【テクニカルレポート】新たな顧客チャネルとなるスマートフォン、タブレット端末(前編)……野村総合研究所「技術創発」 | RBB TODAY

【テクニカルレポート】新たな顧客チャネルとなるスマートフォン、タブレット端末(前編)……野村総合研究所「技術創発」

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図表1 国内・海外におけるiPhone、iPad活用事例(導入予定含む)
  • 図表1 国内・海外におけるiPhone、iPad活用事例(導入予定含む)
  • 図表2 購入意欲の変遷
  • iPad2
  • GALAXY S II SC-02C
  • Xperia ray SO-03C「White」
  • 2画面を上下に見開くイメージ
 iPhoneやiPadなどのスマートフォン、タブレット端末を顧客チャネルとして活用する企業が増えている。たとえば、金融機関や保険会社では、営業社員がスマートフォンでメールやスケジュールなど顧客訪問に必要な情報を閲覧したり、タブレット端末を活用して顧客のニーズを伺いながらライフシミュレーションを行えるようにしている。また、製薬会社、流通系企業では商品カタログをタブレット端末に配信して顧客への商品説明に活用している。

 消費者市場でのスマートフォン、タブレット端末の普及は、企業の端末選定に大きな影響を与えている。消費者市場で台頭するiPhoneやiPadのような、直感的なタッチ操作が可能なモバイル端末は、高価な専用端末やキーボード入力主体のノートパソコンとは異なり、携帯性と操作性に優れ、顧客とのコミュニケーションや社員の生産性の向上に貢献できるからだ。

 一方、消費者向けに提供されるスマートフォン、タブレット端末のOSや周辺技術は進化の途上にあるため、企業はセキュリティの強化や業務システムとの連携などの技術面での課題に直面する。また、これらの端末の導入によって、企業活動にどのような効果をもたらすのかを評価することは難しい。そこで本稿では、先行企業のスマートフォン、タブレット端末の活用事例を紹介しつつ、本格導入に向けた技術検討のポイントとKPI(KeyPerformanceIndicator)の活用について紹介する。

1.ユーザー企業のモバイル端末活用事例
 消費者市場でスマートフォンやタブレット端末が注目を集めている。とくにAppleが提供するiPhone、iPadは大きな成功を収めており、最近ではこれらの端末を業務で活用する企業が増えてきている。

 たとえば、米国のウェルス・ファーゴ銀行ではiPhoneに加えて、iPadの発売直後からiPadを利用した社内メール・スケジュールの閲覧を許可している。国内でもAIGエジソン生命、ユニクロを展開するファーストリテイリングをはじめ、複数の企業がiPhoneの導入を開始したほか、大塚製薬や明治製菓、コクヨなどもiPadの大量導入を表明した(図表1)。

■事例1:NewYorker
紳士服ブランドのNewYorkerでは、店頭でのスムーズな接客とクロスセルを実現するため、iPadを試験導入した。

同社のiPadを用いた販促システムの特徴は、ネット通販のデータを活用した点にある。具体的には、公式通販サイト「NYオンライン」で利用されている商品画像や仕様などのさまざまなデータをiPad上に表示させ、店員がそれらをコーディネートの提案やクロスセルに活用できるようにしている。

たとえば、画面上段に表示されたジャケットに似合うパンツの組み合わせを知りたい場合、顧客は下段に表示されたパンツの一覧を左右に指でなぞって、組み合わせの表示を変更させることができる。その際、通販サイトでの販売履歴や閲覧履歴をもとに、お薦めのパンツを表示させることができる。さらに、顧客が購入したいと思った商品が店頭にない場合には、iPadの画面上に表示されたマトリックス型二次元コードを顧客の携帯電話で読み込んでもらい、通販サイトで購入していただくということもできる。


■事例2:メルセデス・ベンツ・ファイナンシャル・サービス

 メルセデス・ベンツの金融子会社であるメルセデス・ベンツ・ファイナルシャル・サービスは、米ディーラーでの自動車販売にiPadを活用している。

 同社は、米国40店舗のディーラーでiPadを用いた契約シミュレーションシステムの試験導入を行った。このシステムは、車のそばにいながら購入手続きが完了できるものである。販売員と顧客はiPadを一緒に操作しながら、車の中で色の変更やオプション品の装着イメージを確認したり、ローンシミュレーションを行ったり、契約時のサインもディスプレイを指でなぞってサインできる。本試験できわめて有望な結果が得られたため、同社はこのシステムを2010年10月末に全米の販売店に配備した。

 同社は、消費者が販売店を訪れた際に、試乗やショールームで自動車のスタイリングや乗り心地などを体験することで湧いてくる購買意欲(感情)が、購入手続きを行うためにオフィス空間に移動した瞬間に醒めてしまうという消費者心理の変化を認識しており、それを改善したいと考えていた。そこで、タブレット端末を用いたシステムを導入することにより、場所を移動する必要がなくなり、購入意欲の減少を最小限にとどめることができるようになったのである(図表2)。

■執筆者(敬称略)
藤吉栄二 野村総合研究所イノベーション開発部上級研究員
出所) 野村総合研究所「技術創発」(2011年7月)からの転載
《RBB TODAY》

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