韓国プロスポーツの華として、スタジアムに彩りを添えるチアリーダーたち。
日本とは一風異なる文化として、先のWBC日本ラウンドでもそのパフォーマンスは観客を魅了していた。
そんな韓国チアリーダー界には近年、大きな変化の波が押し寄せている。3月25日、“ピキピキダンス”でSNSを席巻したイ・ジュウンが、自身のSNSに台湾プロ野球(CPBL)の富邦ガーディアンズ専属応援団「富邦エンジェルス」の公式ユニフォームに身を包んだプロフィール写真を掲載したのだ。

彼女は2025年シーズンから同チームに加入し、韓国のLGツインズでの活動と並行して台湾の舞台に立っていた。しかし、3月21日に韓国のファンへ向けて「しばらく休む時間を持つ」と事実上の国内活動休止を伝えた直後の発表ということもあり、今季は台湾での活動に軸足を移し、本格的に専念する構えだ。


しかし、これは彼女一人に限ったことではない。ナム・ミンジョン、パク・ソンウ、イ・ホジョン、イ・アヨンといった韓国でトップクラスの人気を誇ったチアリーダーたちが、今シーズンも続々と台湾へ集結している。これは単なる一過性のブームを超え、東アジアのスポーツ興行における大きな変化を象徴する事態といえる。



なぜ、韓国のスタジアムで至宝と称えられた彼女たちが、次々と海を渡る道を選ぶのか。その最大の要因は、韓国と台湾におけるチアリーダーの「市場価値と社会的地位」の決定的な差にある。
韓国において、チアリーダーはあくまで試合を盛り上げる裏方的存在としての側面が強い。対して台湾では、チアリーダーは選手と並ぶ、あるいはそれ以上の集客力を持つ独立したスターとして扱われる。実際、イ・ジュウンの獲得に際して現地メディアが報じた契約金1000万台湾ドル(約5000万円)という数字は、現地プロ野球選手の平均年俸(約700万~900万円)を数倍も上回る破格の条件だ。台湾の球団経営において、彼女たちはチケット売上やグッズ収益を牽引する、中心コンテンツなのである。
また、台湾におけるキャリアパスの広さも大きな魅力だ。そのパイオニアとなったのは、2023年に楽天モンキーズへと移籍したイ・ダヘである。彼女はキュートなルックスと卓越したダンスで瞬く間に国民的なスターとなり、数多くのCMやテレビ番組に出演。2024年からは味全ドラゴンズへ移籍してキャリアを継続し、現在はマルチタレントとしての地位を盤石なものにしている。
この成功に続いたのがアン・ジヒョンだ。彼女は2024年、新球団・台鋼ホークスのチアチームにリーダーとして迎え入れられると、瞬く間に人気が爆発。ほかにも、中信ブラザーズのビョン・ハユルやイ・ダンビ、楽天モンキーズのヨム・セビンなど、実力者が続々と台湾に渡っている。





注目すべきは、この潮流がプロ野球だけにとどまらない点だ。台湾ではプロバスケットボールの人気も高く、そこでも韓国人チアの進出が目立っている。例えば、イ・アヨンやチュ・ヨンジュは、野球のオフシーズンには台湾のプロバスケチームの応援も行っている。今や台湾プロスポーツ界全体で“韓流チア”のブランドが確立されているのだ。


2026年シーズン、富邦エンジェルスで新たな一歩を踏み出すイ・ジュウンら韓国出身のメンバーたちは、SNSを通じて現地のファンに熱いメッセージを送っている。彼女たちの加入により韓国型応援文化の普及はさらに加速し、スタジアムはさらなる熱気に包まれることだろう。
韓国から台湾へ。逞しくキャリアを構築していく彼女たちのエネルギッシュな応援に注目したい。



