i-dleが日本ツアー「2025 i-dle first japan tour [逢い-dle]」を、10月4日・5日にさいたまスーパーアリーナ、10月18日・19日に兵庫・GLION ARENA KOBEで開催した。
ツアー名に込められた「NEVERLAND(ネバーランド、i-dleファン)と逢う」という思いの通り、ステージ上の5人は音楽とパフォーマンス、そして言葉を通して“出会い”の時間を紡いでいった。ここでは10月5日のさいたまスーパーアリーナ公演2日目の模様をレポートする。
まずオープニングを飾ったのは、今月3日にリリースしたリブランディング後初の日本EP『i-dle』のリードトラック『どうしよっかな』。スポーティーなスウェット衣装で登場した5人は、軽やかなビートの中にも確かな意思を感じさせるパフォーマンスで、一瞬にして会場を虜にした。

メンバーごとの個性がきらめくステージ
i-dleの真骨頂は、5人それぞれのキャラクターの違いがはっきりと存在しながらも、グループとしての一体感を失わないところにある。それが最も感じられたのが、メンバーのソロ・ユニットステージだ。
はじめに、ミヨンは自身がミュージックビデオに出演したNetflixドラマ『グラスハート』の楽曲『永遠前夜/Forever Eve』を柔らかくも芯のある歌声でカバー。清楚な白のドレスに身を包み、幻想的なステージで観客を魅了した。

ソヨンは、アニメ『デジモンアドベンチャー』の主題歌『Butter-Fly』をギター演奏とともに披露。ステージを駆け回るエネルギーと圧倒的なカリスマ性で、まさに“アニメヒーロー”のような存在感を見せつけた。

ミンニ、ウギ、シュファの3人は、「何が好き~?」というフレーズで人気を集めているAiScReamの『愛♡スクリ~ム!』をユニットで熱唱。カラフルでポップな衣装を着こなし、可愛さ全開のステージで会場中を笑顔にさせた。

一人ひとりの持ち味が際立ちながらも、全員が主役となる構成。可愛さ、かっこよさ、そして圧倒的な実力で、i-dleの多彩な魅力が鮮やかに広がっていった。
“全編日本語”のMCが生んだ距離の近さ
今回のツアーで印象的だったのは、MCパートを全編日本語で行ったことだ。メンバーたちは懸命に、丁寧な言葉でファンに語りかけ、ときに笑いを誘いながらも、最後は感謝と愛情をストレートに伝えた。
それだけでなく、日本語バージョンの楽曲も多数披露された。『傷つくのは嫌いだから』から『Uh-Oh』『DUMDi DUMDi』『LATATA』『HANN』『Senorita』『Queencard』の日本語バージョンまで、日本でしか見られない特別なステージをファンにプレゼントした。

日本語で「すべての瞬間が楽しくて幸せ」と話すその表情には、8年の歩みを経てなお、新しい挑戦を楽しむ思いが感じられた。
映画さながら――細部までこだわり抜かれた映像演出
公演の随所で流れるVCRにも、i-dleのこだわりが詰め込まれていた。
開演と同時にスクリーンに映し出されたオープニング映像では、メンバーが高校生活を送る様子を描写。映像の終盤に登場した“ロッカー”が会場のセンターステージにも設置され、その中からミヨンが登場し公演が幕を開いた。映像と会場がリンクするという新鮮な演出に大歓声が湧いた。
ソロ・ユニットステージの前に流れた映像では、メンバーが“座談会”形式で集まり、それぞれのステージ案を出し合う様子が映し出された。ミヨンがラップに挑戦したり、ミンニがWOODZのヒット曲『Drowning』をカラオケで歌ったりと、普段見られない姿にファンも大盛り上がり。ソヨンも「5歳の頃からステージで披露したいと夢見ていた曲がある」と、直後に披露する『Butter-Fly』への思い入れを打ち明ける。


かと思えば、公演中盤で流れた映像ではメンバー全員が夜の学校に忍び込み、ある“マーク”を探すというホラー仕立ての物語が展開。ストーリー性のある映像がライブの世界観をより深く引き立て、没入感を高めた。
こうした映像演出は、多彩な楽曲で構成されたステージの数々を“一本の線”で繋ぎ、公演全体をまるでひとつの映画作品のように完成させるための重要な役割を担った。i-dleの魅力が存分に伝わる、唯一無二の世界観がそこにはあった。
“逢い-dle”が見せた現在地
i-dleは、『TOMBOY』『MY BAG』『Queencard』といったヒット曲を続けて披露し、最後はファンソング『Neverland』で公演のフィナーレを飾った。さいたまスーパーアリーナを埋め尽くしたNEVERLANDに5人が「これからもたくさん会えたらいいな」と日本語で思いを届けると、会場は温かな歓声と拍手に包まれた。
初の日本ツアー『逢い-dle』は、メンバーとファンが心と心でつながる“出逢い”の空間だった。音楽、パフォーマンス、言葉などすべてを通じてファンへ想いを届け続けた5人が、この先さらなる飛躍を果たすことを期待したい。



