クアルコム、戦略チップ「Snapdragon 845」をプッシュ!スマホ以外にもマーケット広げる | RBB TODAY
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クアルコム、戦略チップ「Snapdragon 845」をプッシュ!スマホ以外にもマーケット広げる

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AIスピーカーのデモ
  • AIスピーカーのデモ
  • Snapdragon 845発表:Snapdragon Tech Summit
  • 各種AIライブラリにも対応
  • Snapdragon 845発表:Snapdragon Tech Summit
  • 845の主要コンポ―ネントはAI、IoT機器の要素を網羅
  • Snapdragon 845発表:Snapdragon Tech Summit
  • 百度がDuerOS(AIアシスタント)でクアルコムと協業。
  • スマホゲームもPCゲーム並みに
 12月6日(現地時間)クアルコムのプレスカンファレンスで正式発表され、2018年には製品が出始めると目されるクアルコムの新しいプロセッサ(Snapdragon 845)は、これからの時代を強く意識したアーキテクチャを持っている。

■Snapdragon 845の魅力とは

 Snapdragon 845には、いわゆるCPUとLTE通信用のモデムチップの他に、グラフィックプロセッサ(GPU)、ディープラーニングに特化したAIエンジン、デバイス認証に特化したセキュリティプロセッサ(SPU)が搭載されている。通信モデムチップは、米国のGigabit LTEに対応するなど、米国では2019年にサービス開始が予定される5G通信を見据えたものとなっている。

 セキュリティプロセッサは、指紋、虹彩、3D顔認証データなど、高度なデバイス認証に欠かせない個人の生体情報を暗号化し、OSやアプリケーション、クラウドサービスとの認証基盤となるものだ。重要な生体情報はセキュリティプロセッサの中に厳重に暗号化され管理される。デバイス内の他のプロセッサやソフトウェアとは本人と確認された認証情報とデバイスIDがやりとりされる。

 現行最新モデルとなる835より30%消費電力が下がっているのも特徴のひとつでもある。従来モデルのスマートフォンより高性能でありながら、バッテリーの持ち時間が伸びることが期待できる。

 5G通信、CPU、GPU、AIエンジン、SPUといったコンポーネントと低消費電力という特徴は、あらゆるものがネットワークにつながるIoT時代には必須といってよい。自動運転カー、コネクテッドカー、AIスピーカー、ノートPC、ゲーム機、家庭用・産業用ロボットに必要な要件を考えると、大容量な無線通信、高度な画像処理、AI、セキュリティ機能、低消費電力が不可欠なのはいうまでもない。

■新チップ搭載PCやVR製品続々

 クアルコムは、もともとモバイル通信用のデバイスやスマートフォン向けのプロセッサで有名なメーカーだ。Androidデバイスのプロセッサではグローバルでトップシェアを持っている。5G、IoTの時代において、自社の通信技術とプロセッサ技術で、さらにマーケットを広げる戦略だ。また、その立場にもある。

 今回のプレスカンファレンスでは、世界中から報道陣とアナリストが集まり、多数の発表セッションが行われた。ASUS、HP、Lenovoは、Snapdoragon 835を搭載したSIMスロット内蔵の新型PCを発表し、マイクロソフトのエクゼクティブバイスプレジデントが、この新型Windows 10 PCへのコミットメントをスピーチした。AMDは5G通信テクノロジーで提携、サムスンやシャオミは845搭載スマートフォンを発売すると発表した。

 百度(バイドゥ)は、自社が提供するAIサービスを構成するDuerOSをSnapdragon 845に対応させると発表した。百度はDuerOSを搭載したAIスピーカーや家庭用ロボットを手がけている。デバイス上で機械学習やディープラーニングが処理でき、クラウドとの通信機能も持っているクアルコムのチップが必要と考えたからだ。

 各社の発表のあと、845のプロトタイプ製品を使ったデモも行われた。AIスピーカーによるアシスタント、ゴーグル式のAR/VRデバイス(クアルコムではeXtensive Realityと呼んでいた)、Bluetoothヘッドフォン、セキュリティ機能、消費電力の比較など主だった展示が用意され、VRヘッドゴーグルやARメガネは報道陣も体験することができた。

 VR、ARともに画像4K対応のUltra HDと呼ばれる画質。高精細かつなめらかに動く。ARメガネでは、店舗に行かなくてもCG上のマネキンに好きな服を選んで買い物ができるというもの。アイコンタクトによるオブジェクトの抽出もエラーもなく反応が遅いということもなく非常にリアルだ。マネキンの後ろに回り込めば後ろ姿も確認できる。VRゴーグル(水槽の中の360度カメラの映像が見える)は、本体の温度が少し高めだったが、触れない、装着しているとつらい、というほどではない。プロトタイプということを考えれば実用は問題なさそうだ。

 AIスピーカーは、デモ会場の騒音の中でも起動フレーズ(Hi Snapdragon! だった)はしっかり認識していた。AIの性能はどんな学習モデルを実装するかによって決まるので、実際の製品で評価しないとわからないが、基本的なノイズキャンセリング、音源(発話者)トラッキングは問題ないレベルで動いていた。

 以前、スマートフォンは携帯電話にPCを載せたものと言われた時代があった。IoTの時代は、あらゆるものがスマートフォンのようになるとも言われている。クアルコムのプロセッサが、IoT時代の主流になるかはわからないが、Snapdragon 845の設計コンセプトは、あきらかにこれからの時代を狙ったものだ。各国で5Gの商用サービスが始まる2020年前後のプロセッサは、CPUやGPUに加え、通信モデム、AIエンジン、セキュリティモジュールといったコンポーネントとセットで語られる時代になると言えそうだ。
《中尾真二》
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