「次はIoTで情報革命」、ソフトバンク孫氏が語る“ARM社買収の本当の狙い” | RBB TODAY

「次はIoTで情報革命」、ソフトバンク孫氏が語る“ARM社買収の本当の狙い”

IT・デジタル エンタープライズ

ソフトバンクグループの孫正義氏
  • ソフトバンクグループの孫正義氏
  • 人工知能が人間の知性を超える「Technological Singularity=技術的特異点」を迎えるにあたり、ソフトバンクグループが講じた対策の一つがARMの買収だったという
  • 人間のIQを人工知能が超えると予測
  • トランジスタの数は人間の脳細胞の100万倍に
  • 技術的特異点以後はAI、スマートロボット、IoTが技術を牽引していくという
  • ARMのコアビジネス
  • 2015年にはARMベースのチップが世界中に148億個も出荷されている
  • ARMではIoT向けOSである「mbed OS」のプラットフォームや「TrustZone」というセキュリティ技術も独自に開発している
 ソフトバンクグループは21日、今年で5回目になる法人向けイベント「SoftBank World 2016」を都内で開催した。開幕基調講演にはグループの代表取締役社長・孫正義氏が登壇。先日の英ARM社買収劇の背景や、今後の「情報革命」に関連するグループの戦略を語った。

 スピーチで孫氏は冒頭からソフトバンクが英ARM社を買収した舞台裏について言及し、10年前から計画してきたことが、先月に同社の会長と社長に案件を提案してからわずか2週間という短期間で決着したものだったと振り返る。

 孫氏は学生の頃からマイクロチップの進化に強い興味を持ち、パソコンなどに搭載される人工知能が、人間の知性を超える日が来ることに胸を高鳴らせていたと振り返る。孫氏は「ソフトバンクがなぜ半導体なんだと疑問に思われるかもしれないが、私はこれまで40年間に渡って憧れ続けていた理想に一歩近づけたことを興奮している」とし、ARM社の買収が思いつきによるものではなく、ソフトバンクグループの成長戦略のなかで綿密に計画され、実行に移された重要な一手であるとした。

 昨年の同イベントでも開幕基調講演の舞台に立った孫氏は、「Technological Singularity=技術的特異点」というキーワードを壇上で繰り返していた。技術的特異点とはつまり、コンピュータの処理能力が発達し、その性能が人間の知能を追い越してしまうポイントのことである。人類はその時を迎えた後の、人工知能との共存方法についてさまざまな考えを巡らせなければならないと孫氏は持論を説いている。今回のARM社の買収は、まさに技術的特異点を迎えるためにソフトバンクが人類に必要な一手を打ったものだと孫氏は強調している。

「私の試算では技術的特異点は2018年に訪れる。人間の脳細胞は300億。PCのトランジスタの数は現在30億個だが、2018年には人間の脳細胞の数を超えて、2040年には3,000兆個、つまり人間の1万倍に到達するだろう。その時に人工知能はビッグデータとディープラーニングを土台に、人間よりも瞬時に、また遙かに深く広い演算処理がこなせるようになっているはずだ。また、これからはモバイル・PCからIoTへのパラダイムシフトが起きて、地球上のありとあらゆるモノがインターネットにつながっていく。さまざまなものからデータを吸い上げるためにはICチップが必要だが、そのチップをどれほど多く地球上にばらまけるかが、人工知能とIoTの成功の鍵を握っている。ARMは世界中のICチップのメーカーに、コアとなる設計図をデザインして提供している企業だが、昨年にはARMベースのチップが世界中に148億個も出荷されている。これは地球上の全ての人々に年間2個のチップを渡したのと同じ計算だ。今から20年後に、きっとARMは約1兆個のチップを地球上にばらまくことになるだろう。大量のチップが地球上のデータを同時に吸い上げれば、人工知能はさらに賢く、素速く世の中の森羅万象を予知・推論できるようになる。考えてみれば恐ろしいことだが、私はむしろ楽観視している。知性をもった人工知能が人類の仲間になり、人類を自然の大災害から守り、不治の病から救ってくれると確信しているからだ。人工知能の助けを得て、200~300年後には人類の平均寿命は200歳を超えているかもしれない。このような未来を実現するために、ソフトバンクがARM社とパートナーシップを組むことは必然だったのだ」

 IoT機器に組み込むためのICチップに求められるのは「低消費電力性能」であり、ARMがマイクロコントローラー向けのチップとして設計する「Cortex-M(Micro)」は、その性能において市場をリードしていると孫氏は語る。ARMではIoT向けOSである「mbed OS」のプラットフォームや「TrustZone」というセキュリティ技術も独自に開発していることが特徴だ。IoTに関わる技術のエコシステムをARMが既に確立していることは、今後起こりうるIoTデバイスを媒介にしたサイバー犯罪を未然に防ぎ、安全な利用を促進するために不可欠であると孫氏は指摘を加える。
《山本 敦》

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