【ET2013 Vol.7】「ETアワード」を受賞した技術・製品・ソリューション | RBB TODAY

【ET2013 Vol.7】「ETアワード」を受賞した技術・製品・ソリューション

ブロードバンド テクノロジー

オートモティブ/交通システム部門アワードその1。ルネサスエレクトロニクスを中心とした、車載情報端末向けSoC「R-Carシリーズ」による統合コクピット向けソリューション
  • オートモティブ/交通システム部門アワードその1。ルネサスエレクトロニクスを中心とした、車載情報端末向けSoC「R-Carシリーズ」による統合コクピット向けソリューション
  • オートモティブ/交通システム部門アワードその2。NCESが推進する、AUTOSAR仕様に準拠した「TOPPERS/ATK2」(Automotive Kernel Version2シリーズ)
  • 先端テクノロジー賞その1。 ARMの「ARM big. LITTLE」。単一マイコンで困難だった、ハイパフォーマンスと高電力効率という両課題を解決するマルチコアSoCシステム
  • 先端テクノロジー賞その2。NECの画像コーデック技術「StarPixel」。JPEG2000と同等画質を維持しながら、可逆/非可逆で、低負荷・高圧縮、(最大40倍)を実現
  • 従来の画像圧縮技術との比較。下がStarPixelを採用した場合。ブロックノイズもなく、明らかにきれいな画像に変換されている
 11月20日より3日間、パシフィコ横浜にてET2013=「Embedded Technology 2013/組込み総合技術展」が開催された。ここでは本展示会のターゲットテーマである応用6分野(スマートエネルギー、オートモティブ/交通システム、ロボティクス、モバイル/クラウド、スマートヘルスケア、スマートアグリ)の中から、優れた製品に贈られた「ETアワード」の内容について紹介しよう。

 オートモティブ/交通システム部門では、異例ながら2つの企業から優秀賞が選出された。1つは国内の代表的な半導体メーカー、ルネサスエレクトロニクスを中心とした、車載情報端末向けSoC「R-Carシリーズ」による統合コクピット向けソリューションだ。ルネサス は、OS/ミドルウェアメーカー、SIerなど、現在100社を超えるパートナーと「R-Carコンソーシアム」を結成している。各社とのコラボレーションによって、さまざまなソフトウェアコンポーネントやプラットフォームを提供することで、効率的な開発環境を支援している。展示会では、その成果である統合コクピット向けソリューションを紹介していた。

 もう1つ、オートモティブ/交通システム部門で優秀賞を受賞したのは、名古屋大学 大学院情報科学研究科 附属組込みシステム研究センター(NCES)だ。同センターは、オープンソースの組込み向けリアルタイムOS(RTOS)の開発を推進する「TOPPERSプロジェクト」(Toyohashi Open Platform for Embedded Real-Time Systems)で知られている。受賞対象はAUTOSAR仕様に準拠した「TOPPERS/ATK2」(Automotive Kernel Version2シリーズ)だ。

 近年、欧州車載システムの標準規格「AUTOSAR」(AUTomotive Open System ARchitecture)の仕様が広く採用されるようになった。しかし、AUTOSARの仕様は膨大で複雑で曖昧さも残っている。また実装時のオーバーヘッドの問題もあり、まだ日本では導入が進んでいないのが実情だ。そこで、これらの問題を解決するために、NCESは複数の企業とコンソーシアム型の研究組織を立ち上げ、「TOPPERS/ATK2」を共同開発し、オープンソースとしてTOPPERSプロジェクトで公開した。デモブースではスズキの自動車が展示されていた。実は、この自動車には、すでに「TOPPERS/ATK2」が実装されているそうだ。

 マイクロプロセッサで有名なARMは、パワーマネジメントの大幅な改善を実現する「ARM big. LITTLE」の技術によって、先端テクノロジー賞を受賞した。これは、従来まで単一マイコンで困難だった、ハイパフォーマンスと高電力効率という両課題を解決するマルチコアSoCシステムだ。高性能なbigプロセッサ(Cortex-A15)と、高電力効率のLITTLEプロセッサ(Cortex-A7)を組み合わせ、適材適所で処理を各プロセッサに振り分けることで、性能と長時間駆動を実現。電池寿命を伸ばすマルチコアプラットフォームとして、モバイル機器を始めとする幅広い分野への搭載が期待できるとのこと。

 NECも独自の画像圧縮技術で先端テクノロジー賞を受賞した。これは低負荷・高圧縮を実現する画像コーデック技術「StarPixel」だ。最新規格のJPEG2000と同等画質を維持しながら、最大40倍の処理が行える。可逆/非可逆で、グレースケール(最大8-16ビット)からカラー(24-48ビット)までに対応。すでにJAXAの金星探査機「あかつき」で画像伝送時の圧縮技術に採用されているそうだ。JPEG2000で60秒かかっていた画像の可逆圧縮を、約1秒で処理できたことが採用の決め手になった。金星から地球までは1億km以上の距離があるが、衛星からの通信速度は2~32kbpsと低速。そのため、どうしても高性能なデータ圧縮技術が必要だった。また小惑星探査機「はやぶさ2」にも、同技術の採用が決定しているという。高い競争力を持つ独自規格として、航空宇宙、FA、医療などの組込み機器・システムでの応用事例に期待が向けらている。

 村田製作所は、「モバイル/クラウド部門」でアワードを受賞した。受賞対象の「どこでも買物メモシステム」は、無線とクラウドの連携によって生活の利便性を高めるソリューションだ。たとえば、冷蔵庫に牛乳がなかったとする。そこで同社の無線LAM Smartモジュールから「牛乳」のボタンを押すと、クラウド上に買い物リストが作成され、「牛乳」のチェックが追加される。スーパーなどで買い物をする際に、スマートフォンから買い物リストにアクセスすれば買い忘れもなくなるだろう。家族で情報を共有できるため、帰宅時にお父さんや子供たちに買い物をしてもらうことも可能だ。

 このほかにもスマート系で複数のアワードが各社に贈られた。スマートエネルギー部門では、Spansion Inc. と九州工業大学がアワードを取った。両者は、太陽エネルギーで半永久的に駆動するエナジーハーベスティングシステムを開発。システム開発に際しては、まつもとゆきひろ氏の「mruby」(組み込み向けの軽量Ruby)を産学連携で採用し、バグを減らして生産性を高める新しいソフトウェア開発を進めた。

 スマートヘルスケア部門では、ラピスセミコンダクタがBluetooth Low Energy LSI・ML7105とモジュールの組み合わせで優秀賞を獲得。市販のコイン電池で2年間使用できる低消費電力を実現し、ウェアラブル・ヘルスケア機器への応用が期待できる。一方、スマートアグリ部門ではデータテクノロジーが優秀賞を取った。同社は、農業クラウド向けのオールインワン遠隔監視制御システム「みまわり伝書鳩」&センサーユニットを開発。温湿度、風速・風向、雨量、紫外線、照度などを観測できる簡易気象観測ユニットから、3G通信で管理サーバに計測データを蓄積し、PCやスマートフォンなどで情報を閲覧できる。なおロボティクス部門に関しては、残念ながら今回は該当製品がなかった。次回の入賞に期待したい。
《高木啓》

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