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IBMが半導体事業をGLOBALFOUNDIRESに売却

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(c)Getty Images
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 IBMは、20日(現地時間)米半導体メーカーであるGLOBALFOUNDRIES(GLOBAL社)がIBMの半導体事業を買収する契約に合意したことを発表した。

 GLOBAL社は、IBMの半導体事業について特許などの知的財産を含むグローバルな製造技術を取得することになり、今後10年間はIBMのサーバー向けの独占的半導体サプライヤーとして22nm、14nm、10nm技術によるデバイスを提供する。IBMが持つ2つの半導体製造工場(ニューヨーク州、バーモント州)とその従業員は、サーバー部門に残る一部の従業員を除いてすべてGLOBAL社に引き継がれる。

 IBMはこの契約により、次世代のクラウド、モバイル、ビッグデータ技術に必要な半導体の研究開発に専念できるようになるとしている。また、GLOBAL社はIBMと提携関係にあるSUNY工科大学のCNSE(Colleges of Nanoscale Science and Engineering)の研究成果への優先アクセス権を手にする。とくに1000を超えるとされるIBMの特許のうち10nmプロセスやRFチップ(高周波・無線周波数帯の半導体デバイス)の技術はGLOBAL社に大きな利益をもたらすだろうとしている。

 今回の事業部売却は、資産損失や売却コスト、GLOBAL社への支払を含んだ上で、IBMの2014年の第3四半期決算に47億ドルの収入(税引き前)をもたらす。GLOBAL社への支払い(cash consideration)は、およそ2億ドルと推定される運転資本合計の売却価格調整に充当されるもので、約15億ドルが3年間にわたりIBMからGLOBAL社に支払われる予定だ。

 IBMが同日発表した第3四半期の決算報告によれば、継続事業部分の総収入は244億ドル(前期比4%減)。継続事業部分の調整後1株あたりの利益は前期比8%減の3.46ドル(GAAP)。継続事業部分の当期純利益は17%減の35億ドル(GAAP)だという。しかし、事業売却にともなう損失を調整した純利益は1800万ドル(1株あたりの利益は0.02ドル)になるという。

 IBMでは7月に、クラウドやビッグデータ技術、10nm、7nmプロセスに関する技術、量子コンピュータやカーボンナノチューブなど、次世代技術の基礎研究に対してい5年間で30億ドルの投資を行うと発表している。今回の半導体事業売却でもこの投資計画は継続するとしているが、14nm以下のプロセス技術がGLOBAL社でどのように引き継がれていくかは不透明といわざるをえない。

 IBMでは、7月の発表時に10nmプロセスは一定の目処がついたとの認識を示しているが、7nmプロセスについては製造ラインなど現実的な課題も多いとされている。そしてIBMのPOWER CPUシリーズに投入されている半導体技術は、同社のスーパーコンピュータにとっても欠かせない技術だ。IBMはワトソンやセコイアといったスーパーコンピュータの開発をやめてしまうのだろうか。

 その一方で、IBMは量子コンピュータやナノテクノロジーの研究も進めている。あるいは集積化の限界に近づきつつあるシリコンベースの半導体に見切りをつけ、新しいデバイスによるコンピュータに託すのだろうか。

 過去半世紀にわたりコンピュータ業界をリードしてきたIBMだが、大きな転機を迎えている。
《中尾真二》
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