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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第90回 “転換点”を迎えた2015年のモバイル業界を振り返る!

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iPhone 6s、中古スマホ市場をけん引するゲオ、Apple Watch/(c) Getty Images、携帯電話料金の見直しを求める発言を行った安倍晋三首相/(c) Getty Images(写真左上から時計回りに)
  • iPhone 6s、中古スマホ市場をけん引するゲオ、Apple Watch/(c) Getty Images、携帯電話料金の見直しを求める発言を行った安倍晋三首相/(c) Getty Images(写真左上から時計回りに)
  • 2015年度上期(4月~9月)スマホ出荷台数シェア(MM総研、2015年10月29日公表)。アップルがちょうど50%
  • Kantar Worldpanelの「Smartphone OS sales market share」(http://www.kantarworldpanel.com/smartphone-os-market-share/)。主要国にマウスカーソルを合わせると、その国のスマホOS別販売比率が表示される
  • 行き過ぎたキャッシュバックによるMNP販売
  • サムスンは「Galaxy S6 edge」(2015年4月発売)や、単体で通話・通信も可能なウェアラブル端末「Gear S」(2014年10月発売)など意欲的な端末を発売したが日本では振るわなかった
  • MVNOサービスの事業者数推移(総務省「MVNOサービスの利用動向等に関するデータの公表(平成26年12月末時点)」、2015年4月30日公表)より抜粋
  • ゲオがオープンさせたモバイル専門ショップ「ゲオモバイル」。写真は北海道・札幌狸小路4丁目店
  • 個性派MVNOとして注目された「もしもシークス」。写真は東京・曳舟店
■総務省の料金引き下げ議論は「誰得」だった?

 9月に安倍晋三首相が携帯電話料金の見直しを求める発言を行ったことをきっかけに、総務省によるスマホ料金引き下げのための議論が始まり、5回にわたって有識者会合『携帯電話の料金その他の提供条件に関するタスクフォース』が開催され、その報告書が取りまとめられた。

 「ライトユーザー向けの低廉な料金プランの検討」や、「高額なキャッシュバックなど行き過ぎた販売の是正」、「MVNOサービスの多様化と競争促進、そしてそのための中古端末市場の発展」などが結論に盛り込まれた。これを受けて、高市早苗総務大臣は12月18日午後にNTTドコモ、KDDI、ソフトバンクの3社に対し販売適正化に務めるよう要望書を手渡した。

 すでに本件は各所で報道されているものであり、受け取り方もさまざまであろうが、筆者としての考えをここに記しておきたい。

 スマホはまさに日常生活に欠かせない重要なツールとなった。毎月負担せざるを得ないこのスマホ料金を引き下げたいという点は国民の誰もが期待することである。首相の発言の真意もこの「最も基本的」なところを指摘していたはずなのであろうが、これを実現させるには抜本的な業界のあり方を見直す必要が生じる。ユーザーが毎月支払っているスマホ料金は、そのサービスを提供する通信事業の部分だけでなく、定期的に買い替えを余儀なくされるスマホ端末の販売や、サポートの体制も含め、すべてに関わってくる。

 とくに近年問題となっているのが、MNP(番号移動制度)による顧客の「奪い合い」を目的にした過剰なキャッシュバック販売である。「2年ごとに通信事業者を乗り換えつつ端末を買い換えるのが一番お得」という使い方が広く浸透するほど、特殊な端末の売り方が横行してしまっている。確かに、2年ごとに通信事業者を乗り換えてしまうユーザーこそメリットは多いであろうが、そうした契約を繰り返すユーザーはまだごく一部である。多くのユーザーは、同じ通信事業者を何年も変更せずに使い続けている。2年以上同じ端末を使い続けているユーザーも少なくない。こうしたユーザーが結局は損をしてしまうのである。

 2014年3月に総務省で開催された会議に招聘された野村総合研究所の北俊一氏は、2013年の1年間でMNP利用者に約3,400億円が支払われていると試算し話題となった(MNP利用者に支払われた各種販売奨励金、すなわち月々サポートやのりかえサポート、キャッシュバック等の総額)。MNPを利用する約5%のユーザーのために、その他の約95%のユーザーが約2800円を負担している計算になるという。

 では、総務省の要請を受けて何が変わるのか。
《木暮祐一》
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