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身近なエコから国際舞台の貢献へ——ネットオフ

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ネットオフWebサイト
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  • ネットオフ代表取締役社長、黒田武志氏
  • 「ブームにのって安易に始めたものでない取り組みだからこそ、息の長い、よりよい社会に貢献につながるものに育てていきたい」と語る黒田氏
 ネットオフは、ブックオフコーポレーションの起業家支援制度から生まれ、9年前に「eBOOKOFF」をスタート。全国の顧客から宅配を利用して中古の本・CD・DVD・ゲームソフトを買い取って商品センターで管理し、インターネットで販売するという、ネット専業でもなく実店舗型でもない新しいCtoBtoCの事業モデルにより、100万アイテム/月を手がける日本最大級の古本通販・買取サイトとなっている。

 eBOOKOFFのビジネスモデルがユニークなのは、「自宅に居ながらリサイクル」という新しい“物のリサイクルの流れ”を構築したことのみならず、買取代金の一部を寄付できる「スマイル・エコ・プログラム」を通じた“社会貢献へのお金の流れ”も作り上げている点だ。社会貢献活動として、3年前からNPOのファンドレイジング(資金調達)支援を手がけ、今月発表された「国連の友 Asia-Pacific」との提携により、今後はより大規模に支援活動を展開していくという。

 商材単価100円、200円という薄利の中古本売買の事業をきっちり黒字化し、社会貢献にも取り組んできたネットオフ。今月新たにブランド品などを扱う「NETOFF宅配買取」をオープンして総合リサイクル事業を進めるなど、今、大きな転換期を迎えている。

●“お金の逆の流れ”が寄付を牽引

 買取申し込み時、ユーザーに対してただ単に「寄付してください」と呼びかけるだけでは、なかなか賛同してもらえない。そのため、まずネットオフ自身が、買取申し込み1件につき50円を自己負担で寄付し、この寄付先はユーザーに選んでもらうという仕組みをとっている。コースには「森林の保護」「海辺のクリーンアップ」「自然環境保護」「途上国の子供支援」「身障者の支援」の5つがあり、例えば「1000円でマングローブの苗木約100本」など、どのような支援ができるかの説明を付記することで、身近な問題としてとらえてもらう工夫も行っている。

 スマイル・エコ・プログラムの最大の特徴は、ユーザーに商品を売って代金をもらうのはなく、ユーザーから商品を買って代金を渡すという、お金の流れが通常のBtoCと逆の構造になっている点にある。ユーザーの財布からお金が出ていくことがないため、寄付をする際の敷居が低い。これが、ネットオフ自身の寄付による“呼び水”との相乗効果で、「不用品を出してお小遣いが入ってうれしい。ついでに私もちょっといいことをしよう」という共感につながっている。現在、スマイル・エコ・プログラムの参加者は、買取申込者の10人に1人に達しているという。

●ファンドレイジングに悩むNPO

 スマイル・エコ・プログラムで集まった寄付金は、国内のNPOへ寄付されている。本プログラムをスタートしたきっかけについて、ネットオフの代表取締役社長である黒田武志氏は「モノの循環だけでなく、社会に貢献できるお金の循環も促進したかった」と語る。黒田氏は、自らNPOに足を運び、彼らの資金集めの効率の悪さを目の当たりにした。いまだに「書き損じハガキ」や「使用済みテレカ」の収集などが主な資金源となっているNPOも少なくないというのだ。

 日本は欧米に比べて寄付文化が定着していないことに加え、NPO内にファンドレイジングのノウハウがない。「日本では社会貢献に宣伝のカラーを出すことを敬遠する傾向がある。しかし、NPOの活動を長く続けるには、NPOに資金力が必要で、それを支援する企業にもビジネスメリットが必要。欧米のNPOには経営的なセンスが求められ、ファンドレイジングのMBAコースもあるほど」(黒田氏)

 こうした欧米の事情からヒントを得た黒田氏は、お金が逆に流れる宅配買取がファンドレイジングのスキームに有効であると考えたという。スマイル・エコ・プログラムはまた、NPO自らの資金集めの手段にもなっており、NPOが寄付として集めた物品をネットオフに買い取ってもらい、代金を全額寄付金として受け取るといった活用も行われている。

●「国連の友」と提携により年間の寄付金額8億円を目指す

 今年12月末までの寄付累計額が2,000万円を突破する見込みのスマイル・エコ・プログラムは、来年、新たな展開を迎える。ネットオフが12月10日、「国連の友 Asia-Pacific(FOUNAP)」との提携を発表したのだ。FOUNAPは、国連と民間をつなぎ、平和・環境・人権に関わる活動を展開している機関で、国連広報局承認のNGO「国連の友」のアジア太平洋地域統括本部として、2008年に設立されている。( http://www.founap.org )

 提携により、今後ネットオフが集めた寄付金はFOUNAP基金のもとで管理され、国連プログラムの支援、及び国連と目的を共有する活動を展開するNPO/NGOの社会貢献活動に活用される。これにより、従来ネットオフはNPOの選定も自ら行ってきたが、今後は本業の宅配買取とスマイル・エコ・プログラムの促進に注力できることになる。ネットオフでは、今回の提携により、スマイル・エコ・プログラムの参加件数を2011年には10万件/月、寄付金額を8億円/年に引き上げたいとしている。

 黒田氏は今回の提携について「FOUNAPの日本における活動がいよいよ本格化するにあたり、我々が独自に3年間コツコツ取り組んできたスマイル・エコ・プログラムを、今後はFOUNAPの力を借りながらより広めていきたい。ブームにのって安易に始めたものでない取り組みだからこそ、息の長い、よりよい社会に貢献につながるものに育てていきたい」と語る。

●中古本の「eBOOKOFF」から総合リユースポータル、「NETOFF」へ事業転換

 寄付金額を増やすには、プログラムの認知度の向上や寄付文化の浸透に加え、本業の買取件数と金額を増やす必要もあるが、すでに今月よりブランド品・カメラ・携帯電話・楽器・スポーツ用品などを取り扱う「NETOFF宅配買取」をオープン。取り扱いアイテムの拡大も進めると同時に、最終的にはeBOOKOFFと完全統合した総合リユースポータルを目指している。

「我々は今まで、古本一冊で100円、200円という、一番きついところで9年間やってきた。eBOOKOFFからNETOFFへ事業転換することでアイテム単価が上昇し、それだけ利益も増える。今回の提携も、新しいNETOFFのブランディングの一環にもなり、我々のビジネスにも大きなメリットになる」(黒田氏)。FOUNAPは、すでに数社との提携を発表しているが、リサイクル・リユース業界としてはネットオフが初の事例になるとのことだ。

 提携が発表された12月10日の時点では、基本合意書を締結したのみで、具体的な活動内容については検討が始まったばかりだというが、ネットオフとしては、環境に対する意識の高いプロスポーツ選手やアーティストなどの協力も得るなど、今まで自社だけではできなかったダイナミックな活動ができると考えており、今後の展開が注目される。
《RBB TODAY》
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