昨年12月に現役引退を表明した元北朝鮮代表FW安柄俊(アン・ビョンジュン)の引退セレモニーが、韓国で開催されることになった。
水原(スウォン)FCは5月16日、来る18日に本拠地・水原(スウォン)総合運動場で行われるKリーグ1第14節の大田(テジョン)ハナシチズン戦で、安柄俊の引退セレモニーを開催することを発表した。
今回の引退セレモニーは、対戦相手の大田に所属する石田雅俊の要請によって、大田戦での開催が決まった。
日本で京都サンガF.C.、SC相模原、ザスパクサツ群馬、アスルクラロ沼津、ジュビロ磐田に在籍した石田は、2020年に水原FCで安柄俊とチームメイト。前線のコンビとしてともに活躍し、チームの1部昇格に貢献した縁がある。


そんな石田の要望もあって組まれた安柄俊の引退セレモニー。本来、同試合では水原FCの公式スポンサー「農協水原流通センター」のブランドデーが組まれていたが、スポンサー側もイベントスケジュールを調整するなど、セレモニーの実施の協力した。
キックオフ前に行われる引退セレモニーでは、安柄俊と水原FCでチームメイトだったチョ・ウォニ(元大宮アルディージャ)やパク・ミンギュ(北海道コンサドーレ札幌)のほか、鄭大世などからのビデオメッセージが上映された後、水原FCのチェ・スンホGMから引退記念フォトフレームが伝達される。
また、安柄俊と息子ヨンチャンくんによる始球式も予定している。
日韓でプレーした安柄俊
安柄俊は1990年5月22日生まれの34歳。東京都出身の在日コリアンで、東京朝鮮高校、中央大学を経て2013年に川崎フロンターレでプロデビュー。以降、Jリーグではジェフユナイテッド市原・千葉、ツエーゲン金沢、ロアッソ熊本に在籍し、J1通算7試合1ゴール、J2通算94試合19ゴールを記録した。
また、北朝鮮代表では2011年3月26日に行われたイラク代表との国際親善試合でA代表デビュー。2015年の東アジアカップやロシアW杯アジア2次予選、2017年のE-1サッカー選手権などでメンバーに選ばれ、2017年のE-1選手権では背番号10番を着用してプレーした。
2019年から舞台を韓国に移し、同年に当時Kリーグ2(2部)の水原FCに完全移籍すると、翌2020年にはリーグ戦21ゴール4アシストの活躍でチームの1部昇格に貢献。自身も同年シーズンのKリーグ2得点王、年間ベストイレブン、年間MVPの“個人三冠”を達成。さらには、韓国サッカー協会(KFA)が選ぶ「今年の最優秀選手賞」でも、韓国代表FWソン・フンミン、元韓国代表MFソン・ジュンホに次ぐ3番目の票数を獲得した。

2021年は開幕前にKリーグ1の江原(カンウォン)FCへの移籍が一度確定していたが、過去に手術歴のある膝がメディカルチェックで問題視され、一転して交渉が破断に。その後、前年度1部最下位で2部に降格した釜山(プサン)アイパークに加入すると、リーグ戦34試合23ゴール4アシストと圧巻の活躍を見せ、再びKリーグ2の得点王、年間ベストイレブン、年間MVPに選出。Kリーグ2史上初の2年連続“個人三冠”という偉業を成し遂げた。
以降は2022年夏に水原三星(スウォン・サムスン)ブルーウィングスへ移籍すると、2024年は釜山に復帰した後、夏の移籍市場を経て水原FCでプレー。そして昨年12月9日、自身のインスタグラムで現役引退を表明した。
Kリーグでの通算記録は、Kリーグ1で通算53試合12ゴール1アシスト、Kリーグ2で通算102試合55ゴール9アシストだった。