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【木暮祐一のモバイルウォッチ】第27回 握力なくてもスマホが利用できるように……高校生のアイデアが「ケータイ甲子園」で優勝

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『ケータイ甲子園2012』グランプリを受賞した、金光八尾高等学校2年生・山中霞さん(左)と、山中さんの取り組みを支援してきた同校・楠浦敦子先生。
  • 『ケータイ甲子園2012』グランプリを受賞した、金光八尾高等学校2年生・山中霞さん(左)と、山中さんの取り組みを支援してきた同校・楠浦敦子先生。
  • 金光八尾高等学校・山中霞さんが試作した、スマートフォンカバー。「共用品」という考え方に則り、健常者、障がい者、高齢者などだれでもがスマートフォンを使いやすいようなカバーを工夫した。
■ケータイ普及の現実と教育現場のギャップ

 ベネッセ教育情報サイトの調査(2012年10月)によると、すでに高校生の9割以上がケータイを所持しているという。また2012年5月~8月にケータイ等を購入した高校生は、フィーチャーフォン22.6%に対し、スマートフォンは77.3%(Android携帯41.5%、iPhone35.8%)に及び、数年のうちに高校生が所持する端末はスマートフォンばかりになることが予想できる。その一方で、教育現場では未だケータイの校内持ち込みを禁止するところもあるなど、日常品になろうとしているケータイ・スマホと向き合おうとしていない一面もある。

 ケータイは大人になれば必需品、そうした現実に目を向け、高校生が自らケータイを安全・安心・明るく前向きに活用する取り組みを競い、評価しようとして始まったのが「ケータイ甲子園」である。第1回となった『ケータイ甲子園2010』は、東日本大震災により本戦が延期されながらも、社会に対して高校生がケータイを有効に活用している取り組みをアピールするイベントとして幕を閉じた。その後1年のブランクを経て、今回第2回目となる『ケータイ甲子園2012』が実現できた。社会はもちろんのこと、学校という教育現場にもケータイと向き合うことを啓発して行く意味で大変意義のあるイベントになると考えられるが、その運営は火の車のようだ。今回は安心ネットづくり推進協議会が共催という形になり、NTTドコモ、グーグルなどの一部企業の協賛を得て、事務局となった財団法人ハイパーネットワーク社会研究所がギリギリの予算の中で運営を行った。経費の大半は、全国から招致する本戦出場高校生たちの旅費だ。来年度以降もこうしたイベントを継続して行くためには、更なるスポンサー企業の協力が求められよう。

 また学校現場の考え方もまちまちで、一次審査ののち本戦出場が決定した段階で、学校側が生徒の参加を公式に許可しないというところもあったという(その学校とケータイ甲子園事務局が折衝し、その後許諾は得られた)。「ケータイ甲子園」は内閣府や経済産業省、総務省、そして文部科学省さえも後援している事業であるにも関わらず、ケータイに対する考え方は学校によってかなり温度差があるようだ。

 「ケータイ甲子園」に出場した高校生たちのプレゼンテーションはいずれもすばらしいものばかりだった。高校生自身がケータイ利用に向き合い、課題をきちんと抽出し、その問題解決のためのアイデアを具現化したものばかりだ。これらは筆者でさえも気づきをもらったものが多かった。ぜひ多くの大人に、そして学校関係者に、こうした高校生たちの「本気」を知ってもらいたいところだ。なお、「ケータイ甲子園」本戦の様子はUstreamでも配信された。
《RBB TODAY》
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