【インタビュー】「予想外の広がり」……国産クラウド「cybozu.com」はGoogle、Salesforceに勝てるのか? | RBB TODAY

【インタビュー】「予想外の広がり」……国産クラウド「cybozu.com」はGoogle、Salesforceに勝てるのか?

エンタープライズ ソフトウェア・サービス
代表取締役社長 青野慶久氏
  • 代表取締役社長 青野慶久氏
  • 「クラウドはもっとゆっくりと浸透していくものかと思っていた」と話す青野氏。「cybozu.com」導入企業は2000社ほどに増加している。
  • 「Google Appsは個人を強化するツールで、ナレッジの共有を重要視するcybozu.comとは考え方が違う」
  • 9月26日のカンファレンスは規模を拡大して開催される。技術セッションを増やしているのも特徴だという
 サイボウズは9月26日「cybozu.comカンファレンス II」を開催する。今年の3月に第1回が開催されているが、来場者は当初予想していた300名を上回り約600名にもなった。実は、同社が昨年11月に「cybozu.com」をリリースして以来、その導入企業も2,000社ほどに膨らんでいる。こちらも「予想の3倍以上のスピードで増えている」(同社)という。そのため9月に開催されるカンファレンスでは、1000人規模で開催される予定だ。

 基調講演では同社の代表取締役社長である青野慶久氏による、事業戦略やcybozu製品のロードマップ、新サービスの発表などが行われる予定だ。また各セッションは、サイボウズのスペシャリストによる先進的な活用事例、運用およびカスタマイズのベストプラクティスが紹介される。第1回に比べてテクニカルなセッションも多く盛り込まれているのも特徴だ。

 今回は、サイボウズ 代表取締役社長 青野義久氏に、2回目となる「cybozu.comカンファレンスII」の見どころやシェアの伸ばしている理由、市場背景について聞いた。

――そもそも「cybozu.com」とはどのようなものですか?

青野氏:ひと言でいえば、企業の情報システムインフラをクラウドでまとめて提供するサービスです。具体的には、コミュニケーション、スケジュール、報告書作成、そしてデータベースの作成といった機能を提供します。特徴は、これらをクラウド上のアプリケーションとして展開するだけでなく、システム管理、ユーザー管理、セキュリティなどの管理機能も包括的に提供するので、使いやすく管理もしやすいという点にあります。そして、クラウドサービスなので、24時間365日、いつでもどこでも利用可能なのはもちろん、バックアップも四重化されているので、可用性、信頼性も確保されています。

――cybozu.comは昨年の発表からユーザーをハイペースで増やし続けていると聞きます。理由はなんでしょうか。

青野氏:いま述べた管理やセキュリティやクラウドの利便性などを評価していただいているからだと思っています。それに、利用料金(500円/月・ユーザー)を含めて導入のしやすさもポイントだと思っています。というのは、「cybozu.com」ユーザーのボリュームゾーンは従業員が数人から数百人といった中小・中堅企業です。これまで社内システムを情報化したい意向はあっても、システム構築や海外のクラウドサービスは料金やサポート体制などからハードルが高いと感じていた企業の利用が増えているからと考えています。

――そのような企業はGoogle Appsを使うのではないですか?

青野氏:Google Appsはあくまで個人向けのツール群といえます。そのような企業でも、従業員が勝手に利用しているようなスタイルがほとんどで、部署単位や会社単位で使おうとすると、スケジュールの共有ひとつとっても面倒です。お互いにアカウントを承認しあうといった作業が基本となります。もしくは世界中に予定を公開してしまうかです。これに対してcybozu.comは、設計の段階からチームでの作業、企業での情報共有を前提に作られています。ホワイトボードのような場をオンラインで提供すると説明すると分かりやすいでしょうか。Google Appsは個人を強化することができるツールですが、対してcybozu.comはナレッジやノウハウの共有を重要視していますので、そもそもの考え方が違います。

――法人向けではSalseforceという選択肢もありますが?

青野氏:Salesforceのクラウドは確かに高機能ですが、標準のスケジューラ―が日本の商習慣に合わないのでオプション機能を契約しないといけないという話も聞きます。大規模エンタープライズ向けのサービスに対しては、Fast & Easyを差別化ポイントとしてとらえています。cybozu.comは国産であることに加え、各アプリケーションも軽くて使いやすいと思います。もうひとつの差別化ポイントは、やはりコストですね。cybozu.comは、Salesforce導入コストの消費税分で足りてしまうという声もあるくらいですから。

――cybozu.comカンファレンスIIでは、これらのサービスの特徴などのセッションが多いのでしょうか。

青野氏:カンファレンスのポイントは、企業クラウドが現在どこまで使えるようになっているか、その活用方法にはどんなものがあるのかを体験、体感してもらえればと思っています。2回目の開催となるので、今回はAPIの活用方法や運用のノウハウなど実践的なものを増やしています。サイボウズ製品のカスタマイズやAPIに関するセッションは、これまであまり実施していないものです。我々は「データのグループウェア化」と呼んでいますが、スケジュールしか使っていないような人に一歩先を行った使い方を紹介したいですね。

――「データのグループウェア化」についてもう少し詳しく教えていただけますか。

青野氏:サイボウズOfficeを使っていくには、いくつかの段階があります。最初はスケジューラに予定を登録する段階です。次は登録した情報を共有する段階。ここまでは誰でもすぐに達すると思いがちですが、同じ会議の予定を参加者が個別に登録していたりと、意外と使い方の差がでます。効果的な情報共有機能が使えれば、次はお互いの情報を交換する段階となります。会議資料や参考情報などを共有したり、内容について議論したりです。例えばサイボウズOfficeでは、スケジュールのエントリに会議の内容やその後の議論ややりとりがリストされるようになっています。

――スケジュールのなかにFacebook的な書き込みがあると考えてよろしいでしょうか?

青野氏:おっしゃるとおりです。スケジューラーから、案件や議題の進み具合や意見交換、情報交換をたどることができます。そして、これらの情報ややりとりはログとして記録されます。次の段階は情報の記録と報告書等の作成することになります。タイムラインにその日の活動状況を書き込み、毎日報告書を作成すれば、営業日報として機能させることも可能です。最後の段階は、カスタムアプリを作ったりデータベースを作成するという段階です。ここまでいくとCRMシステムを作ることができます。このようなデータの段階的な活用を「データのグループウェア化」と呼んでいます。

――サイボウズとしての今後の展開についてお話いただけますか。

青野氏:まず、国内市場の基盤を確固たるものにする必要はありますが、グローバル市場でのサイボウズ製品(サービス)の展開を考えています。北米には2002年から、中国市場では日系企業を中心に200社以上にサイボウズ製品をすでに提供していますが、北米と中国については、さらに現地企業向けのサービス展開を広げる予定です。先ほど、海外のクラウドサービスは使いにくいようなことを述べましたが、グローバル市場では逆の立場になるので、現地のニーズやビジネススタイルの違いに対応した製品やサービスを提供していくつもりです。
《中尾真二》

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