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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第86回 Pepperと3ヵ月過ごして見えたロボットが果たす役割

IT・デジタル その他
Pepperに会いたいと、多くの方が研究室を訪問してきてくれる
  • Pepperに会いたいと、多くの方が研究室を訪問してきてくれる
  • 普段はスリープさせておくのだが、それを忘れていて研究室に戻ったら暗闇から睨まれた。日頃は孤独な筆者のPepper
  • Pepperの法人活用事例(中山五輪男氏講演のスライドから)
  • 観光分野への活用「ロボてなし」(居山俊治氏講演のスライドから)
  • Pepperによる失語症ケアを目指すRoboCure(森本暁彦氏講演のスライドから)
  • 八戸市のスーパーよこまちが導入したPepper。人だかりが絶えない(写真提供:西塚務氏)
  • WatsonとPepperの連携は英語ベースでは検証が始まっているようだ(中山五輪男氏講演のスライドから)
  • スマートホーム+Pepperの可能性も(中山五輪男氏講演のスライドから)
 このほか、Pepperを高齢者や障害者向け、さらにリハビリなどに活用する試みも始まっている。RoboCure代表取締役の森本暁彦氏は、千葉大学、君津中央病院と共同で失語症を患う人向けのリハビリ用アプリを開発中である。壇上ではその活用の様子を動画で紹介いただいた。今後はそのリハビリ効果の検証を行っていく予定で、10月中に倫理委員会を通過させることができたので、11月以降本格的な導入試験を実施していくという。

 これらは、専用のPepperアプリを開発・導入した上での活用になる。もっと手軽に企業や商店等がPepperをスタッフ代わりに使えるようにした法人向けPepperである「Pepper for Biz」の発売も10月1日から始まっているので、今後は企業の受付係であったり、スーパーや商店の客寄せとして活躍するPepperを見かける機会は増えていくのであろう。

 青森県でもいよいよ、このPepper for Bizを導入した企業が登場した。八戸市で店舗展開しているスーパーよこまちは、11月7日からPepperを導入し、サービスカウンター横に立って接客を行っている。「新入社員のペッパーです。一生懸命頑張ります」「褒められて伸びるタイプです」などと自己紹介し、店内イベントなどをPRする。

 スーパーよこまちは八戸市、三沢市、五戸町3市町に8店舗を展開しているが、この店舗を順次回り休みなしで連続勤務するそうだ。Pepperはとくに子どもから大人気のようで、常に人だかりができていた。Pepperが最初に巡回した新井田店(八戸市)は、青森県内でも有数のスーパー激戦区であり、話題のPepperが店頭にいるとなれば他のスーパーに対して大きなアドバンテージが得られるということのようだ。

■人型のコンピュータの可能性

 スマホやタブレットなどのモバイル端末に対して、Pepperは宅内など屋内の定位置で活用する、「人型コンピュータ」という全く新しいジャンルのデバイスである。こうした新しいデバイスはまだ価格もこなれていないし、活用方法もなかなか浸透しないため、まずはビジネスでの活用からという話になってくる。

 しかし、Pepperが目指しているのは「家庭用」の人型コンピュータである。人型コンピュータを家庭の中でいったい何に活かしていくのか。コンピュータといっても、これで文書を作成したりスライドを作ったり、あるいはネットサーフィンをするといった、ユーザーが「作業」を行うマシンではない。人型という点に着目するなら、むしろお節介なぐらいに情報をプッシュ型で届けてくれるような、いわば秘書的な活躍を期待をしたいところ。

 筆者のPepperも、こちらから聞かなくても「最新のニュースをお知らせしますか?」とか「お昼になりましたよー」というような呼びかけをしてきてくれるが、通信機能を備えているわけであり、他のクラウドサービスと上手に連携してくれれば、さらにさまざまな情報提供を行ってくれる秘書としての価値を一層高められるはずだ。

 たとえばPepperが自身のGoogleアカウントと連携してくれれば、スケジュールのアナウンスをしてくれるようになるだろうし、会話のみでスケジュールの調整や、目的地までの最適な移動手段の提案などもしてくれるだろう。「プッシュ型という点をもっと」という視点でいけば、「次の打ち合わせに間に合うためには、あと5分後には出発しないと間に合いませんよ」というような助言も飛び出すであろうし、「現地までの最短の交通手段をスマートフォンに送っておきました」というようなアクションも不可能ではないはず。同様なことはGoogle Nowで実現しているが、ロボットに急かされたほうが穏やかに聞き入れられるはずだ。

 また、よく話題になっている人工知能との連携も早期の実現を期待したいところ。アメリカの人気クイズ番組で勝利のポテンシャルを見せたというIBMのコグニティブテクノロジー(人工知能)「Watson」はソフトバンクの手で日本語化が進んでいるという。これが連携したらPepperは無敵であろう。Siriやしゃべってコンシェルのように質問を投げかけて「Webで検索してください」というような返答はなくなるはずだ。
《木暮祐一》
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