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女子高生の「絆力ワークショップ」…金城学院の国語表現授業の取組み

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「絆力」ワークショップ
  • 「絆力」ワークショップ
  • 「絆力」ワークショップを生徒作のイラストで飾る
  • 「絆力」ワークショップ
  • 家族、友人、他人とそれぞれの絆を考える
  • ブレインストーミング形式で自由な発言で進むが、生徒の目は真剣
  • 絆相関図で整理してみる
  • さまざまなキーワードがつながるまさにネットワーク図
  • 生徒の笑顔がとても印象的なワークショップ
 名古屋市東区の金城学院高等学校は2月16日、生徒たちが「絆力」について議論し合う、公開ワークショップを開催した。同校の国語表現の授業においては、生徒たちが普段思っていることや考えていることを文字やイラストなどさまざまな方法で表現し、人に伝える力を養う取組みを行っている。生徒たちが創作した作品は、校外に向けても積極的に公開しているという。

 その活動のひとつとして、同校はNTT西日本が主催する「コミュニケーション大賞」にも作品を応募している。これは、電話やメールなどコミュニケーションにまつわる「ちょっといい話」を全国から募集し、作家の重松清氏らが審査員となり優秀な作品を表彰するものだ。同校は昨年最優秀団体賞を受賞しており、第9回となる2012年も応募しているのだが、そのテーマが「絆が深まる、ちょっといい話。」だった。第9回の入賞作品発表は3月15日に予定されている。

 同校の生徒たちは、応募作品を作る中で、「絆力」について考えてみようと、このワークショップを立案した。

◆「コミ大」がきっかけで「絆」について考える

 ワークショップは1時間あまり、すべてが生徒の手によって作られたものだった。まず、「絆力」を考えるにあたり、家族、友人、他人とそれぞれの絆があるのではないかと、その分類を行い、それそれの違いや共通点について意見を出し合った。続いて、「絆」にまつわるキーワードを書いた模造紙を黒板に張り、それらの関係性について話し合った。

 恋人は家族になるかもしれない、ペットとも信頼関係が存在する、震災から見直された関係など、さまざまなキーワードとそれらの相関図が作られていった。この中で、仲直りができるのも絆のひとつだろうという意見や、テレビやインターネットも絆であるという意見も出された。

 そして、たくさんのキーワードが無数の線で結ばれた図は、さながらインターネットのネットワーク図のようになり、たとえば主従関係が信頼関係にもつながるといった、思いがけないキーワードの関連が浮かび上がり、生徒たちは日ごろあまり認識することのなかった言葉や関係について、新たな印象を持ったり、考え直すきっかけとなっていた。

 ワークショップの最後には、「絆力」を高めるには具体的に何をすればよいのか、というテーマで各自が考えてきたものをフリップにして発表した。そして、国語担当の山崎貴美教諭が、このワークショップ開催を知らされた重松清氏からのメッセージを読み上げた。その一節には、「「絆」というのは「糸へんに半」と書きます。その半分の糸というのは、誰かとむすぶための、繋がるための糸なんだと、僕は勝手に解釈しています。弦楽器のように、その糸を使って美しい音を出してみよう。(中略)糸はみんなに張られていて、いろいろな音の鳴り方があるんです。(中略)コミュニケーションが上手い人は、多彩な音色を楽しめる人だと思うんです。」と書かれていた。

 最後のフリップには、「ありがとうを大切にする」「お互いに受け入れる」「自分の想いを言葉にする」「常に相手を尊敬する」「人との出会いを大切にする」「隣人を愛する」など、まさに多彩な表現が現ていた。生徒たちは、自らのワークショップによって、多彩な音色を楽しめたのではないだろうか。

◆女子校ならではの総合力を高める教育を目指す

 ワークショップ終了後、深谷校長は、同校のこのような取組みについて、「金城学院では、私学の利点を生かし、通常の学力だけでないDignity(総合力)を重視するプログラムを実施しています。これにはいろいろなことにチャレンジする力も含まれます。コミュニケーション大賞の応募も、生徒たちの外に向けて何かを発信したい、表現したいという希望をかなえてもらうための活動と思っています。」と語った。

 また、近藤浩子教諭(国語)は、ワークショップの成果として、「コミュニケーション大賞での受賞というのも励みになっていますが、日ごろあまり語り合うことのない「絆」というテーマについて友人と話し合うことで、家族との接し方にも変化が現れている子もいるようです。」と言う。神谷明美教諭(同前)は、「国語表現の授業では、自分の考えを文学などで表現してもらうという目的もあるのですが、今の子供たちは非常に感覚が優れており、文字だけにこだわらず、ポスター、イラスト、点字、立体など、なんでも積極的に取り入れてしまいます。その中でさまざまな表現方法と、それをいかに他人に伝えるかを学んでいます。」と、授業の背景と目的を説明した。
《中尾 真二》
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