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【浅羽としやのICT徒然】第2回 SDNの基礎の基礎(後編)

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SDN ShowCaseでは、ほかにもNTTデータやNECなどが展示やデモを行っていた
  • SDN ShowCaseでは、ほかにもNTTデータやNECなどが展示やデモを行っていた

 また、クラウドでは、あるサーバ上で動いていたVMが、そのサーバの負荷が高い、もしくは、何らかの障害が発生した、などの理由で他のサーバにマイグレーションされる事があります。そのような場合でも、そのVMがユーザの仮想ネットワークから切り離されてしまわないような処理を行う必要があります。SDNのコントローラは、VMがあるサーバから違うサーバに移されたという通知を受けると、移動前のサーバからそのVMのパケットを仮想ネットワークに配送するために必要だった設定を削除し、代わりに、新たなサーバからVMのパケットを仮想ネットワークに配送する道順を作成し、経路上にあるネットワーク機器に必要な設定を行います。この設定の自動変更により、移動したVMが移動前と同じように他のVMとパケットをやりとりできるので、ユーザは自分に割当てられたVMが移動されたことを意識すること無く、クラウド上のシステムを使い続けることができます。

 通信ネットワークでSDNを用いる場合も同様です。ユーザのイーサネット専用線等をある地点から別の地点まで構成するために、コントローラが通信ネットワーク上の空き帯域を探しながら、仮想ネットワークを設定する道順を計算し、必要な通信機器の設定を集中制御します。障害があった場合の迂回経路などもコントローラが自動計算し、必要な機器の設定を変更することで迅速かつ柔軟に対応することができるでしょう。また、通信事業者の基幹網からアクセス網までの全てをSDNにより制御可能になれば、従来は、回線を発注してから数日から数週間かかっていたリードタイムが、Web画面をクリックして数秒で回線を利用できる、こんな利用環境の実現も夢ではありません。通信回線単体の利用でも、またクラウドと組み合わせて利用する場合であっても、システムの構成を、人手を解すること無く全てソフトウェア制御で迅速に実施できるようになるため、ユーザの利便性も大きく向上するというわけです。

 さらに、ユーザにとって一番身近なオフィスネットワークの仮想化と管理の自動化がSDNにより可能になれば、デスクトップのマシンからクラウド上のVMに自動的に仮想的なイーサネットの回線で接続したり、モバイル端末からオフィスのサーバまでイーサネット回線を繋いで、セキュアな通信を行うこと等もできるようになります。このように、さまざまな地点間でオンデマンドでネットワーク回線をソフトに設置し、必要がなくなった時点で回線を削除するというような、柔軟なネットワークの利用環境がSDNによって可能になるのでわれわれはこのような柔軟なネットワーク利用環境をNaaS(Network
As A Service)と呼んでいます。SDN、Naas実現のためのキーテクノロジー、ということがいえるでしょう。

筆者:浅羽としや/IIJで、1エンジニアとしてバックボーンNWの構築や経路制御などを担当し、CWCで、技術担当役員として広域LANサービスの企画・開発に従事。現在、ストラトスフィアで、社長としてSDNの基盤ソフトウェアのビジネスを推進中。
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