【立入勝義の米国レポート】決済端末がもたらす米国のチップ文化への違和感
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同金額は全米最高水準で、日本円に換算すると約1650円、これが従業員に対して支払われる「最低」になるというのだから、とりわけ飲食店や小売店での影響は大きなものとなりそうである。
また、レストランで注文する際には一部で食べ物について面倒臭いリクエストを出す顧客にも懇切丁寧することがあり、エクストラサービスの対価としてのチップにも合点がいくが、先に述べた類の店では注文はいたってシンプル。目の前で調理がされていて、給仕をするのも自分、となると正直有り難みが減り、チップを今までどおりの料率で払うのが正しくないように感じてしまう。かといって、よくある据え置き型のチップ専用のジャー(瓶など)では日本のコンビニレジ前の寄付箱のように大きな集金効果は期待できなそうだ。店舗側も店員に対して配慮をしているということなのだろうが、消費者は違和感を感じている。
このようなチップを巡るやり取りと最低賃金上昇の影響で消費者が違和感を感じると結果的に客足も遠のきそうなものなのだし、AIによる雇用機会喪失の可能性もあながち遠い未来ではないのではないかと感じてしまう。
はたしてチップ文化は20年後の米国でも「合理主義」の証として存在していられるのだろうか。デフレで物価自体も安い上にチップがなくとも素晴らしいサービスを受けられる日本を訪れる度に思いを馳せる問題である。
●著者:立入勝義 氏
世界銀行元ソーシャルメディア広報担当官。元ウォルトディズニーリゾートデジタルプロデューサー。北米で、ライセンシング交渉、M&A、法務交渉(対米国起業)、ローカライゼーションなど起業支援コンサルティングを行う。日本語での著作は4冊、米キンドルストアでは100冊以上を出版。