Fine Vision XDシリーズのレコーダは、従来のCCTV(Closed Circuit Television System)のレコーダ機能を搭載しながら、コンパクトな筐(きょう)体とし、アナログカメラと高画質のネットワークカメラを、自由な組み合わせで同時に接続できる。例えば、従来の画質でも十分な場所にはアナログカメラを用い、店舗レジなど高画質で撮影したい場所にはピンポイントでメガピクセルカメラを用いるなど、撮影場所に応じた自由な選択が可能である。したがって、既設のアナログカメラを生かしながら、ネットワークカメラを順次導入していくことができるため、ネットワークカメラの導入をしやすくするシステムと言える。
ネットワーク型監視システムには、数多くのIPカメラ、画像エンコーダ、NDR(Network Digital Recorder)、操作用PC、画像デコーダ、モニタ、警戒センサーなど、各種のネットワーク機器が接続され、これらを統合管理するVMS(Video Management Software)が監視システム全体の操作性、信頼性などに大きな影響を与える。日立グループは、これまでに蓄積してきたシステム構築のノウハウを生かし、数台の規模から1,000台にも上る大規模のネットワーク機器を統合管理できる「VMnex(Video Managementfor next stage)」を開発した。
日立グループのネットワーク監視カメラシステム「ISnex(Intelligent Surveillance for next stage)」で採用した高能率なH.264、MPEG-4(Moving Picture ExpertsGroup phase 4)、JPEG(Joint Photographic ExpertsGroup)などの多様な画像符号化に対応したカメラ選択表示、操作権管理、録画管理、センサー連動制御、障害管理、地図やアイコンの設定など、VMnexを利用することで、監視システムを簡単に、かつ多彩に運用できるという特徴がある(表2、図7参照)。
広域ネットワーク型監視システムのデモンストレーションシステムを図9に示す。このシステムは、2009年6月にNPO(Non-profi t Organization)法人産学連携推進機構内「秋葉原先端技術実証フィールド推進協議会」から発表された「類似画像検索技術による防犯支援」実証プロジェクトにおいて、実際の店舗内で稼動実験を行った際のものである。合計100台のカメラを構内に設置し、ネットワークに接続して、集中監視を可能とした。