女性らしい視点で広島を活性化……COAKI代表・稲葉綾子氏インタビュー | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

女性らしい視点で広島を活性化……COAKI代表・稲葉綾子氏インタビュー

エンタープライズ その他
コミュニティCOAKIの代表 稲葉綾子さん
  • コミュニティCOAKIの代表 稲葉綾子さん
  • 広島県のガイドブック「カンパイ!広島県 ~見んさい!食べんさい!飲みんさい!~」
  • COAKI YATAI 2015のパンフレット
  • イベントの様子
  • イベントで活躍するメンバーたち
  • 取材の対応してくれた稲葉さん
 2015年6月からの広島県の観光キャンペーン「カンパイ!広島県 ~見んさい!食べんさい!飲みんさい!~」は、昨年のPerfumeに引き続いての大物 奥田民生を起用したことで、マスコミでもかなりの話題になった。奥田民生が表紙となった県発行のガイドブックは瞬く間に品切れとなり5万部も増刷したほどだ。

 そのガイドブックに4ページにわたって掲載されているもみじ饅頭特集記事には「『COAKI』セレクトだから、おいしくないわけがないのだ」と見出しがつけられている。今回のキーパーソンは、この広島発Over30女性達によるコミュニティCOAKIの代表 稲葉綾子さん。広島のタウン情報誌やテレビなど様々なメディアに情報を提供し、商品開発やイベント企画にも関わっているCOAKIについて稲葉さんにお話を伺った。

■「自分たちが楽しむため」のウェブサイトが月間60万pv
稲葉さんは元大手広告代理店勤務。独立したての頃に、同世代の女性の友人8人と何か自分たちも楽しめて地元広島に貢献できる情報交換の場を作れないかと思いついたのが、COAKIのきっかけだった。

「ある程度年齢を重ね、酸いも甘いも経験してきた働く女性たちがこだわりを持って吟味した情報を、他の人にもオープンに活用してもらえたら・・そんなほんわりとしたイメージでウェブサイトを立ち上げたのが始まりです。」

 2009年に始めたCOAKIのウェブサイトはシンプルなブログ形式で構成されており、そのスタイルは6年を経た今でも変わっていない。グルメやお出かけスポット、お一人様やビジネス用ランチからお土産物に至るまで、女性が欲しがる情報がいたってシンプルに検索できるCOAKIのページビューは月間60万を超えるという。現在編集を許されているメンバーは19人。曜日で割り当てを決めたりするのではなく、それぞれがこれ!と思った情報があれば自由に記事を投稿するスタイルは、当初「自分たちも楽しめて」と始めたCOAKIならではだ。

■イベントから商品開発ー広島の大人の女性代表として
 ウェブサイトの閲覧数が伸び記事が増えていくのと同時に、広島と女性をキーワードにしたイベントを「自然発生的に」開催するようになったという。

「幸いCOAKIのメンバーは本職の他に、ワインアドバイザーや着付け、チーズなど特技のある人が多く、特技を生かしつつ盛り上がれるイベントを自然と行うようになりました。」

 常に広島と女性という視点を崩さずに様々なイベントを企画開催するようになると、自然とCOAKIの知名度も上がっていった。

 企業とのコラボレーションが始まったのは2011年のこと。中国醸造株式会社が新たな女性向け商品を開発するため、「女性代表」としてCOAKIのアドバイスを求めたのだ。こうしてできあがった商品は同社の女性向けヒット製品の先駆け「SHIROI」となり、現在大ヒット中の「もみじ饅頭のお酒」へとつながることになる。

 広島の大手スーパーマーケット「フレスタ」との大人の女性向けスイーツ開発もCOAKIが手がけた企業コラボの一つだ。一般の女性を巻き込んだワークショップ「広島大人女子おやつ会議」からCOAKIが企画、そうして開発されたスイーツ、ミニ・ブッセ「comai」は好評を博した。

 地元広島のマスメディアからの情報提供依頼も多い。「パン特集をするので…」「ランチ特集をするので…」たびたび情報提供しているうちに、「~に詳しい○○さんをお願いします」とマスコミ側からCOAKIメンバーへ名指しで依頼がくるほどになった。

 稲葉さん曰く仲間同士で「ほんわり」始めたCOAKIは、情報提供からイベント運営、商品開発、サントリーなど大手メーカーの新商品プロモーションにいたるまで、広島の大人の女性代表としてひっぱりだこの活躍を続けている。

■もっと広島を元気にするために…女性らしい視点からの広島活性化を
 稲葉さん率いるCOAKIが「楽しみながら」行っていた活動に企業やマスコミが着目し、それがさらに大きな広島の活性化の道筋となっていく。広島県ガイドブックのCOAKIが担当したもみじ饅頭特集記事は、その最たる例だ。

 4ページにも渡る記事を担当することになったきっかけは、数年前、稲葉さんが「いったい広島にはどれくらいのもみじ饅頭があるんだろう?」とふと疑問に思ったことだった。

「広島県民はもみじ饅頭をお土産として買うけれど、自分では食べないんです。広島の人達にこそ、もみじ饅頭について知って、再認識してもらいたいと思いました。」

 稲葉さんたちCOAKIのメンバーが宮島界隈を駆け回って「大人買い」したもみじ饅頭は、計約130種類にも及ぶ。その後も「もみまんナイト」と称して、イベントとして様々なもみじ饅頭を食べてサイトにアップを続け、昨年はとうとう、広島の情報誌WINKと提携してイベント「もみまんマルシェ」を開催。宮島の菓子組合の協力も得て、広島の中心地で宮島から20店舗のもみじ饅頭店から各種もみじ饅頭を集めてマルシェを行うという一大もみじ饅頭祭となった。

 稲葉さんの取材に伺ったこの日は、「広島土砂災害・東日本大震災復興支援イベントCOAKI YATAI 2015」だったが、目を引いたのはチラシにずらりと並ぶ協賛企業だ。「広島の女性たちがほんわり」が企業やマスコミも動かしてのイベントになり、記事になり、県外へ広島の魅力を伝えるまでになる。COAKIがこれまでいかに女性の視点を正確に捉えてきたか、そしてそこから培った影響力の大きさがうかがえる。

■義務ではないから生み出せるものがある チームとしてのCOAKI
 インタビュー中の稲葉さんが何度も繰り返していた言葉がある。それは、先ほどから引用している「ほんわり」と「楽しい」という言葉だ。確かに、この日のイベント運営メンバーたちが、忙しい中笑顔で生き生きと動いていたのは、とても印象的だ。

「COAKIは、自分と周りの友人たちが情報を共有するための楽しい事の延長です。COAKIは会社ではないので、なんの見返りもありません。ですが、商品開発やイベントなど、一般の人では関わることがないかもしれない、お金にならない体験ができる。そういうことを楽しいと思ってくれる人が参加してくれているです。だから、これをやらなくてはいけないとか決めて突き詰めるのではなく、流れにのりつつ、強制せずにゆるやかにつながりながらやっていくことが大切だと思っています。これからも、みんながもっと楽しい事が増やせたらいいと思っています。」

 微笑みながらそう話す稲葉さんだが、大手広告代理店出身で、現在も独立して広告業を営む稲葉さんには、COAKI誕生の時から様々なノウハウがあった。

「始める時からもちろんある程度の絵を描いていました。これをしたいとか、こうすることでこうなりたいとか。企業とのコラボもその一つで、その時思い描いた通りにはできていると思っています。戦略的にCOAKIを進めていくのは、私の楽しみの一つなんです。」

 あくまでも「ほんわりと楽しく」でありながらそのベースは「戦略的」に。義務ではないから生み出せるものがある。COAKIはコミニティであって企業ではないが、新しいものを生み出し展開する確かな視点と発想力という点で、その運営や理念には企業からも学ぶべきことは多いように感じさせられた取材であった。

【地元から日本を盛り上げるキーパーソン】大人の女性の本当の声を届けたい……COAKI

《築島渉》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

page top