仮想化無線LANで学校・ホテル・病院ネットワークを変える……メルー・ネットワークス | RBB TODAY

仮想化無線LANで学校・ホテル・病院ネットワークを変える……メルー・ネットワークス

 7日、メルー・ネットワークスが仮想化技術による無線LANソリューションに関する発表を行った。

ブロードバンド テクノロジー
メルー・ネットワークス CEO バミ・バスタニ博士
  • メルー・ネットワークス CEO バミ・バスタニ博士
  • メルー・ネットワークス株式会社 代表取締役社長 司馬聡博士
  • モバイルデバイスによる無線トラフィックの拡大
  • 無線LAN市場の拡大予測
  • リッチコンテンツ化、シンクライアント化がモバイルトラフィックの増大を後押し
  • メル―・ネットワークスの強みは、独自の仮想化無線LAN技術
  • 仮想化技術によって、APのチャネル干渉、サイトサーベイと設計の問題を解消
  • シカゴ証券取引所での事例。一分一秒を争う取引所でもチャネルレイヤーリングによって低遅延、高スループットを実現した
 7日、メルー・ネットワークスが仮想化技術による無線LANソリューションに関する発表を行った。

 メルー・ネットワークスはシリコンバレーに本社を置く企業向け無線LAN機器およびソリューションベンダーだ。創業は2002年であり、現在22ヵ国に拠点を展開し、56ヵ国で6,600社以上の顧客を持つ。主な取引先は、大学や高校、幼稚園まで含む教育機関、ホテルやカンファレンスセンター、病院など医療機関となっている。日本市場でもほぼ同様な市場セグメントだといい、国立大学の24%のシェアを持ち、50以上の病院での導入実績があるという。

 同社のCEO バミ・バスタニ博士は、自社の概要を上記のように述べた後、「2012年度第2四半期の収益は前期比26%増を記録し、今季はよいスタートを切ることができた。」と自社の業績をアピールした。

 同社が好調な背景には、スマートフォンやタブレットによるモバイルデバイス市場の拡大による無線LANソリューションのニーズ増加があるという。バスタニ博士は、ガートナーの報告書を引用する形で、2011年以降、企業におけるイーサネットポートを持たないデバイスが、PCなどのイーサネットポートを持つデバイスより多くなっているとし、無線LANのトラフィックは2014年に全体の40%、2016年には60%に達するとした。これに伴い、無線LANニーズは今後も高まるとみており、同社は新しい仮想化APのソリューションによりさらなる成長を目指す。

 モバイルや無線LAN市場における同社の強みについては、仮想化無線LANと高密度接続ソリューションを実現する独自技術、デバイス管理やセキュリティを含むBYODソリューション、アプリ配信やコンテンツ配信のためのクラウド仮想化技術の3つとした。また、導入先が学校、ホテル、病院などITに必ずしも強くない企業、組織であるため、インストールや設定がしやすいアプライアンス製品をラインナップしているのも特徴だという。

 同社の独自技術とはどのようなものだろうか。従来の無線LANは、アクセスポイント(AP)を複数台設置する場合、電波干渉を避けるため複数チャネル(通常は最低3チャネル)でなければならない。そのため導入前のサイトサーベイが必要だったり、設置後の拡張やパーティションの変更のたびに設計、設置、設定のやりなおしが必要だった。

 しかし、同社の仮想化WLAN技術を利用すると、仮想化された論理APがひとつだけ、チャネルも1チャネルあればよい。つまり、各端末はひとつのSSIDで、どのフロアにいても無線LANに接続できるということだ。論理的なAPを構成するのはコントローラと呼ばれる機器だ。コントローラが各APとそれに接続するデバイスを管理する。各APへの接続はフリーで行われるが、コントローラがMACアドレスやその他の認証機構や、QoS関連のトラフィック制御、ルーティングなどを行うので、物理的な機器構成も簡略化できる可能性がある。

 コントローラがすべての接続を管理し、認証やネゴシエーションなどを行うため、オーバーヘッドが発生しそうだが、この点については、チャネルレイヤーリングという技術でカバーする。チャネルレイヤーリングとは、論理的にはチャネルは1つだが、APごとの物理チャネルは有効なので、これを多重化通信のように利用し、スループットの低下を防いでいるとのことだ。

 さらに、BYODによってスマートフォンやタブレットの利用がオフィスでも広がるにつれて、帯域消費の問題も発生する。これらのデバイスはシンクライアントであるため、アプリのダウンロードやクラウドとの接続、さらにビデオストリーミングなどリッチコンテンツの利用が広がり、既存の無線LANの規格では帯域不足が懸念されている。

 この問題には、IEEE802.11acという規格で対応する動きがある。802.11acでは、MIMOで多重化された帯域のチャネル構成(およびフレーム数)を変えることで1接続あたりの帯域を広げるというものだ。たとえば、40MHzのチャネル帯域なら9チャネル分を使った360MHzの帯域を確保するという具合だ。

 バスタニ博士によれば、家庭でテレビやゲーム機器、PCが同時に多数接続されるコンシューマ機器やホームユースでは、リッチコンテンツやシンクライアントに伴う問題が顕著であり、802.11ac対応機器の市場投入は、企業向けソリューションより1年程度先行しているという。企業向けの802.11ac対応の機器は2013年から14年にかけて市場が立ち上がると予想されている。

 メルー・ネットワークスでは、使えるチャネル数が制限される802.11acこそ同社の仮想化無線LAN技術が有効であるとし、2013年第1四半期にはベータ版の対応製品を顧客に提供し始め、同第2四半期には製品のリリースを予定しているという。

 バスタニ博士は、同社の仮想化無線LAN技術は、APの高密度エリアでありながら低遅延が要求されるようなフィールドでアドバンテージがあると述べ、その事例として、シカゴの証券取引所で1,200人ものトレーダーのトラフィックを公平に捌き、フロリダの病院では医師の持つ医療デバイス(EMR)、タブレット、VoIPフォンなどの接続も終日安定したスループットを実現しているとし、キングスボロー大学では38,000人の学生のゲストアカウントを管理している、といった実績をスライドともに示した。

 なお、発表会の会場になった都内のホテルにもメルー・ネットワークスのソリューションが導入されていた。

 6月に開催されたInterop Tokyoでは、ネットワークの仮想化技術であるOpenFlowが注目されていた。サーバに続いてネットワークも仮想化の時代に突入し、従来のスイッチやルータによるセグメントの管理が変わろうとしている。これは無線LANも例外ではないようだ。企業においてもモバイル機器活用が増えるようであれば、同時に無線LAN環境の整備、強化を考えなければならない。仮想化無線LANソリューションは、そのアプローチのひとつといえるだろう。
《中尾真二》

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