韓国プロサッカーKリーグ2(2部)の試合会場で発生したサポーターによる暴行事件が、当事者間の合意によって一段落した。加害者であるビジターサポーターは、被害者であるホームサポーター本人およびその家族、そしてホームチームに公式に謝罪した。
そもそもの事件は今年6月29日、金浦(キムポ)ソルトサッカー場で行われたKリーグ2第18節、金浦FC対仁川(インチョン)ユナイテッドの試合後に発生した。
1-1で終了した同試合では、仁川DFムン・ジファンが1点ビハインドで迎えた後半アディショナルタイムに劇的な同点ゴールを挙げた。ただ、得点時に金浦GKソン・ジョンヒョンとの衝突で右膝を負傷。その後、右膝の前十字および後十字靭帯断裂、半月板損傷、内側側副靭帯損傷で全治12カ月と診断される重傷を負ってしまった。

元々試合は荒れた様相を呈していたが、ムン・ジファンの負傷でより緊張が高まる展開に。さらには金浦の選手が仁川の外国人コーチに暴言を吐くなど、試合内容以外の面で大きく物議を醸していた。このようなピッチ上の騒動がピッチ外にまで波及し、サポーター同士の衝突、そして暴行事件にまで発展してしまった。
「感情を抑えきれなかった私の過ち」
暴行事件の加害者はビジターチームである仁川のサポーターで、被害者はホームチームである金浦のサポーターだった。9月25日、金浦のサポーター集団「ゴールデンクルー」は被害者および加害者の双方の同意を得て、加害者による直筆の謝罪文を公開。謝罪文では以下のように綴られていた。
「試合中、仁川の選手が大怪我を負い、仁川サポーターの感情が高ぶっていた。しかし、スタジアム外にまで怒りを表したのは明らかに間違いだった。警備線を塞いでいた金浦サポーターの顔を拳で殴り、大きな怪我を負わせてしまった。感情を抑えきれなかった私の過ちだ」
「金浦サポーターの歯を損傷させ、ご家族にも大きな衝撃を与えた。被害者とその家族に心から謝罪する。金浦に対してもお詫び申し上げる。ファン文化の発展を妨げる行為だった」
「今後、同じような状況に直面した場合は必ずその場を離れる。二度と同じ過ちを繰り返さない」
この謝罪文を受け、金浦サポーター側は「被害者は若い加害者の将来を考慮し、自身が被った損害にもかかわらず無償で和解を決断した。誠意ある謝罪と再発防止の約束、そして謝罪文の公開を条件に受け入れた。寛大な決断を下した被害者に尊敬と感謝を表する」と伝えている。
なお、仁川は当該サポーターに対するチーム独自の懲戒処分は検討していないという。いずれにしても、サポーター間で発生した暴行事件は、人気が高まるKリーグのファン文化に深い傷を残す形となった。
(記事提供=OSEN)