【インタビュー】真のリーダーとは?J・ロビンソンをヒーローにしたマネジメント力(前編) | RBB TODAY
※本サイトはアフィリエイト広告を利用しています

【インタビュー】真のリーダーとは?J・ロビンソンをヒーローにしたマネジメント力(前編)

エンタメ 映画・ドラマ
ジャッキー・ロビンソンとブランチ・リッキー 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
  • ジャッキー・ロビンソンとブランチ・リッキー 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
  • グロービス経営大学院 経営研究科 研究科長 田久保善彦氏
  • 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
  • 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
  • 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
  • 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
  • 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
  • 『42~世界を変えた男~』 (c)2013 LEGENDARY PICTURES PRODUCTIONS LLC.
 いつの時代にも人々に影響を与え語り継がれるヒーローがいる。ハリソン・フォードの最新作『42 世界を変えた男』は、野球界を変え、そして世界を変えた男たちの話だ。まだ人種差別が色濃く残る1947年、ブルックリン・ドジャースのGMブランチ・リッキー(ハリソン・フォード)は、アフリカ系アメリカ人ジャッキー・ロビンソンと契約する。彼らは人種差別に対して勇敢に戦い、スポーツ界、世界を変えていく──。

 そんな感動的ドラマのなかに潜むのは、ブランチ・リッキーのリーダーシップ力やチームマネジメント力。その力は、きっと現代社会で働く一般人にも何かヒントになるはず! グロービス経営大学院でリーダーシップ開発と倫理・価値観などを教える田久保善彦氏に『42~世界を変えた男~』で描かれる人間力を聞いた。

──ブランチ・リッキーは黒人のジャッキー・ロビンソンの才能を買い、彼をチームに引き入れます。彼らの行動や思想が悪名高き人種差別の壁を破ることに繋がっていきますが、リッキーの何がすごいのでしょうか?

田久保:決して“ブレない”ということですね。あの時代のあの背景の中──南北戦争が終わり、第二次世界大戦が終わり、黒人差別が明確にある中で、これをやってしまったら絶対に叩かれるし批判されるであろうことをすべて承知でロビンソンを迎え入れます。もちろん、映画で描かれているようにいろいろな仕打ちにも遭う。けれど、ブレない。そのブレないことは、リーダーというポジションにおいてとても大事なことなんです。リッキーもロビンソンもブレなかったのは、この状況を変えることができると、可能性を信じたからできたことなんですね。

──ブレない、可能性を信じる。言葉では「なるほど!」と納得できても、自分自身でいざ行動するとなるとなかなか難しいもの。実践に活かすためのアドバイスはありますか?

田久保:ブレないでいられる根本には、こういうことを「実現したい!」という強い思い、自発的な思い、または使命感のような思いが必要だと思います。現存するビジネスリーダーと呼ばれる人たちに見られるのは、言動が一貫している、ブレないで邁進している、誰が何を言おうが「これをやる!」と決めていることですね。逆に“リーダーっぽい”人でブレている人は、他人の評価を気にしすぎているんです。だから、他人から何か言われるとブレてしまう。リーダーは独善的になる可能性もありますが、独善的の寸前までいかない限り強い一貫性は持ち得ないのかもしれない、独善的と良いリーダーシップは紙一重なのかもしれないですね。

──例えば、会社でプロジェクトのリーダーに抜擢された場合、どんなことを念頭にチームを引っぱっていったらいいのでしょうか?

田久保:先ほどの「可能性を信じる」という話はグロービスでも大切にしている言葉ですが、大きさの違いはあれど、万人に言えるキーワード。そして、リーダーにできることは、可能性を信じて環境を整えてあげることです。映画のなかで、ロビンソンが試合に出るなら僕は出ないという選手がいましたよね。そのときリッキーは毅然とした態度で「じゃあ出ていけ」と言うんです。ロビンソンが活躍しやすい環境を整えてあげることはリッキーにしかできないことだと分かっているから言えるセリフです。ですから、会社のリーダーがチームメンバーに仕事をさせようと思ったとき、そのメンバーが動きやすい環境を揃えてあげられるのがリーダーの仕事。その後、メンバーが頑張れるかどうかは彼らの問題です。そういう意味では、リッキーはリーダーの役割をものすごく理解している人物ですね。

──ロビンソンが試合に出るなら僕は出ないというように、チーム内で反発するメンバーが出た場合はどう対処していくのがベストですか?

田久保:企業の場合、変革という言い方をすることが多いですが、変革をするときに理解しなくてはならないのは、それはオセロに似ているということです。オセロはゲームのルール上、一手目は一枚しかひっくり返せない、二手目もほとんど一枚、三手目からは複数変えることができるけれど、ゲームの序盤は決して一気に形勢を変えることができないのです。でも、ゲームが終盤になれば、「角」をとったときに大きく流れを変えることができる。ロビンソンを一枚のオセロに置き換えると、まずはチームメイトのひとりがヤジる監督に抗議してくれた、次に一緒にシャワーを浴びようと言ってくれた、ひとつひとつ変わっていくんです。その逆もあるので、ひとつひとつしか変わらないその状況をどこまで我慢できるか、根気力でもある。正しいことをし続けることもポイントですね。

──その正しいことが正しいのかどうかの判断基準は、どう見極めたらいいのでしょうか?

田久保:やっていることが正しいかどうかのリトマス試験紙になるのは、自分は本当に何をやりたいのか? ということだと思うんです。それがないと判断は揺らいでしまいます。この映画の場合、リッキーとロビンソンの場合はメジャーリーグの人種差別をなくすことだったので、それに対して正か否かの判断軸を持っていた。だからこそブレずに進むことができた。信念があればブレにくくなると思います。

※後編に続く
《新谷里映》
【注目の記事】[PR]

関連ニュース

特集

page top