『名探偵コナン』『ハリー・ポッター』など数々の作品で“中年女性キャラ”を演じた大御所声優がこの世を去った。
韓国声優協会は5月23日、イム・スアさんが前日の22日にこの世を去ったことを明らかにした。73歳だった。
1951年11月16日生まれのイム・スアさんは、1968年に民放テレビ局TBC(東洋放送)の第4期公開採用声優としてデビュー。1980年に当時の全斗煥政権による言論統廃合でTBCが閉局となった後は、地上波テレビ局KBSの第10期に分類され、本格的な活動を続けた。
その後はフリーランスに転向し、ラジオやテレビ、映画の吹き替えなど幅広い分野で活躍した。
声優として約57年間活動したイム・スアさんの出演作品は数えきれないほどに多い。
KBSやSBS、トゥーニバース、アニボックス、カートゥーンネットワーク、チャンプなどさまざまなプラットフォームにおいて、「お母さん」「院長」「社長」「夫人」と名の付くキャラクターに声を吹き込んできた。
特に韓国国内では、アニメ『名探偵コナン』のチョ・ナムスン(寺門しげみ)役のほか、『美女と野獣』のポット夫人、『眠れる森の美女』のメリーウェザー、『ポカホンタス』の柳の木のおばあさんなど各種ディズニー作品で知られている。
原作声優の感情をそのままに伝える韓国語吹き替えは、今も韓国で多くの人々の記憶に残っている。

こうした功績が称えられ、2016年の「KBS声優演技大賞」では同期かつ長年の同僚である声優オ・セホンとともに外国映画部門の功労賞を受賞。1960~70年代に外国映画吹き替えの黄金期を築いた二人の受賞は、韓国吹き替え界にとって象徴的な瞬間だった。
イム・スアさんのフィルモグラフィーは一つの百科事典と言える。『モンタナ・ジョーンズ』のアガサ、『ルーニー・テューンズ』のおばあさん、『スレイヤーズ』『未来少年コナン』『おねがい!サミアどん』など、数多くのアニメで“最も温かく、芯のある声”を担ってきた。
外国映画の吹き替えでは、『ニュー・シネマ・パラダイス』『メン・イン・ブラック2』『マイノリティ・リポート』『リトル・ダンサー』などのキャラクターに命を吹き込んだ。『ハリー・ポッター』シリーズではミネルバ・マクゴガナル役を演じた。
イム・スアさんの葬儀場はソウル大学病院に設けられ、24日午前8時に出棺された。埋葬先はソウル追慕公園となる。
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