利用者、事業者ともにハッピーな予約台帳……サービス業のIT利用最前線 | RBB TODAY

利用者、事業者ともにハッピーな予約台帳……サービス業のIT利用最前線

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飲食店向け予約顧客管理システム「TableSolution(テーブルソリューション)」。飲食店における予約の無断キャンセルを防ぐことができる「TableCheckクレジット決済」機能を、新サービス「キャンセルプロテクション」としてバージョンアップ
  • 飲食店向け予約顧客管理システム「TableSolution(テーブルソリューション)」。飲食店における予約の無断キャンセルを防ぐことができる「TableCheckクレジット決済」機能を、新サービス「キャンセルプロテクション」としてバージョンアップ
  • 「テーブルソリューション」は、飲食店・レストランの予約や顧客情報をパソコン、タブレッドなどオールデバイスで一元管理できる飲食店向けクラウド型トータル管理システム。予約サイトの予約自動集約や複数メーカーとの連携による『POS連携台帳』など業界初となる機能や付加価値を提供
  • (フロア管理画面より)誰にでも直感的に使える操作画面を提供。ネット通信を用いない読み込みや完全自動での同期を実現。毎日利用するものだからこそスピードは重要
  • 株式会社VESPER 代表取締役社長・CEO 谷口優氏
【記事のポイント】
▼ユーザーはスマホで予約しているのに飲食店の台帳管理はアナログ、その間を埋めるITサービスが求められている
▼インバウンドも含む様々なネット予約に対応できるITサービスが今後役に立つ
▼無断キャンセル対策にもITのソリューションは有効


 インバウンド需要の拡大、そして2020年の東京オリンピック・パラリンピックといった要因から、「おもてなし」がキーワードとして注目されている。さらに、IT/IoTを活用した「おもてなし2.0」とでもいうべきサービスや製品が、飲食業・旅行業・物販業の領域で、多数登場しつつある。本記事はそうした最新事例を紹介し、自社での導入の参考とする内容だ。

 今回は、株式会社VESPER(ベスパー)が展開している予約・顧客管理システム「TableSolution(テーブルソリューション)」に焦点を当てる。テーブルソリューションは、レストラン・飲食店で利用できる、予約・顧客管理システムだ。POS連携、CTI(電話連動)機能、事前カード決済機能、予約サイト自動取り込み、多言語対応など、幅広い機能を持っており、さまざまな業務の効率を向上できるという。6月1日からは、予約の無断キャンセルを防止できる新サービス「キャンセルプロテクション」(旧:TableCheckクレジット決済)を、無料で提供開始する予定だ。同社のサービス、そしてビジョンについて、代表取締役社長・CEOの谷口優氏に話を伺った。

■“日本トップのレストラン予約管理システム”を標榜、「ユーザーとお店の情報の分断」を埋める存在に

 テーブルソリューションは、レストラン・飲食店などでの予約マネジメントに特化したサービスだ。パソコン、スマホからのネット予約を直接データベースに反映可能とし、電話での対応を原則不要とした。大規模ビアガーデンを展開するゼットン、カジュアルダイニング「RIGOLETTO」などを展開するHUGEのほか、ひらまつ、うかい、bills、さらにはホテルニューオータニ、ホテルオークラ、東京ステーションホテル、ヒルトン・ホテルズ&リゾート、シェラトンやハイアット ホテルズ アンド リゾーツなどの著名ホテル内レストランなど、約1700店舗で採用されている。客単価が高く、外国人客の利用も多い店舗が主要層。一方で、もっとも小規模なところでは、7席の店舗が導入しているとのこと。

 設立当初のベスパーは、もともとレストラン向け販促支援サービスの代理販売を手掛けていたが、実際に飲食店などの意見を聞くなかで、予約管理システムへの要望が高いことから、テーブルソリューションを開発したという。「スマホが普及したことで、ユーザーの側が、情報検索、比較、決定、予約のアクションまで、スマホで行える状態になった。それなのに、お店側がアナログのままで、分断されていた」「予約サービスの『一休.comレストラン』などでは満席となっているのに、実際にお店に電話したら予約できる、というようなことが、飲食店では起きていた」(谷口氏)とのことで、2012年末に業態を変更して、テーブルソリューションの開発に着手した。

「飲食店とレストランユーザー、両方がハッピーになるためには、どうしたらよいか?」(谷口氏)ということを考えた結果、「これまで使われていた“紙の予約台帳”をデジタルに置き換えること」「ネット予約のスタンダード化」を、テーブルソリューションの重要な基本コンセプトとした。ネット予約であれば、電話応対が不要なため、24時間の対応も可能になる。

 ネット予約については、複雑なルール設定が可能で、曜日・時間帯(回転)、人数縛り、先着○名などのルールを、多言語(8か国語)で多様に設定できる。たとえば、「金曜は○名以下・○名以上の予約は不可」「○○コースは、○名以上から」「1番テーブルと2番テーブルを接続すれば、6~8名で予約可能」「22~23時は、特別メニューを注文するお客様のみ予約を受け付ける」「○月○日から○月○日までは、利用時間の制限を設ける」「○○コースを予約した客には、優先的に窓側を案内」「正月期間は、テーブルレイアウトを変えるので、○人単位が基本」といった、飲食店ならではの複雑な予約ルールを、きめ細かく設定できる。これにより、ユーザーがネットから予約した場合にも、効率良く、とりこぼしのない対応がスムーズに可能となっている。さらには、希望のお店が満席で予約が取れない時には、自動で予約希望条件に合致する系列店へ誘導することも可能とした。

 実際の予約状況は、リスト式の一覧表示のほか、店内見取り図をベースに確認することもできる。またPOS連係で顧客管理システムとしても機能しており、予約ユーザーの過去の注文履歴、利用額、利用人数やその際に支払った人物、他チェーンの利用状況なども、ここからチェックすることが可能だ。こうした情報はビッグデータとして分析も行える。誕生日・記念日、食事の好み、アレルギーの有無なども情報として登録できる。

 なお、テーブルソリューションを採用した飲食店は、レストランユーザー向け予約ポータルサイト「TableCheck(テーブルチェック)」に無料で情報掲載できる。また引き続き、電話から予約するユーザーのためには、電話自動応答、自動録音といった機能を用意しているとのこと。CTI(電話連動機能)により、着信と同時に顧客情報や予約状況を表示することもできる。 


■“紙の予約台帳”に打ち勝つことがスタート地点

 テーブルソリューションは、初期バージョンを2013年7月にリリースし、10月1日より正式サービスの提供を開始した。しかし当初、ほとんどクライアントが付かなかったという。そこから1年をかけてサービスを育て上げた。

「お店に話を聞くと、『1から100の機能があれば使ってあげるよ』と言う。そこで100のものを用意して提供しても、『101から120の機能が無いね!』と言われてしまう。そこで120まで作っても、『130まで無いの?』という話になる。ずっとその繰り返しだった」(谷口氏)という。そして、その根本原因が“紙の予約台帳”の柔軟性だった。

「やはり“紙の予約台帳”は、フレキシブルだし、誰でも使えるし、コストも低いし、場所もとらない。競合として捉えた場合、“紙の予約台帳”は非常にハードルの高いサービス。ネット予約との連動性が低い、という弱点があるが、そこ以外で打ち勝つのが、大変なことだった」(谷口氏)と振り返った。

「“デジタル移行は大変”というお店の方々の先入観というものもあったし、それまでの類似サービスが良くない面もあった。使い勝手が悪かったり、ルール設定が細かくできなかったり、サポート体制が悪かったりで、お店のニーズをくみ取っていないものが多かった」と分析。そのうえで、「どのお店でも、回転効率や収益や座席数、食事内容や人数など、非常に細かな条件を踏まえて、予約受け付けルールが用意されている。しかし、だいたい店長しか把握していないし判断できないルールで、すごく属人的。これをシステムに反映可能にし、可視化したサービスがテーブルソリューションだった」(谷口氏)と、予約ルールを徹底反映できる機能の高さを持たせた。

■「直前・無断の予約キャンセル」は、飲食店の大きな課題

 テーブルソリューションでは、事前カード決済機能「TableCheckクレジット決済」も用意。たとえば京都のラグジュアリーホテル内にある「鮨 和魂」では、予約はネット予約を基本とし、あらかじめクレジットカード情報を預かる形とした。これにより、初来店の客であっても、キャンセルリスクを気にせずネット予約を受け付けられるようになったという。

 事前カード決済は、経理上のメリットだけでなく、無断キャンセルの防止効果が見込める。また従来は徴収しにくかった、キャンセル料への健全かつ柔軟な対応も可能となる。テーブルソリューションには、予約確認メッセージ、前日のリマインドメッセージなどを自動送信できるSMS送信機能も用意されており、これも無断キャンセル防止効果が見込めるだろう。

 そして6月1日からは、従来はオプション費用(初期費用30000円・月額費用5000円)が必要だった「TableCheckクレジット決済」を、「キャンセルプロテクション」という名称に改め、「基本機能の中に組み込まれるイメージ」(谷口氏)で、無料提供する。

 ネット予約+カード決済は、店舗の席数に依らないメリットがあり、中小店舗であっても導入したいだろう。とくに、前払いやクレジット決済をせずとも、電話のみで予約が成立する、飲食業界独特の慣習もある。宿泊・航空・映画鑑賞では、“予約時のカード決済”の普及が進んでいるが、「キャンセルプロテクション」は、飲食業界においても、こうした対応を標準化することを目指している。

■キャンセルの発生理由と、対策としての「事前決済」

 ネット予約であれば、電話応対が不要。電話応対のための作業や人件費は、飲食店にとって本来は、ムダな部分だ。そこでキャンセルが発生すれば、経済的・精神的なダメージが大きい。さらに、近年急激に増加している訪日観光客(インバウンド)の問題もある。外国語の応対の大変さもあるが、もう1つ「キャンセル率の高さ」という問題だ。同社の調べでは、訪日観光客による予約キャンセルの比率は、通常の予約に比べ2倍近い結果だという。こうした現状への危機感が、ある意味、名称の変更にも表れていると言えるだろう。

「一般的に、客単価の高いお店は、キャンセル率は低い。ただ外国人のお客様は、キャンセル率が高くなりがちだ。これは、旅先のために、予定外のトラブルがお客様に起きたケースもあるし、複数予約していて当日の気分で選択するといったケースもある。外国人の方でなくても、“当日の天気”といった条件でキャンセルする場合も十分ありえるでしょう」と、谷口氏はその原因を分析している。

「ただ、そういった背景を踏まえても、8席の寿司店が当日4席キャンセルになったら、売上は半減してしまう。『当日予約はキャンセル料金100%いただきます』としていても、電話予約だったら、回収するのが難しい。こういった場合、テーブルソリューションのキャンセルプロテクションを使い、『電話予約で無く、ネット予約のみ受け付けます』としておけば、カード情報入力が必須となり、トラブルを回避できる。そのほうが健全」(谷口氏)と、そのメリットを解説。店舗側にとっては、カード情報を入力させることをハードルと捉える店舗も多いが、「細かなカスタマイズが可能なため、利用料金や予約時期で適用条件を切り分け、ハードルを下げれば、抵抗感も軽減できる。スタッフがそういう提案も行っている。そうすると、だいたい8割ぐらいの店舗は、興味を示してくれる」(谷口氏)とした。

 たしかに、「一見のお客様は、初回はかならずネット予約=事前決済」などとルール化しておけば、スマートにトラブルを回避できそうだ。同時に顧客管理システムの機能で、以降も、きめ細かな対応ができるだろう。まさに、ネット予約重視で、紙の台帳ではないテーブルソリューションのメリットが最大限に活かされている形だ。 



■「店舗のコンサルタント」としても、細かな要望をフォローアップ

 テーブルソリューションは、非常に顧客満足度が高いとのこと。それは、きめ細かな営業サポートを行っている点と、実際に使ってもらうと予約が伸びるという点にあるという。「実際にテーブルソリューションを導入してもらった際には、全体の予約件数が1.5倍の伸びを見せた」(谷口氏)とのこと。それにともない、電話予約件数は減ったが、全体は伸びているし、電話応対が不要となり、業務効率が格段にアップした店舗も多い。

 一方で、テーブルソリューションでは、複雑な予約ルールを登録する必要がある。こうした要望を、店側からヒアリングし反映させるのが、同社の営業コンサルタントスタッフだ。そのため、同社の営業コンサルタントスタッフは、ほとんどがレストラン勤務経験者やソムリエ資格保持者だ。要望を聞き取るとともに提案も行う。

 同社の社内区分では「サポート」は存在せず、売上では無くネット予約件数の効率や正確性を重視する「コンサルタント」として、店舗に通い日々対応しているという。

■「ネット予約こそが、最高のおもてなし」

 ベスパーの視点はつねに一貫している。「“おもてなし”とは?」を尋ねると、「ネット予約できることこそが、“おもてなし”」だと、谷口氏は即答した。それは、“そういう機能が用意されている”ということでなく、“誰もが気軽に、24時間いつでも飲食店の予約が行え、お店も利用者もトラブルなく快適に過ごせる、Win-Winの関係を作れる仕組み”が、ネット予約なのだ。

 実際、老舗高級すきやき店が同社システムを導入する際、店舗スタッフは「うちのお客さんは、ネット予約なんかしない。電話で直接きちんと会話してこそ、“おもてなし”だ」と主張したという。しかしこれに対して、社長が一喝。「会話したくないお客様もいるだろう。電話予約ではなくネット予約したいお客様もいるだろう。深夜に予約したいお客様もいるだろう。そういうお客様すべてに対応する手段を用意することが、真の“おもてなし”だ」として導入に踏み切ったというエピソードを、谷口氏は紹介してくれた。この一連のやりとりは、テーブルソリューションの紹介トークとして使っているという。

「ユーザーの利便向上」「スタッフの作業効率向上」「インバウンド対応」という3つの課題がある旧弊な業界、日本の状況に対し、「予約の電話がかかってきて、調理の手を止めなくてはいけない現状があった。1本の電話も鳴らないのに、いままでどおり、予約のお客様が来てくれる。その変化はステキじゃ無いですか?」と谷口氏は問う。

 現在、老舗高級すきやき店でのネット予約は、ほぼ5割を占めている。「だから、“ネット予約=おもてなし”なんです」と、谷口氏は締めくくった。

サービス業のIT利用最前線!4 利用者、事業者ともにハッピーな予約台帳

《冨岡晶/HANJO HANJO編集部》

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