賞金総額1億2000万円超えの韓国女子ゴルフツアーのメジャー大会が、今年も多くの“棄権者”を出して物議を醸している。
6月12日から15日にかけて忠清北道陰城郡(チュンチョンブクト・ウムソングン)のレインボーヒルズCCで開催された「DBグループ・第39回韓国女子オープン・ゴルフ選手権大会」では、初日に5人が棄権し、2日目にはさらに13人がプレーを断念した。
最終日の15日には、祖母の訃報を受けたパン・シンシルも途中棄権。結局、出場した132人中、実に19人もの選手が大会を途中で去ることになった。
「韓国女子オープン」では2023年大会で16人、2024年大会で17人の棄権者が出ており、今年は過去最多を更新した。
なお、賞金総額12億ウォン(日本円=1億2000万円)の今大会は、通算13アンダーの「275」を記録したイ・ドンウンが優勝を収めている。
「負傷+猛暑」に苦しむ選手たち
中でも、最も多い棄権理由は「負傷」。プロ選手による大会であるため、アマチュアとは異なるレベルの怪我が想定されるが、腰や膝、足首、手首、肩など回旋運動を多用する競技特有の“慢性的な負傷”は、診断書の取得も比較的容易だという。
山岳地形のコースであることから、ラウンド中に膝や足首を捻挫したという話も聞かれる。これもまた、「一週間以上の安静が必要だ」という診断を受けることができる。そのため、「予選通過が難しい選手が棄権リストに入るのは偶然ではない」というのは一般的な見方となっている。
韓国ゴルフ協会(KGA)は「プロ選手である以上、選手の選択は尊重するしかない」としつつ、「負傷を理由に棄権する選手は、必ず診断書を提出しなければならない。病院で受けた診断を協会が疑う根拠は事実上ない」と説明する。
一方で、足首や膝の負傷で棄権した選手が次週には“即復帰”し、プロアマ戦や大会などで通常通りプレーする光景に「神がかった回復力を持っていたおかげ」と皮肉られるのも、「韓国女子オープン」ではもはや珍しいことではない。

特に、「韓国女子オープン」は毎年夏の猛暑が始まる頃に開催されるため、選手たちは“二十苦”を味わうことになる。
15日の最終ラウンドは気温が30度を超え、湿度も60%以上に達した。13日午後から翌14日午前まで雨が降った影響で、コースは“スチームサウナ”のような過酷な環境と化していた。
そのため、大半の選手は木陰でティーショットの順番を待ったり、傘を差しながら移動したりと対策に追われた。水分補給はもちろんのこと、空腹感を和らげる間食としてスイカやマクワウリ、マンゴーを口にする選手もいた。


慢性的な肩の痛みに耐えながら最終ラウンドを終えたある選手は、「猛暑に対処できるものが特にない。傘を差したり、できるだけ日陰を探したりすること以外には方法がない」「汗に濡れたアンダーシャツを着替える暇もないから、我慢してプレーしなければならない。これが私たちの仕事」と吐露した。
なお、KGAは猛暑時の大会運営基準を独自に設けている。最高気温が33度以上で2日間続いた場合は「注意報」、35度以上が続いた場合は「警報」に区分される。「注意報」発令時にはゴルフカーでの移動が認められ、ティーインググラウンドやコース各所に氷水や塩分補給用の塩タブレットなどを設置。「警報」が出た場合には、気象状況を見て試合中断や中止も検討する。
ただ、KGA関係者は「アマチュア大会で適用する一種の自主規定」とし、「プロが出場する韓国女子オープンでは、カート移動などの運営方針を適用するのは現実的に難しい」と説明している。