三菱電機は28日、本体外径15cm、重さ10kgの超小型電子加速器「ラップトップ加速器」を発表した。 ラップトップ加速器は、電子銃から発した電子をドーナツ状の真空ダクト内で幅広の電子ビームとして加速する同社独自の加速手法と、電子ビームを加速しながら所定の領域内に収束させる電磁石の開発により、990keVまでの加速を、外径15cm、重さ10kgの手のひらサイズの加速器で実現したもの。従来はこれと同等のエネルギーまで加速するには全長が100cm、重さ350kg程度の加速器を必要としていた。また、先端が7マイクロメートルの針状のX線ターゲットに加速した電子ビームを次々に衝突させるビーム制御に成功し、発生点径が10マイクロメートルと微小なX線の発生に成功した。このX線を用いて、幅0.5mmの半導体のリードフレームを撮影したところ、屈折撮像の特徴である物質境界がくっきりとしたX線画像が得られた。同社では、X線非破壊検査やX線診断用装置の光源として利用できるとしている。 今後は、装置製造メーカーに提案を行い、大出力化・高信頼化を進めて実用化を目指すとしている。