :運送業界の交通事故を減らすことを目的に、状況ごとの事故傾向を分析し、事故減少の
ための示唆を得ること。
■株式会社Azoop 会社概要
所在地 : 〒105-0012 東京都港区芝大門2-5-5 住友芝大門ビル5階
代表者 : 代表取締役社長CEO 朴 貴頌(ぱく きそん)
設立 : 2017年5月15日
事業内容: 『トラッカーズ』の各種サービス企画・開発及び運営
商用車流通DX事業「トラッカーズオークション」
運送業務DX事業「トラッカーズマネージャー」
人材紹介事業「トラッカーズジョブ」 など
URL : https://azoop.co.jp/

