状況は深刻だ。
コ・ウソクにとっては、10試合出場停止よりも痛い。
ミネソタ・ツインズ傘下3Aセントポール・セインツに所属するコ・ウソクは7月25日、クリーブランド・ガーディアンズ傘下コロンバス・クリッパーズ戦で、7回にマウンドへ向かった。
しかし、マウンドに到着することはできなかった。球審が登板前にコ・ウソクの手とグラブをチェックした際、グラブの内側に異物と判断される箇所を発見。他の審判も確認した結果、打者に1球も投げることなく退場が命じられた。グラブも没収され、その2日後には10試合の出場停止処分が下された。

納得がいかないコ・ウソクは、27日に自身のSNSで潔白を主張。「私はこれまでの人生で、一度たりとも不正な方法で競争しようと考えたことはない。野球を続ける中で、スポーツにおいて最も重要な価値は公平性だと信じてきた。その信念は今も変わらない」と訴えた。
問題となった“異物”についても、不正な物質ではないと説明している。
「今年初めから使い続けていたグラブで、汗とロージンが繰り返し付着して革の上で固まったものだ。WBCから現在まで毎試合使ってきたグラブだった」と主張。さらに「それが自分の投球に影響を与えた可能性はないと断言できる。爪で強くこすらなければ剥がれないほど固まっていた」と説明。また、「投球に影響を与えるような違法な物質は一度も使用したことがない。選手会を通じて異議申し立ての手続きを進める予定だ」と改めて疑惑を否定している。
異議申し立ては名誉に関わる問題だ。しかし、コ・ウソクにとっては処分そのものと同じくらい、実戦から遠ざかること自体が大きな痛手となる。
今季、7月に金銭トレードでデトロイト・タイガースからツインズへ移籍し、その数日後に念願のメジャー初登板を果たしたコ・ウソク。しかし、結果を残せず3Aへ降格し、再びメジャー昇格を勝ち取るため、マイナーでアピールしなければならない立場となっていた。
ところが、降格後最初の登板は“0球退場”というまさかの結末。さらに10試合の出場停止によって、実戦から遠ざかることになった。
すでにポジションを確保した実績ある投手であれば、10日余りのブランクで済むかもしれない。しかし、コ・ウソクは違う。今の彼は再びチャンスをつかむため、厳しい競争の渦中にいる。
仮に異議申し立てが認められたとしても、すでに失われた登板機会や評価のチャンスまで取り戻すことはできない。
その矢先に起きた異物疑惑は、単なる出場停止処分にとどまらず、彼の生き残りを懸けた戦いそのものを止める出来事となった。
異議申し立てで潔白が認められれば、不名誉は晴らせるだろう。しかし、メジャー昇格争いはその結果を待ってはくれない。
2023年のWBC開幕前、大谷翔平との対戦について問われた際、「(大谷に)投げるところがなければ、痛くないところに当てなければならない」と発言し、物議を醸したコ・ウソク。そこから紆余曲折を経て、ようやくメジャーの舞台にたどり着いた矢先の出来事だった。異議申し立ての行方、そしてメジャー再昇格への挑戦に注目が集まる。
◇コ・ウソク プロフィール
1998年8月6日生まれ。韓国・仁川出身。身長180cm。高校卒業後の2017年にLGツインズでプロデビュー。2019年に韓国プロ野球史上最年少30セーブ(21歳1カ月7日)達成、2022年に42セーブでセーブ王に輝き、韓国プロ野球史上19人目の通算100セーブ到達。2024年1月にサンディエゴ・パドレスと契約したが、開幕前の40人ロースター入りはならず。同年5月にトレードでマイアミ・マーリンズに移籍したものの、同月31日にDFAとなった。2025年6月、デトロイト・タイガースとマイナー契約。韓国代表では2019年プレミア12、2021年東京五輪、2023年WBC、杭州アジア大会に出場。2023年1月、元中日ドラゴンズのイ・ジョンボム(李鍾範)の娘で、イ・ジョンフの妹イ・ガヒョンと結婚した。



